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嫌われ悪女セレスタが殺された理由  作者: 滝川朗
第三章:カレル・クラマルス宝石店
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第15話:職業安定所とか、ないのかな。

 私は伊達眼鏡を付け、今日は長い髪を一本の編み込みにして左の肩に流し、アリシアとおそろいの文学少女スタイルになって、意気揚々と家の外へ繰り出した。


 大きく伸びをして深呼吸する。


 久しぶりに浴びる日差しがまぶしくて、ヨーロッパ風の町並みがキラキラしていた。


 取りあえず、職を探したいな。

 いつまでもお兄さんのすねかじっているのも申し訳ないし。


 でも、そのためには、アリシアを預かってもらえる場所か、アリシア付きでも雇ってもらえる場所を見付けなければならない。

 現代日本なら、保育園とかファミサポさんとかあったけど、この世界はどうなんだろう?

 シッターさんとか、お手伝いさんとか、雇えないのかな?

 職業安定所とか、ないのかな。


 それと、誰かにこの黒髪の超絶イケメンの肖像画を見せて、この人がどこの誰だか聞き込みもしてみたい。

 でも、これを見せても大丈夫なぐらい信頼できそうな相手がいいな。

 高価な代物みたいだから、ほいほい見せたら盗られちゃうかもしれないし。


「ねえ、アリー、どこか、アリーの行ったことのある場所って、ないかな……?」


アリシアはニコニコしながら指差す。


「んとね、あそこ!」


 え……っ?あそこって、あれ?

 バッキンガム宮殿?

 この国の、王様が住んでそうな、素敵なお城よ……?


「あそこ……?」

「うん!あそこ!」

 

 お城に、行ってみるか?

 この子の父親誰ですかー?って?


 この国の王様と庶民との距離感が、どんなものかは分からないけど、お願いしたら謁見えっけんできるような存在なのかしら。

 門前払いされるだけかな……。


 お城に行ってみるべきか迷いながら、街中をブラブラ歩いていたら、アリシアが突然立ち止まった。


「あ!このお店……!」

「なになに、見覚えある場所なの?」

「うん!おとうしゃまの……じゃなくて、フィーのアクセサリー、売ってるとこだよ!」


 おとうしゃまの、アクセサリー……なるほど。

 フィドル・クルールは宝飾職人だ。

 彼の作る宝飾の、おろし先と言うわけか。


 目の前には、一見したら宝石店とは思えない、地味で目立たない一軒家があった。

 扉に深緑の黒板のような看板が掲示されているだけだ。


『カレル・クラマルス宝石店』


 深緑色の看板に、金色の塗料で書かれた文字だった。

 セレスタは、文字が読める。

 明らかに日本語じゃないし、いまこうして喋っている言語も日本語じゃないんだけど、そこは転生したからか、セレスタの身体が覚えているのか、この国の言語は何不自由なく自由に使えるみたいだった。


 私は意を決して扉を開けた。



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