【エピソード5】 ヒーローと魔王
『きゃぁぁぁ!!助けてぇぇぇぇっ!』
逃げ惑う沢山の街人の狂気の声で、周りは騒然としている。
『何処だぁぁぁ!!何処に居るぅぅぅっ!』
遠くから、おぞましい声が 聞こえてきた…
───魔物か?!怪物みたいなのが来たのか?!
家の外には、先程までの出で立ちと豹変してしまった爺ちゃん!!
『大丈夫だ!!』
爺ちゃんとは思えない、凛とした表情である…
───まさか、うちはヒーロー一家なのか?!
一瞬、脳裏に浮かんだのはアメコミのヒーローたち…
ボクは、少しニヤついてしまった…
『何処だぁぁぁ!!』
ドスの効いた低い声で現れたのは、沢山のぬいぐるみたち…
───え?ぇぇぇぇえ!
『魔王、魔王は何処だぁぁぁ!!』
───え?どういう事ぉぉぉ?!
『ふんっ!!見つかったか…』
後ろで発せられた言葉に振り返ると、おばあちゃんが悪そうな顔付きで 外を睨んでいる。
───さっきまでの温和なばぁちゃん、何処行ったぁぁぁ!!
ばぁちゃんは、服の襟を左手に掴み 思いっきり脱ぎ捨てた!
───まさか変身するのかぁぁぁぁ!!
ばぁちゃんは、シワいっぱいの身体にヒーロー戦隊の悪役みたいな突起物だらけの赤いビキニを纏っていた…
───いや、待て待てぇぇぇぇ!!
これって、ドッキリ?!手の込んだドッキリ?!
ニューロンがプチ切れそうなインパクト満載の出来事に、ボクは動転していた。
『魔王って 誰!!どういう事ぉぉぉっ!』
───またか…
次の瞬間……
『貴方様です!』
ちびまる〇ちゃんファミリーが跪き ボクに向かって敬礼した…
───おぃ、おーい!!
空がどす黒くくもり、雷が鳴り響いた瞬間……
ガシャァァァァン!!
ボクは、悪魔っぽい鎧に包まれていた…
もはや笑うしかない展開に 口の中が変に酸っぱくなった…
───なんか悪いもん食ったっけか?!
いっきにこみ上げてきた吐き気だったが 器官に詰まってしまったようだ…
───や、やばい!!苦しい…
『うっ、し、死にそぅ…』
───げ!やってしまった…
遠くなる意識と共に、爺ちゃん、ばぁちゃん、ひろし、お母さん、そしてオネェ・chanの焦った声が聞こえ…
『ピコーン!』
最後かも知れないエピソード5の終了音が頭の中でこだました…




