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18話

 全滅。絶滅。根絶。どれもこれも嫌な響きです。大嫌い。

 どうしてこんな胸糞悪いことになってしまったのでしょうか。


「あぁ〜れれぇ〜???」


 女性と少女の変わり果てた亡骸を見て自己嫌悪に陥っていると、わたしの神経を(やすり)で逆なでるような声が聞こえてきました。若い女性です。歳はわたしとあまり変わらないように聞こえます。


「なぁんか様子がおかしいと思って見に来てみればぁ、あぁ~そういうことぉ~」


 口調まで(かん)(さわ)りますねこいつ。こちとら相手している余裕はないというのに。

 声の主を確認してみると、趣味の悪そうな真っ黒いコートに全身を包んでいました。フードはかぶっておらず、髪もクルクルに巻いておしゃれに気合を入れているのが目に見えてわかります。なんでしょうか、凄くバカそう。

 こんな格好をしているのは世界広しと言えどもあの連中だけ。


「──魔教徒」


 悪魔信仰のクソみたいな連中が集まった組織。それが魔教徒。嫌われ者ばかりの集団。世界の敵。


「やだぁ~そんなに睨まないでよぉ~、眉間にシワが寄っちゃうぞ☆彡」


 パチコン、とウインクと共にわたしに嫌悪感を飛ばしてきました。

 それから周辺に散らばる魔物の残骸を眺めてため息を一つ。


「あーあ、あなたが全部殺しちゃったんだねぇ~。これだけの数揃えるの結構大変だったのにぃ~」

「最初からなにかおかしいとは思っていましたが、この魔物はあなたの仕業ですか」

「ピンポーン! そのとぉ~り!」


 指をパチンと奇麗に鳴らして、ついでに指まで差されました。


「どの程度使役できるのかって実験だったんだけどぉ〜……結果は上々って感じぃ? 準備にめっちゃ時間かかるのが難点なんだよねぇ〜」


 わたしが水刃で両断した魔物の死骸を指で摘んで「うへぇ……きちゃな〜い」とか言いながらその辺に投げ捨てています。

 今すぐにでも殺してやりたいですが、こいつは口が軽そうです。なるべく情報を引き出したい。


「なにが目的ですか」

「悪魔様のことを少しでも深く知るための実験だよ! 都合よく人間の集団がこの辺りにいることがわかったから利用させてもらったんだけどぉ〜……まさかメチャつよな人間がいるなんて思わないよね! だからウチ悪くな〜い!」

「そんなことのために……」


 魔教徒の証でもある趣味の悪いナイフをゆらりと取り出し、屈託ない笑みを浮かべてきました。刀身が異様に短い気がします。


「けぇ〜どぉ〜、見られたからには殺すしかないっしょ☆」


 その笑顔の後ろから、先程とは比べ物にならないほどの魔物の影が。ざっと見て十倍ほど。アレが全てではなかったというわけですか。戦力を温存していた、と。


「ばっははぁ〜い」


 こちらに手を振りながら、魔物と魔物の間に体を滑り込ませて、姿を眩ませた魔教徒。逃げた?

 それと同時に、大量の魔物が一斉に襲いかかってきたのでした。

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