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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

表裏一体

警察にストーカーの届けを出した

きっと対処はしてもらえないだろう

警察に行ったことはあいつも気付いたはずだ

警戒して徹夜して見張った

だのにその日に限って何も来ない

手紙

盗撮

見てる

どこから

窓から?

違う

下着姿の俯瞰図

クローゼットをひっくり返した

何もでてこない

明日は撮影なのに

床に足の踏み場はなくなった


精神は衰弱していく

死ね

お前みたいなブスが夢見るな

田舎に帰れ

死ね

ブス

しね

シネ

ポストは壊した


来週にも撮影がある

写真は慣れっこだ

口の端

笑み

かわいい

わたしはかわいい

お母さんも言ってた

大丈夫

お母さん

モデルを目指すのね!

わたしもそうだったのよ

目を輝かせて

貴方なら大丈夫

期待を背負って出てきたんだ

都会がなんだ

長い髪をなびかせる

みんなわたしを見てる


あいつは随分と手際がいい

きっとプロなんだろう

玄関の鍵は五個に増やした

布団にハサミが刺さっていた

布団が黒い

あぁ、髪だ

かみ

髪の毛

右側がスースーした

なくなっちゃった

綺麗だったのに

綺麗な髪がなくなっちゃった

綺麗だったのに

かわいい

かわいいわたし

どこ

鏡は割った

事務所も辞めた


田舎に帰ろう

もうかわいくない

モデルの夢なんて無理だ

夢にすがるだけ無駄だ

田んぼ道を歩く

足音がもうひとつする

振り返る

だれもいない

田んぼ道を進む

足音がついてくる

振り返る

だれもいない

あぁ、こんなことになるなら強がって一人暮らししてることなかったんだ

家が見える

早く

足音がもうひとつ

早く

早く帰ればよかったんだ

人目に晒されるのは怖かったんだ

本当はこわい

カメラはこわい

人もこわい

負けるのはこわい

「やっと会えたね」

ノブに手を掛けようとしたそのとき、耳元で声がした

震え上がった

わたしの口が同時に動いたのだ

ああ、そうか

「あいつ」はわたしだったのか

こわがったのはわたしじしんだったのか

わたしは最初から夢なんて見てなかった

人の夢に浸かってた

あいつはわたしだったんだ


二重人格。

ストーカー=自分だったというオチ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ぞっとしました。彼女がこれからどうなるのか気になるラストです。
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