おまけというか、そのあと
初めましての方は初めまして。そうでない方はご無沙汰しております。旅する葬儀屋を営んでおりますホワイトと──
「シロししょー!」
……わたしのいつもの自己紹介が遮られてしまいました。調子が狂いますね。
「誰が師匠ですか。弟子は取らないと何度言えば……どうしたんですか?」
少女が元気よく手を振ってわたしのことを呼んだので呆れながらもそばに寄ると、その手には毒々しいキノコが握られています。
思わずため息が出てしまいました。頭が痛くなってきそうです。
「あなたそれで一度死んでるってわかっていますか?」
魔教徒の息がかかった毒キノコを食して死んだというのに、また同じことを繰り返したいのでしょうかこの子は。もう一度死んだら今度こそ生き返れないかもしれないというのに。
「あのときはいつも焼いてるから生でたべたらどうなるのかなーって」
「それで死んだのでしょう? その好奇心が……って言っても聞かないんでしたねあなたは」
もうこの子を説得するのは諦めました。族長さんが『問題児』と言っていた気持ちが今ならよくわかります。語り合いたいくらいです。
「ふむ……火を通すと無害化できるタイプの毒ということですかね」
だからといって気軽に試せるものでもありませんが……ようやく見つかった食べられる可能性のある食べ物です。この機を逃すのも少し怖いですね……。
というのも、この少女が得た魔法の呪いによって失う大切なものは──食糧でした。
あれから族長さんが残してくれた地図を頼りに樹海の外を目指して歩き続けているのですが、この子を連れて歩くようになってからめっきり食べられるものと遭遇する確率が激減したのです。誰かが教えてくれるようなものでもないので確かなことは言えませんが、そうとしか思えません。
簡単に見つかっていたキノコも数を減らし、魚目当てで川を覗いても魚影の一つも見当たりませんでした。
木の実も薬草も山菜も同様。
むしろこの呪いがあるからこそ食べられないものである証明にもなっているような気がします。
「いつごろから食べられていたのですか? このキノコ」
「もりでよくみるようになったのはさいきんかなー?」
「やはり危なすぎる橋ですね。やめておきましょう」
「えー! やっとみつけたのにー?!」
残念そうに声を上げる少女ですが、この子には死んでほしくありませんしわたしもこれ以上は死にたくありません。
──ぐうぅぅぅぅ。
「「はぁ……」」
二人分のお腹の合唱が響き渡りました。
早くこの樹海を出て、少女を安全なところまで送り届けたらお腹いっぱいに食べて、また優雅な一人旅に戻りたい……。
そんなことを考えるわたしだったのでした。
最後までご覧いただきありがとうございました。こんなところまで読んじゃうなんてそんなにこの物語面白いんか、アアン?(謎の喧嘩腰)
冗談です。本当にありがとうございます。
面白いと思ってくれたなら、面白具合(?)を↓の☆で評価してくれると嬉しいです。
次章の更新がいつになるか分からないのでここでネタバレしちゃいますが、少女とは本当にお別れして、ホワイトさんにはいつも通り一人旅させるつもりです。
理由としては普通に邪魔。魔法は使えますが実力不足で足手纏い。おまけに呪いの影響で食べ物が入手困難ときたもんだ。扱いに困ります。ならなぜそんな設定にしたのか、これがわからない。
旅先で再会することはあったとしても、連れ歩くことはないでしょう。どこかで餓死してなければいいですね。(他人事)
もちろんお別れする前に教えられることは教えてあげています。魔法についてや戦い方について。ホワイトさんが知りうるサバイバル技術などなど。少女は少女で一人旅をすることになると思います。あのまま集落にいさせても魔教徒の餌食になるかもしれませんしね。
ちなみにマグはマグカップ、ジルはシルバーをちょっともじって名付けました。褐色肌なので土関連から持ってきたって感じです。
結局、ホワイトさんの過去についてはほとんど明かされませんでしたね。いちおう族長さんに軽く質問させたんですが答えてくれませんでしたこの女。
過去を語る前にくたばりそうでちょっと怖い。墓まで持っていきそう。
ホワイトさんの口を割らせるほどのエピソードをどこかで考えないといけませんかね……。
次はどんな話にしよっかなー?
──それでは、皆さまに良き小説ライフがありますように。
次章 → https://ncode.syosetu.com/n9466he/




