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star road  作者: 亜來日六
Prologue route0
1/3

part1

初投稿です。よろしくお願いいたします。



二酸化炭素や排気ガスに覆われ、変化することのない真っ黒な空。見える星など何一つない。


その代償なのか、22世紀後半、時代はついに科学に追いついた。


《進行可能になりました》


全自動四輪自動車に搭載されているAIが、抑揚のない音声で事実告知する。


僕の名前は寝屋川(ねやがわ) 優一(ゆういち)。日本の高校に通う、只の高校一年生。今はその高校から全自動四輪自動車で帰宅中だ。


22世紀後半の現代では、全てにおいてAIの下に世界が回っている。日々の生活も学校も、大人達の仕事でさえも。


僕の相棒によれば、何十年前だかには有り得なかったことらしい。例えば、僕が今乗っている車に乗るには、適正年齢を超えた上で試験に合格してようやく、車に乗れていたらしい。しかも乗れたといっても、手動運転の車だとか。


でも僕が生まれたころには、既にそんな代物存在していなかったから、全自動でない車なんてもはや都市伝説に近い。


優一(ゆういち)様、お母様からお電話です》


現代的で電子的な音声が車内に流れる。


お母様、ねぇ…。いい予感はしないな。


「取らなくていい。家に帰って直接話す」

《かしこまりました》


着信が留守電に切り替わったのを確認して、一つ溜息をこぼす。


悪い予感がする。その理由の大部分は僕の研究室にあるのだが……


僕の研究室には、現代から過去に行くことのできる、時空間移動装置がある。

かの国民的な、青いネコ型ロボットが出てくる、所謂タイムマシーンが。


あると言っても僕が作ったものではない。そもそもの話、今日では時空間移動装置は製作はされていても、販売、使用することは世界条約機構において禁止されている。だから僕みたいな一高校生が持っていていい代物ではないわけだ。


そんな代物が僕の研究室にあるわけだから、家族はもちろんのこと、誰が見たって驚く。


まだ母上に見られていると決まったわけではないが、嫌な予感がする。

当たらなくていい感覚程当たるものだし、まぁ最悪の事態を想定して動くに越したことはないか。


重たい目つきで空を見上げる。


この車は屋根の当たる部分にスカイルーフがある。だから上を見上げてみれば、眼前には星一つない真っ黒な空が広がる。


この真っ黒な空にもまた、昔はLEDライトのように光り輝く粒体が存在していたらしい。史実などによれば、光り輝く粒体は´星´と呼ばれていたらしいが、見たことのない僕にとってみれば、その存在もまた都市伝説的なモノでしかない。


何十年も前の時代には当たり前だったのだろうか?夜空を見上げれば星があるということは。


「はぁ……」


史実上の話にとらわれ、無気力なまでに溜息をもらす。


今の時代に関係のないことを考えても仕方がない。僕が今考えるべきことは母上の電話の用件が何なのか、ってことだ。


「ルツ、なるべく早いルートで頼む」

《かしこまりました》


route2(ルートツー)、略してルツ。僕をサポートしてくれるAIであり、今の僕の相棒だ。

僕の全ての交友関係を含めた上で、唯一と言っていいほど信頼している。まぁ僕が開発したってことが、理由としては多分にもあるんだけど……。



予定していたルートを変更して走るルツ。


しかしルートを変更しても空の風景は変わることなく、頭上にはいつもと同じ見慣れた真っ黒い空が広がっていた。


お読みいただき、ありがとうございました。

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