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村の少年、旅に出る  作者: 宮島友
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49話 泊まる場所

「タイロンの治療についてですが、これで終わりにするのではなくて、出来れば経過観察も合わせてユイさんに頼みたいのですが、お願いできませんか?」


「良いわよ。私もまだ王国にいる予定だったから。」


「ありがとうございます。」


 カイルはユイに頼みごとをした。

 タイロンに関することだが、カイルも自分の事のように心配をしているようだ。


 ユイは少し考えた後、申し出を了承した。

 大怪我ではあるが、命に関わるほどの怪我ではない為、本来であればユイの力は必要ないのかもしれないが、これでひとまず安心だ。


「それよりも、泊まる場所は決めてあるのかしら?」


「いいえ、そこまで考えていませんでした。」 


 ユイの言葉を聞いて、カイルとミーナは顔を見合わせた。リッチ王国に滞在することは決まったが、肝心の宿泊場所までは考えていなかったからだ。


「数日であれば宿屋に泊まるというのでも良いのかもしれないけれど、それ以上の日数が必要となるとそうもいかないでしょう。」


「ですよね。でも、どうしようか?」


「2人さえよければだけど、ホープ村の医者が休憩するために用意された部屋を使っても良いわよ。」


「僕たちにとっては、ありがたい話ですけど、どうしてそこまで手助けしてくださるのですか?」


「ホープ村を間接的に救ってくれたからよ!今回のマネースキーの一件で、少しはホープ村に対する態度も変わると思うから。」


「それだけの理由ですか?」


「それだけが、これまでは叶わない願いだったからよ。」


 カイル達は、ユイの本心を聞けた気がした。

 やはり、ユイにはホープ村の事が頭にあるようだ。

 それだけという言葉の中にも、様々な重たい気持ちが込められている。


「そういうことでしたら、ここに泊まろうと思います。ねぇ、ミーナ?」


「はい。ユイさんのご迷惑にならないようでしたら、お世話になります。宜しくお願いします!」


「分かったわ。じゃあ、荷物を置きに行きましょう。ついてきて。」


「はい。」


 ユイはカイル達に伝えると、近くにあるドアを開けた。

 中に入ると、多くのベッドが並べられていた。

 だが、それ以外は特に目立った物は無くて殺風景な様子であった。


「何もないでしょう。ベッドも今は使っている人が少なくなったから……」


 始めは笑顔で話していたユイだが、医者が少ない現状を伝える際には、悲しそうに話した。


「そんなことはありませんよ。今は私達の役に立っています!」


「ありがとう……好きに使ってくれていいから。」


 ミーナがフォローをした。

 きっと、ユイが辛い思いをしたのが分かったのだろう。

 ユイも嬉しかったのか、言葉をつまらせた。

 カイルとミーナは荷物を置いた後、一度 タイロンの元に戻った。


 戻ってみると、タイロンは眠りについていた。

 疲れもあったのだろうが、治療をしてもらえた安心感があったのかもしれない。


「寝てるわね。」


「今日はいろんな事がありましたからね。」


「起こすのは可哀想なので、そっとしときましょう。私達もそろそろ寝ましょうか?」


「私はもう少し残った作業を片付けてから寝ることにするわ。気にせず、先に寝て良いわよ。」


「では、お言葉に甘えて休ませてもらいます。」


 ユイとの話を終えると、ベッドが置かれた部屋に戻ったのだった。

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