Episode40
部屋に戻り、静かになった空間の中で、美菜はぼんやりと天井を見上げた。
(……なんか、夢みたいな一日だったな)
ゲームをして、気づけば瀬良の家でゴロゴロして、一緒にご飯を食べて、送ってもらって――
(しかも……好きだよ、なんて……)
ふいに思い出して、また顔が熱くなる。
「~~っ!!」
ベッドに倒れ込み、枕に顔を埋めた。
(ダメだダメだ、考えたら恥ずかしくなる!!)
それでも、頬の熱はなかなか引かない。
(でも……すごく、幸せ)
ふっと笑みがこぼれる。
きっと、瀬良は特別に何かをしようと思っているわけじゃなくて、ただいつも通りにしているだけなのだろう。
でも、その「いつも通り」が、美菜にとってはとても特別に思えた。
(もっと、いろんなことがしたいな……)
一緒に出かけたり、美味しいものを食べたり、まだまだ知らない瀬良の一面を見たり。
少しずつ、ゆっくりと。
スマホを手に取り、瀬良とのトーク画面を開く。
『今日はありがとう! ハンバーグ、また作るね』
送信。
しばらくすると、短い返信が届いた。
『楽しみにしてる』
その一言が、なんだか無性に嬉しくて。
(よし、次はもっと美味しいの作るぞ)
小さく拳を握りながら、幸せな気持ちのまま、美菜はその夜、静かに眠りについた。




