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◆◇◆◇


 床に正座させられた飛鳥は、ベッドで尊大に足を組む、黒いローブを纏う堕天使を見上げていた。


「つまり、サハリエルさんは神様に反逆して封印され、善行を積まないと天国に帰してもらえないと」


「えぇ、何度も言わせないで」


 嘆息する彼女の表情は、心底めんどくさそうだ。


「いえ……神や天使とか流石に馴染みが無くて」


「面倒ね。あなた、宇佐美の人間でしょ? 慎二は生きてるかしら?」


 彼女の言葉を受けた飛鳥の表情が驚きに固まる。


 宇佐美慎二――それは彼の祖父だからだ。


「えぇ……今年で78歳ですが、ピンピンしてますよ」


「そう、なら彼に電話なさい。あなたの前は彼だったから」


 躊躇いもあるが、今は一つでも情報が必要だ。


 同時にわずかな好奇心も働き、飛鳥はスマホを取り出して緑色のチャットアプリを開く。

 電話をかけると、遅くであるにも関わらず、数コールの(のち)に祖父は出た。


「飛鳥か。久しぶりだな、元気しとるか?」


「じいちゃん久しぶり、うん元気元気。ところで実は……」


「えっ? マジ? 堕天使のサッちゃん、そっち居んの?」



◆◇◆◇


 どうやら彼女の話は本当のようだ。


 大聖堂は遥か昔に、サハリエルを封じるために建てられた。

 そして、その管理を担っているのが宇佐美家らしい。


 彼女が帰還するには多くの人間の願いを叶える必要があり、一人の人間の願いを叶えると再び彼女は封じられるらしい。

 

 彼女が右手の指を弾けば、手の上に大ぶりなクリスタルが出現した。


 先端部分は透明で、その下は紫色の怪しげな光が満ちている。


「このクリスタルに光が満ちた時、それが私が(そら)に還る時よ。それにはあと一人の人間を救えば良い――」


「それが僕というわけですか」


「そのとおりよ」


 彼女はベッドの上に立ち上がると、腕を組み高圧的に飛鳥を見下ろした。


「さぁ、人間よ。この高潔にして偉大なる堕天使サハリエル様に願いを言ってみるが良いわ!!」


 堕天してる時点で高潔ではないのでは、というツッコミを飛鳥は必死に飲み込んだ。


「それでは……自分にピッタリな彼女が欲しいです」



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