表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

II


◆◇◆◇


 赤煉瓦造りのレトロな趣きを漂わせる最寄駅へと着くと、飛鳥の体は自然と動き出した。


 肌寒さに体を抱きしめながら出口をくぐれば、硝子(ガラス)の空が割れたかのように光り輝く粒子が空を舞っていた。


 飛鳥の吐き出した息も白い煙となり、夜空を気ままにに踊り、消えてゆく。


 実らぬ恋とは、わかっていたつもりだった。


 今日は笑顔で彼女を想い人のところに送り出すつもりだった。


 それでも自分の中に、わずかな期待の気持ちが残っていたのだろう。


 飛鳥は、家への少しだけ長い道のりを歩き出す。


 ニッチな本を取り扱った書店、五十年以上続く洋食屋、和洋折衷なチグハグ感のある喫茶店。


 飛鳥は、この時代の進歩から取り残されたような街が好きだ。


 ふと、左側へと視線を向ければ坂を登った先に古びた大聖堂が見える。


 尖塔が立派なゴシック様式の聖堂であり、長い年月による風化が進んでいた。


 おそらくは何十年と使われていない廃墟と化した聖堂だ。


 いつもならば素通りする場所だが、この日は妙に聖堂の存在が気になった。


 飛鳥の足は自然と方向を変えて坂道を登り出していた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ