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原始の魔力はこう使う

どうしよう(ーー;)後半わけわからなくなってきた(´Д` )


書き直し多いにありでありますorz



評価やお気に入り登録してくださった方、ありがとうございます!続きはいつになるかわかりませんが、これからもよろしくお願いします(>_<)

純粋たる魔力はなにものにも染まり、なにものにも侵されない。それが、この世界イナールの常識。


その魔力を人々はこう呼ぶ。


ー原始の魔力

、と。





(いやいやいやっ!ありえないっしょっ?ありえないってっ!!)


原始の魔力を内に秘めたある少女は驚愕故に青褪めていた。


彼女の名はシンリ=ナット。十五歳。れっきとした既婚者である。

一ヶ月前に小国ロッソから、大国ヴェリンに嫁いできた旧子爵、現男爵ゾディアル卿の一人娘である。


色好きの両親と色好きの使用人に囲まれた彼女のは、その存在を忘れ去られていたが、何も出来ない赤ん坊がここまで育つわけもなく、八歳までは意地の悪い乳母に育てられた。その後、自力で生きてきた彼女。実は転生者である。前世の記憶は子持ちの母親で夫もきちんといた。


そんな彼女の目の前には、現夫であるバーセル=ナット伯爵の姿。彼を囲む様に五人の美女が、夫を誘惑していたのだ。


あるものは腕に胸を押し付け、あるものは首に巻きつきといった具合に、うふふあははな状態だ。


それもその筈、シンリの夫はヴェリンにおいて、竜騎士団団長を務めており、素晴らしい優良株なのだ。それを、ポッと出の小国の男爵令嬢、しかも親はヴェリンで醜態をさらしたという小娘に奪われたとなれば、ヴェリンの年頃の娘を持つ貴族たちが黙っていなかった。


夫といえば、幾人の女性が言い寄ろうとも、全く興味はなく妻一筋。


そんな夫、バーセルの気持ちを知ってか知らずか、シンリには目の前で繰り広げられるハーレムに違和感を感じた。


よく見れば、夫を囲む彼女たちの体は震えて、幾分艶っぽい笑みも引き攣っている。

相当必死のようだ。


彼女たちの目は虚勢を張りながら、あんたなんかお呼びじゃないのよ!と必死に訴えている。


シンリの夫は優良株だが、いかんせん面構えが悪かった。不細工というわけではないのだが、厳つく、その眼光は鋭すぎた。しかも、全身から溢れ出る気迫は本人の意思に関係なく他者を屈服させるものがあった。


シンリは彼女たちの必死な様子に気づき安堵した。酷いとは思うが、顔面凶器超人にハーレムはないだろうと思っていたからだ。


しかし、彼女たちの背景を思い、尚且つ彼女たちの心意気を思い、シンリはにっこりと微笑んだ。


ー落とすなら、落としてくれ!と。


したくもない結婚を強要され、その夫には毎日嫌がらせのように追いかけ回される。そんな日々にうんざりしていたシンリには、夫の顔面凶器の恐怖を乗り越え、誘惑に乗り出した虚栄に満ちた令嬢たちが天使に見えた。


淑女らしい優雅な一礼をしてその場を去ったシンリは、誰にもわからないようにほくそ笑む。


うまくいけばストレスの溜まる毎日から開放されると。




* * * * *



バーセルはとても困っていた。


今日も愛しい妻と昼食を共にしようと自宅の門を潜ると、どこから入り込んだのか、名だたる令嬢たち五人が待ち伏せしていたのだ。


困惑していると、令嬢たちは一瞬怯えを見せたのち、意を決したようにバーセルを取り囲むと、次々と体を押し付けてきたのだ。


それが何を意味するかわからないほど子供ではないバーセルは、妻に会う前はそれなりに遊んではいた。しかし、妻に会ってからは妻一筋だ。故に、どんなに令嬢たちが美しかろうとも全くなにも感じない。それどころか、こんなところを妻に見られたらと思うと言い様のない苛立ちが生まれる。


仮にこれを見られたとして、責められるならまだいいが離縁を申し出されたら、多分妻を無理矢理ものにした上で、令嬢たちとその親類共々抹殺してしまうと思うバーセル。


しかし、今の自分が令嬢たちを振り切れば、令嬢たちが吹っ飛びかねない。


そうこうしているうちに近くに妻の気配を感じるバーセルは俄かに焦り出す。そして、感じる視線の先には、屋敷の陰からこちらを窺う妻の姿が見えた。


(違うっ!違うんだっ!!)


そう叫びたいのだが、妻の色を無くした顔を見て暗い喜びが湧き上がる。


(シンリが嫉妬をしている…!?)


完全に誤解をしたバーセルだが、バーセルの視線の先にシンリがいることに気づいた令嬢たちがシンリの方を向き、なにやら威嚇をする気配を感じた。


令嬢たちの体が細かく震えている気がするが、それよりもシンリの次の行動が気になるバーセルの頭の中には、泣きながら去って行くシンリの姿がチラつく。


もしこれで泣かれでもしたらと思うと、自分も令嬢たちも許せない。


(シンリの涙は甘いんだろうか?)


許せないが、想像したシンリの泣き顔は可愛らしく、涙を舐めとってやりたくなる。心配しつつも邪な妄想が膨らみだしたバーセルは、次の瞬間に驚愕した。


妻が結婚して始めて、にっこりと微笑んでくれたのだ!


歓喜に打ち震えるバーセルは一礼して去って行く妻を追いかけるために令嬢たちに声をかける。


「失礼だが、お帰り願えないだろうか?」


嬉し過ぎて顔が緩みそうになるため、感情を押し殺してそう伝えると、令嬢たちは慌てて飛び退いてくれた。


すぐさま走り出すバーセルは、はたから見れば獲物を見つけた猛獣のようであった。


愛しい妻をすぐにでもこの腕に抱き締めたいバーセルは、シンリが浮気を疑うことなく自分を信じてくれたと思っている。


後に残された五人の令嬢は、先程とっと帰れ雌豚どもがと聞こえたバーセルの声に慄きながらも、そんなバーセルに心からの笑みを浮かべるシンリに、これはかなわないとガックリとうな垂れるのであった。




* * * * *



シンリは先程見た光景を思い出しては、ニコニコとしていた。幾人かの使用人たちとすれ違い、それらに機嫌良く声をかけていた。


そんなシンリに度肝を抜かれた使用人たちだが、一ヶ月前に屋敷にきた主人の妻が、初めて機嫌が良いとわかり嬉しく思った。


ー漸く旦那様の思いが伝わった!


そう思う使用人たちは、顔面凶器の主人を心から敬愛していた。


久々に愉快な気分を味わっていたシンリだが、背筋に薄ら寒いものを感じて、顔が強張り出す。


(何か来るっ!!)


シンリの第六感が激しく警鐘を鳴らし始めた。


その感覚はまるで…そう、夫が迫って来るような…!


ハッと振り返れば、ものすごい形相と勢いで迫り来る夫の姿。


「ひっ!?ひぃぃいいいぃぃぃぃぃっ!!」


息を呑む音は悲鳴に変わり、シンリは弾かれた様に向かってくる夫とは反対側に走り出した。


逃げ出すシンリにバーセルは少し驚いたが、恥ずかしがっているのだろうと見当をつけると、さらに笑みを深くした。


ただその笑み、シンリには今から痛ぶってやろうという笑みにしか見えなかった。


夫から逃げ出したシンリだが、結局は捕まることを知っている。だが、毎度ながら無駄な足掻きでもしないよりはマシだとばかりに一生懸命に足を動かす。お陰でシンリの身体能力は上がりつつある。


シンリは廊下の陰に逃げ込むと、静かに息を潜めた。


足音が遠ざかる音がするが安心は出来ない。なにせバーセルは、普通じゃないのだ。


案の定、後ろから凄まじい圧迫感を感じたと思った時には、シンリはバーセルの腕の中にいた。


「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!?」


声にならない声がシンリの喉で鳴る。


「愛してる…」


後ろから抱き締めてくるバーセルの囁きがシンリの耳を擽り、その唇でシンリの耳を軽く食んだ。


「〜~~っぎあぁぁぁぁぁああぁあああぁぁぁぁぁぁああぁあああぁっ!!」


ドッゴォォォーーーンッ


シンリの雄叫びが屋敷中に響き渡り、バーセルの体が屋敷の壁を打ち抜いて、彼方へと吹っ飛んで行く。


シンリの力、原始の魔力には、力を封じる術式は通用しない。それでも、律儀に自分の送ったアクセサリー類一式を常に身につけている妻にバーセルは吹っ飛ばされながら愛を感じていた。


原始の魔力ー。

それを手にした者は、世界を手にすると言われる。


しかし、イナールにおいて、その魔力の存在は確認されていない。


その魔力の存在を知っているのは、その魔力の持ち主シンリとその夫、バーセルのみ。


バーセルは、瓦礫の下から己の魔力を開放すると、瓦礫を吹っ飛ばし、再び妻の捕獲に乗り出す。


妻はというと、周りの魔力に己の魔力を染め上げて、身を隠しているのだが、バーセルには通用しなかった。


すぐさま転移の術式を展開し、愛しい妻の元へと向かう。


数分後、夫に撫でくり回されながら意識を飛ばす妻の姿があったとか、なかったとか。

で、結局連載紛いになってしまうorz


一応、完結から連載に切り替えます。次回は…いつかなっ!?

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