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名も無き暗殺者 中編

作者: winer

名も無き暗殺者 中編


「あなたこそ 馬鹿ね」


里宮の言葉が隼人の頭から離れない


「おーい 大丈夫か親友よ 生きてるか? ボーっとして」


「いや 何でもないさ」


「そうかい? どうせまたあのカワユイ里宮の事を気にしているんじゃないのか?」


「誰が! ほら 休み時間終わるぞ 席着け 席に」


寺原が去った後 ふと里宮の方を向く 彼女は無表情のまま 外を見ていた


と そこに何人かの女子生徒が里宮に寄ってくる


「ねぇ 里宮さん ゴメン! 宿題写させて!」


すると里宮は笑顔になり


「いいわ」


作業をするかの如くにノートを渡す里宮 その仕草には愛想のかけらも無い


そこそこ頭はいい為 周りの女生徒から頼りにされているようだ



チャイムが鳴り 授業が始まる

が 隼人は相変わらず里宮で考え込み 授業に集中出来ないでいた


放課後

「隼人〜 帰ろうぜ!」

「ああ (里宮に不審な行動は見られない・・・な)」


帰り道

「なぁ隼人 今度の日曜 隣町のショッピングモールに アネットちゃんが来るらしいぜ」


アネットちゃんとは 今世間から注目を浴びているアイドルである その可愛い姿とそれに似合うボイスから追っかけファンも多い

・・・ちなみにファンクラブの会費が凄く高い事で有名


「何だ寺原 お前もファンだったのか?」


「おうよ! アネットちゃんの可愛さは異常だぜ! 俺なんか自分の部屋にアネットグッズ置きまくってるぜ!」


「ああ・・・・そう・・・」

半ば呆れ声で返答する隼人


しかし寺原の勢いは止まらない


「だから! 隼人ぉ! 行こうぜ! ショッピングモール!!」


「まぁ・・・(暇だし コイツの暴走を止める役で行くとするか)   OK いいぜ 行ってやるよ」


「それでこそ マイ・フレンド!!」


寺原はおもいっきり隼人を抱きしめる


「は・・・離せ ふがもが・・・・」




夕暮れの街を 里宮はどこかへと歩いていた


やがて見えてくる 一つのビル


黒基調の塗装で塗られた壁 

そして入り口に掛けられている「関係者以外の立ち入りを禁ず」と書かれた看板

何もかもが異様に感じるこのビルに 里宮は一人入っていった


ビル内

中には扉が一つ ぽつんと存在している と言うより扉は他にもあるのだが 全てが釘を打たれていて 入れそうな扉は一つ 入ってすぐ正面の扉だけだった


里宮が扉の前に立つと 声が

「コードネームは?」


「ベレッタ」


「入れ」



室内には二人の男 メガネを掛けているモヤシのような体質の男と

それとは正反対の筋肉体質の男がいた 


入ってきたベレッタを見て メガネが口を開く


「ベレッタ よく来てくれました

あなたの評判はよく聞いていますよ 先日も

一人殺ったそうじゃないですか いやはや素晴らしい」


「お世辞はいい 用件は?」


「そうそう コレです コレを見てください」


メガネが渡したのは近所のショッピングモールのチラシだった


「実は 次の日曜日にここにあるアイドルが来ます

 名前はアネット・・・聞き覚えありませんかね?」


「アネット・・・確か・・・」


数年前の出来事


里宮・・・ベレッタはある組織の社長を殺す任務に着いていた


その組織は表では普通のIT企業だったのだが裏ではマフィアに武器などを提供している危険な組織だった


そして 社長が用事で表に出たときに暗殺 周りにいた重役も全て片付けた・・・はずだった


ベレッタは見落としていた・・・その社長には年頃の娘がいたことを


娘の名はアネット アネットは才能で芸能界の階段を駆け上がり


やがてファンクラブを立ち上げた そして元から高かった人気に更に火がつき ついには若者で知らない人はいない という存在になった



「それで・・・あの社長の娘な訳ですよ・・・・そうそう 彼女のファンクラブの会費はありえないぐらい高いようですね

会費だけではない そこで売られているグッズも・・・何故だと思います?」


「裏の再興でも狙っているの?」


「それしかないでしょうね・・・で依頼内容は察して頂けましたか?」


「アネットを殺せ・・・ね?」



「その通り しかし あなた一人では不安だ 何しろ彼女の周りには大勢のボディガードがいる そこで彼も君の任務に協力してもらいます」

そう言ってメガネはマッチョの方を向く


「・・・今回 あなたに協力させて頂く コードネームは レミントン」


マッチョ・・・レミントンが初めて口を開く


「協力と言いましても あなたがしくじった時の保健用です 彼には遠くの狙撃ポイントで待機してもらいます」



「そう 私は信頼されていないようね」


「まあまあ 気分悪くしないで下さい あなたの事は信頼してますよ・・・・組織の言う名の首輪のついた 優秀な猟犬としてね・・・」


「・・・・・」

 


日曜日


ショッピングモール

「フフフ クフフフ アネットちゃぁーーん 今行くからね〜 フフフ」

朝から妙にテンションの高い寺原 そして

「・・・ねむ・・・くそ 寺原め・・・ふわぁ」

テンションがかなり低い隼人


「なーに 暗い顔してんの隼人ちゃん そんな顔をアネットに見せる気かな?」


「おう 見せてやろうか?」


「おっと そうは・・・(ピンポンパンポーン)」


〈間もなく今世紀最大のアイドル アネットさんのショーが始まります 整理券を・・・〉


「アネットぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


寺原はどこかに消えた


「やれやれ・・・ ん?」


遠くの方に里宮が見えた 

「あいつもファンなのか?」


里宮は何か不審な動きをしている 既に配置されている警備員の周りをウロウロして辺りを変に見回している


「何だ? アイツ?」


隼人は里宮のほうに歩み寄る すると


「おい! 何をしている!」

隼人はドキリとしたがその声は自分に向けられたものではなく 里宮に向けられていた


「何か隠し持ってるんじゃないか?」


困ったように辺りを見回す里宮 すると隼人と目が合った


「あっ! 隼人!!」

突然 里宮がそんな声を上げた

「え?」

里宮は隼人の方に駆け寄ると 思いっきり隼人を抱きしめながら

「もう どこ行ってたのよ! 心配したじゃないの!! 私を置いて行かないでよ!」

頭が真っ白になる隼人 

「〈なんだぁ? とりあえず話を合わせておくか〉 ああ ゴメンよ もう君を置いていかないから 行こう」


「うん」


警備員から離れると 急に里宮も態度を変えた

「もういいわ・・・ いい? 私に関わらないで」

そういい残し 里宮は人ごみの中に消えた


その数分後 


〈間もなくアネットが来てくれますよ〜 5 4 3 2 1 アネットさん ご登場!!」


アイドルの登場と共にクラッカーが鳴らされる


パァン

パァン

パァン

バァン

パァン


クラッカーの音に混ざって違う音が聞こえてきた

「(今のは・・・ 銃声?!)」


隼人がそう感じた直後 会場が騒ぎ始める


「大変だ! アネットが撃たれたぁぁぁ!!」

「きゃーーーーーーーー!!」



「は は 隼人! アネットちゃんが・・・が が!」

寺原が真っ青な顔で駆け寄ってくる

「どうした! 何があった!」


「うた うた うたたたた 撃たれたんだ! そ それれれ 頭から血ぃ流して 倒れたんだ・・・うわぁぁぁぁぁ!!」


「落ち着け寺原!! とにかく家に帰ろう! な?」


ふらふらの寺原を助け 立ちあがる隼人

「(里宮は・・・どこに・・・まさか! いや 早とちりはやめておこう)」



その頃 里宮は

「こちらベレッタ ターゲットの沈黙を確認」

〈ホッホッホッ 良くやってくれました ベレッタ 賞賛に値します これ以上あなたがとどまる理由はありません

 この混乱は好機です 客に紛れて撤退しなさい〉


「了解」


組織本部内

「やってくれましたね・・・流石です あなたはこの世に存在を許されない・・・名前も・・・そしてあなたは亡霊にもなれない

誰の記憶にも残らない・・・それが 暗殺者ですよ・・・」


メガネの男はクックッと笑った








  




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