まっち。売りの少女
時代は中性ヨーロッパ。
大晦日の慌ただしさで街中はごった返している。
そんな中、その慌ただしさと華やかな街中に似つかわしくない、ボロボロの衣服に身を包む少女が一人。
「ふぅ~ふぅ~」
雪が降り積もる中、必死に自分の手を温める。
手に下げられた籠の中には、大量のマッチが並べられていた。
「まっち。…まっち。はいりませんかぁ~」
少女は掠れた声で懸命に、行きかう人々に呼びかける。
だが、街中の喧騒はそんな少女に目もくれず、一人置き去りにされたようだった。
「はぁ~また売れないとお父さんに怒られちゃうなぁ~」
今にも泣きそうな少女の横を一人の老人が通りがかる。
衣服はしっかりとしたスーツに、とても高そうなコート。
こじゃれた老眼鏡がとてもお似合いだ。
そして、なんと手にパイプを持っているではありませんか!
「はて、火がどこにも見当たりませんねぇ」
これはしめた!!
「あの、まっち。…」
と、一歩踏み出したその時だった。
「YO!!YO!!そこのOGさん!ライターなんていらナイターYeah! 」
商売敵のTOMが印を踏みながら割って入ってきた。
OGさんもとい、おじいさんは何を言っているの分からずうろたえている。
「チッ消すか」
私はコンマ2秒ほどの速さで、胸元に忍び込ませておいたバズーカ—を取り出すと、自身の籠の中からマッチを一本取り出し、光の速さで火をつけた。
バズーカーの導線に火をつけると、激しい音とともにどんどん根元に火が移る。
「YO!!YO!!お前は火がないなぁ、SONなお前に気はあるかぁYeah」
変なラッパーに絡まれたおじいさんは、まだうろたえている。
若干、かわいそうだ。
待っててOGさん今、助けるからね。
「敵(TOM)補足、距離20、風向き…問題なし(適当)、くらえゴミ虫吹き飛ばし砲!!」
バズーカーからゴミ虫(TOM)までの直線状を轟音とうねりを上げ、ものすごい風圧が巻き起こる。
「いいぃぃぃYeah!!!!!」
TOMは上空32万フィートまで飛ばされると、星となった。
一緒に飛ばされた、おじいさんの帽子をキャッチすると私はニヤリとほほ笑んだ。
「そこの殿方、まっち。いりませんか?」
いきなり続き物になってしまった。