第50話:たとえあなたが愛してくれなくても(2)
一つだけ、疑問に思うことが残ったので、私は終わりに陛下に尋ねた。
初めて私がカレル・クラマルス宝石店に行った日。
私はアリシアに導かれてあの店へ行ったのだった。
アリシアは、カレル・クラマルスのお店のことを知っていたし、カレルさんと親し気に話をしていた。
アリシアが生まれてから、彼女がカレル・クラマルスに会う機会は無かったはずなのに……。
すると、彼は昔を懐かしむように目を細めながら言った。
「セレスタに頼まれたんだ。
いつも宮廷で窮屈な思いばかりさせていたアリシアを、少しでも喜ばせるための『戯れ』だった。
王宮には、自分たち親子が寛げる場所は無かったからな。
セレスタは息抜きのために、しばしばアリシアを連れて『王族御用達』の宝石店、カレル・クラマルスの店を訪れた。
カレル・クラマルスが二人のためにアクセサリーを選び、髪色や目の色、姿かたちを変えて、三人で近くのカフェを訪れるのが、何よりの楽しみだった」
私は胸が温かくなった。
三人にも、そのように心安らげるひと時があったという事実が、救いだと思った。
アリシアは、カレルさんのことをとても慕っている様子だった。
思えば、私をカレルさんと出会わせてくれたのはアリシアなのだ。
賢いアリシアは、カレルさんがヨハン国王であることも、すべてを知ったうえで、私をあの店へ導いてくれたのかもしれない。




