漫才【訳アリなおふくろの味】
ゲラゲラコンテスト4の応募作品です。
よろしくお願いいたします。
ボケ(ボ)
ツッコミ(ツ)
二人「皆さん、こんにちは。○○です」
ツ「昨日隣のおばちゃんに肉じゃが作り過ぎたからっておすそ分け貰ったんだよ」
ボ「はは~ん。恋が芽生えたんだね?」
ツ「芽生えねーよ! 六十過ぎたオバサンだよ?」
ボ「違うのか。じゃあ何の話しようとしたんだ?」
ツ「肉じゃがと言えばおふくろの味って感じじゃん? お前んちのおふくろの味ってどんなのがある?」
ボ「おふくろの味か~たくさん有り過ぎて選べないな~」
ツ「お前のおふくろさん、料理上手だったんだな」
ボ「親父が三回離婚したからね~」
ツ「ああ、おふくろがたくさんなのね。取り敢えず実母のおふくろの味訊きたいな」
ボ「実母か~俺が一歳の頃に離婚したから手料理食った事ないかな」
ツ「ああ、何かごめん」
ボ「気にするなよ。継母のおふくろの味なら覚えてるぞ!」
ツ「そ、そうか……じゃあ教えてもらえるかな?」
ボ「ではいきます! おふくろの味、三選」
ツ「ショート動画風に言うな」
ボ「先ずはカレーかな?」
ツ「はいはい、定番だね。帰省した時に実家で食べると、これぞ我が家のカレーって感じだよね。ウチは甘いカレーだったな」
ボ「そうなの? ウチは甘口、辛口、激辛まであったよ」
ツ「なるほど。カレールーを入れる前に大人用と子供用に分けていたのかな? カレーの日は家中にカレーの匂いが漂ってテンション上がってたわ~」
ボ「うんうん。お湯から出してピリピリと袋をあけたら匂いが漂ってきてテンション爆上がり!」
ツ「それレトルトカレーじゃねーか!」
ボ「二番目のおふくろが選ぶレトルトカレーは外れが無い!」
ツ「どうでも良いよ! それはおふくろの味っては言わないの!」
ボ「そう?」
ツ「はい、次いって!」
ボ「次はにぎり寿司かな?」
ツ「すげー! お前んちのおふくろ寿司握れるんだ」
ボ「何を隠そう三番目のおふくろは寿司屋で働いていました」
ツ「本職かよ~休みの日には家で握ってくれてたんだ?」
ボ「いいや。おふくろは大将が握った寿司を家に運んでくれてた」
ツ「それ出前じゃねーか!」
ボ「お店で出す寿司ネタより三ミリほど大きい寿司ネタにして貰えてたんだぞ?」
ツ「それは良かったね~でもそれおふくろの味じゃ無いから」
ボ「そう?」
ツ「はい、次いって!」
ボ「じゃあ、最後はお味噌汁!」
ツ「インスタントとか言わないよね?」
ボ「まさか。四番目のおふくろ? は出汁から作っていたよ?」
ツ「最後にまともなのキターー!」
ボ「具材も無農薬、無添加で栄養抜群!」
ツ「味音痴ってオチじゃないよな?」
ボ「違うよ? 四番目のおふくろ? は調理師と栄養士の免許持っているからね」
ツ「凄いじゃないか! でも……ちょいちょいおふくろ? って疑問形で話すのが気になるんだけど」
ボ「うん……実はまだ籍を入れて無いからおふくろって呼べるのかどうか……」
ツ「ああ、そういう事。まあ、三回も離婚してたら躊躇するかもな」
ボ「いやいや、今の日本じゃ籍を入れられないんだ」
ツ「それオネエじゃねーか!」
ボ「歴代のおふくろの中ではダントツ一位の美人なんだけどね」
ツ「歴代のおふくろさんが気の毒でならないよ! と言うかおふくろの味じゃなくてオネエの味だな……何だよオネエの味って」
ボ「俺にはおふくろの味っていうものが無いのかな?」
ツ「心配するな! お前は覚えていないかもしれないけど唯一無二のおふくろの味が存在するぞ!」
ボ「えっ? マジで? それはどんな料理なんだ?」
ツ「母乳と言う名のおふくろの味さ」
ボ「………………俺、粉ミルクで育ったって聞いてる」
ツ「へっ?」
ボ「実母の育児放棄が離婚の原因」
ツ「泣いても良いかな?」
ボ「胸を貸すぞ?」
ツ「不憫すぎるお前に朗報です」
ボ「何気に失礼だな」
ツ「今日、俺んち泊まりに来い。余った肉じゃが食わせてやる」
ボ「肉じゃがは親父の得意料理だったよ」
ツ「おやじの味かよ! もういいよ」
二人「ありがとうございました」
読んで頂きありがとうございます。
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