浅く広くの問題点
いつもの半分程度の文章量ですみません。
まだ不慣れなアプリを使っての執筆で保存が今一つ上手くいかず、手を加えた部分がリセットされてしまったのです……。
あと、コミケ期間中は申し訳ありませんが、こんなペースとあと感想欄も少し返信が遅れ目になりそうです。
よろしくお願いします。
クロエはキキョウと共に、デーモンナイトに攻撃を仕掛け始めた。
その様子を少し離れた位置で、シルバ達後衛の三人が見守っていた。
危ないようならすぐにでも出られるように準備はしていたが、どうやらその心配は杞憂のようだ。
「へえ……今のは居合かな。聖職者や魔術師に加え、サムライの流儀まで習得しているのか……」
カナリーは顎に手を当て、クロエの華麗な剣捌きに唸っていた。
リフも同様のようだ。
「にぃ……速い。無駄ない」
「うん、盗賊や狩猟者スキルも持ってるからな。リフも参考にするといい」
「に。ためになる」
シルバが帽子の上から頭を撫でるが、リフは目の前の戦闘に集中しているようだ。
ふーむ、とカナリーは息を漏らした。
「なるほど、シルバが器用だという訳だ。しかし……問題がない訳じゃないな」
「というと?」
ぴ、とカナリーの細い指先が、クロエの爆風魔術を食らいながらもヨロヨロと起き始めたアイアンオックスを捉えた。
「どれも、決め手に欠ける。攻撃力ではヒイロに劣り、魔術もそれなりに範囲攻撃が使えるが一掃には至っていない」
「うん」
まったくその通り。
シルバが頷き、カナリーは肩を竦めた。
「……にも関わらず、戦闘はこちらに有利に進んでいるっていうのが、不思議だね」
「まあ、前提として、一回の戦闘で全力を注いでたら身体が持たないので、クロエがある程度、力を温存している部分もあるんだけど」
「うん、それは分かる」
「そもそも全部、クロエがやったら、俺達が経験積めないしな。クロエの今回の務めはメインアタッカーじゃなくて、前衛の支援だからああいうスタイルなんだよ。これが逆で、クロエが後衛だった場合は弓と回復と魔術攻撃と攻撃支援が担当になる。まあ、全部を同時にやるんじゃなくて、足りないところを担当するって感じだけど」
「なるほど……本当に器用な人なんだね」
カナリーは少し迷った。
このままだと、アイアンオックスが復活する。
しかしシルバは動かないし、どうするつもりかと思ったら、急に敵の周囲に白い煙が吹き出し始めた。
「何だ⁉︎」
動こうとしたカナリーを、シルバの腕が制した。
「あれは大丈夫。味方の攻撃だ」
クロエはキキョウと共にデーモンナイトを相手取りながら、壁にめり込んだアイアンオックスを仕留め終えたヒイロに声を掛けた。
「カートン君の仕掛けた煙幕です。アイアンオックスの足並みが乱れている内に、ヒイロ君」
「おうさー!」
ヒイロは大きく骨剣を持った腕を掲げると、煙の中に突進していった。
戦闘が終わったのは、それから五分後のことだった。
その間に、他の冒険者パーティーも戦闘を終え、この先にある大部屋で一時休息を取ろうということになった。
「さて、お疲れ様でした。回復掛けますね」
クロエが聖句を唱えながら印を切ると、淡い青光がキキョウとヒイロを包み込んだ。
「本当に何でもできるであるな、クロエ殿は」
「いえいえ、どれもこれも中途半端ですよ。広く浅くが私のモットーでして。まあ、シルバとはまるで逆ですね」
「確かに」
唸るキキョウの隣で、ヒイロとタイランも頷き合っていた。
「不思議な感じだよねー。結構戦ってるのに、あんまり疲れた気になんないの」
「そう、ですね……シルバさんとは全然スタイルが違いますけど、自分の仕事に専念できるというか。ほとんど参戦せずに、台車を牽くことに集中できましたし……」
少し離れた場所で地図を確認していたシルバに、クロエは近付いていく。
「なんか、褒められてるぞ」
地図から目を離さないままシルバが言う。
「私はいつも通りやってるだけですけどね。それに、後衛の人達は、現場に着いてからが本番ですよ」
「もうそろそろか」
「そうですね。ま、少し休憩してからもう一踏ん張りって所でしょう」




