表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/24

19話

 数が増えようが所詮魔物は魔物。蟻が一匹から十匹に増えたところで片足で踏み潰せます。それがちょっとばかり大きくなっただけでしかありません。


「 全 力 全 開 ! 」


 両手を広げ、魔力(マギ)をわたしにできる限界まで高めて領域を広範囲に展開。全ての魔物が範囲内に収まりました。


「 最 大 出 力 ! 」


 両脚で踏ん張り、両手を合わせるように握り込みます。とてつもない反発力にバチバチと魔力(マギ)が可視化されて荒れ狂いますが、お構いなしに力技で領域を圧縮。

 領域の範囲内にいた魔物は中央へ集まっていき、バキベキとけたたましい音を立てながら強制的に形を変えていき、最終的には手の平サイズの球体にまで圧縮してやりました。

 巻き込まれた地面はすり鉢状にえぐれ、そこに川の水が一気に流れ込んでいきます。


「な……うそでしょぉ~? そんなのありぃ~?!」


 球体になって足元に転がる魔物の塊を踏み潰し、泡を食って尻もちをつく魔教徒を見下します。


「あなたも巻き込んだつもりでしたが……運がいいのか、逃げ足が速いのか」


 魔教徒はなにをしてくるかわりませんから、しっかりと警戒しながらゆっくりと近づきます。


「もう終わりですか? あなたのご自慢の魔物は? ネタ切れですか?」


 周囲も警戒しますが、それらがいるような気配は感じられません。


「魔物はぶっちゃけネタ切れ~。伏兵残しておけばよかった☆」


 舌をちろりと出して、全く後悔しているようには見えません。まだなにかあるに違いありません。

 報奨金目当てで生かしたまま捕らえることは多々ありますが、ここは樹海のど真ん中。引き渡せる場所まで連れて行くのは現実的ではないでしょう。

 早々に殺してしまうべきか。


「まてまて待って! ウチから話聞きたくなぁ〜い? そんな怖い目しないでよぉ〜」


 どうやら殺気が態度からも漏れてしまっていたようです。慌てふためいて手を振り、後ずさっています。

 魔教徒は多くの謎に包まれた組織。喋ってくれるなら貴重な情報源です。情報もお金になりますから、貴重な収入源とも言えましょう。


「魔教徒相手にわたしが容赦するとは思わないでください。変な動きをしたら即刻殺します」

「わかったから低い声出さないでよぉ〜、怖いなぁ〜もう」


 魔教徒は立ち上がってお尻の汚れを払いました。若干ため息交じりで腰に手を当てました。


「んで~? ウチから聞きたいことなにかある~?」


 魔教徒について聞き出したいことは沢山あります。ですがその前に一つ確認したいことがありました。

 安易に近づくのは危険なので一定の距離を保ったまま、質問します。




「──少女(あのこ)を殺したのはあなたですね?」




 その質問に、魔教徒はニヤリと口角を上げました。


「キヒッ、ばれたぁ~?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ