はるがきた
先に言っておきます。
この小説、コメディではありませんのであしからず。
ちょこちょこ、少しずつ書いていきたいと思います。
今年も美しく咲いたね。
君の好きな
千本の桜。
見えるかな?
ほら。
花吹雪が
悲しいほど
美しい。
―
「17番、早山一乃です!運動が苦手で、今から体育が憂鬱なぽっちゃり女子です!
今年は早弁友達を5人見つけられるように頑張ります!!」
「そんなに喰うのはお前しかいないぞー!」
「よっ!埼玉のちゃんこ姫!!」
「いやいや絶対いるから!1学期で2人は見つける予定!」
「担任の前で早弁宣告した猛者はお前だけだぞー。」
ドッと笑いが起きる1年5組。
2003年4月9日のことだった。
入学式翌日の自己紹介。これで今後の学校生活が決まるといっても過言ではない。
早山一乃は、B75 W70 H85のふくよかな・・・いや、ぽっちゃり・・・?えー?もっとなんかいい言い方ないかなぁ?
・・・そう、私は「グラマラス」な体形を武器に、いじられキャラを確立したのだ。
自己紹介の手ごたえはある。後は早弁友達を見つけるだけ!!!
お昼休みのチャイムが鳴ったと同時に各クラスを意気揚々と巡る。
1組、2組、3組・・・そしてラストの7組。
「嘘・・・。」
ドサッ・・・。
私の手から、総菜パンが落ちる。
・・・それってもやし炒めよね・・・。あれはきゅうりの漬物?
ねぇみんな、その量で食べた気がするの?お腹空かないの・・・?正気?
ガリガリの腕、棒のような足、板のような胸。
見渡す限り、バー〇ー人形。または、リ〇ちゃん。香山〇カちゃん人形。
女子全員が幼稚園児の食べきりサイズであるお弁当箱を持って「あははうふふ」しながら、これまたおちょぼ口で食事を楽しんでいるではないか。
集団でドッキリをかけてきたのかと思うほど、全員美意識というやつが高いらしい。
美意識。私とは無縁の語彙。
いや、でもさ、ほら、ね、うん。
さすがにさ、初日から一人でご飯食べるものもさ、アレじゃない?総菜パンだってさ、みんなで食べたほうがさ、2倍おいしく感じるはず!
それにさ
・・・もう一人は嫌だよ。
「おい!ちゃんこ!
お前今日のパン、何味?」
出たよ。出た出た。
私のパンを付け狙う男が。
「今日はジャムぱ
「おいおいおい!正気か!?ジャムパンはお前にとって前菜だろ?
俺はメインディッシュを聞いてるの!!!」
人の話は最後まで聞けや。
「メインは焼きそばぱ
「だよなぁ!!!
俺の爆弾おにぎりと交換しようぜ!な!決まり!!!」
お前が世界の中心じゃないんじゃ。
「あのさー。聞いてよ。
女子のみんんんんんんんんな野菜しか食べてないんだけど、もしかして胃の大きさゴルフボールくらいなんかな?」
「たぶんな。お前の胃袋が他よりちょっと大きいだけだ。気にすんなよ。」
・・・忘れていたけど、こいつたまーーーーーーに優しいんだよなぁ。
「お前の胃袋、4つあるんだろ?」
牛だ。それ、牛だ。
キーンコーンカーンコーン
なに?5限目始まる??いやマジか。まだご飯たべてないんだけど!!!!
「あんたのせいでお昼食べ損ねたじゃんか!!!」
「いや俺も喰ってねーし!!!」
「はぁぁぁぁぁあ絶対お腹と背中がくっ付く・・・。」
「・・・俺にいい考えがある。」
「・・・?」
―
続く