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誰が召喚したか知りませんが、私は魔獣ではありません  作者: もっけのさひわひ


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つよつよすぎて泣きそう

「あの、どうしたらいいんでしょう……」


 そう私に問いかけたザコルの前には。


 目を血走らせ、涎をダラダラと流しながら、拘束をものともせず這うようにしてザコルに近づこうとする、二人の男が……。


「やらしい顔してますねえ。ザコルのこと見ないで欲しいので私が処しましょうか」

「違っ、待ってください。殺るなら僕がやりますから」

「ええーっ、やだやだ、こんなの触らないでほしい! 私ならほらっ、レンチン一発ですから!」

「ミカこそそんなことで手を汚さないでください」

「それか、みぞれ沼か新雪にしまっちゃいましょうか? 春までさようならー」

「話を聞いてください」


 押し問答。


「姫様、ゴミしまっとくと後でうわあってなりますよ。で、ジョジーちゃんとミイちゃんにコメントもらってくれません? ちなみに俺的にはこれ、まだまだ全力じゃないなって思ってます」


 サゴシは「これ」と明らかに正気じゃない曲者二人を指した。


「えっ、これで全力じゃないの。手加減しちゃったんですか? ザコル」

「いえ、僕としては思いっきり放ったつもりだったんですが……」


 ザコルはまた困ったように眉を下げる。どうやら、曲者が豹変して困っているのではなく、サゴシに『ちゃんと真面目にやったんですか』と言われて困っているらしい。


「ミイとジョジーはどう思う?」


 ミイミイ、キキィ。

 魔獣の二匹も、ザコルのポテンシャルだったらこんなものではないとうなずいた。


 こんなもんじゃないって、今でさえドン引きレベルの発狂ぶりなのに、一体どうなってしまうんだろうな……。


「俺の推察言っていいですか。多分ですけど、猟犬殿って尋問大魔王じゃないですか、だからクセが抜けないんじゃねーかなーと」

「なるほど、完全に廃人にしちゃうと尋問にならないからだ!」

「姫様マジで話が早いっ! 好きぃ!!」


 ぱちぱちぱちぱちっ。

 褒め褒めタイムの続きだろうか。変態忍者の妙にキレのある拍手にはありがとうありがとうと鷹揚に応える。


「そうか、そう言われてみると。尋問は生かさず殺さずが基本ですから」

「合理主義のザコルらしい癖ですねえ」


 ザコルは闇の力を尋問の足しになる力くらいにしか考えていないのだろう。しかもザコルは長年物理最強の座に君臨してきた。物理以外の力で『殺し』をするまでのイメージが湧かないのかもしれない。


「せっかくなんで、上限知るためにも本気になってもらいたいんですけど、何かトリガーとかないかなーって」

「トリガー? うーん、そうだね、尋問大魔王の弟子に訊いてみようか」

「お呼びでしょうか」


 ササッ。執事がやってきた。


「早いねタイちゃん」

「俺もいますよお、大魔王の尋問はこの目で見てたんで」


 チャラ男もやってきた。

 かくかくしかじか。二人にざっくりと事情を説明する。


「トリガーでございますか。それはもちろん」

「ああ、そりゃもちろん」


 尋問大魔王の弟分認定の二人は顔を見合わせる。


「姐さんすね」

「ええ。ミカ殿です」


 うんうん、そして二人してうなずき合った。


「私? でも私、曲者の尋問にはほとんど参加させてもらったことないよ」

「姐さんの話題をネットリ語ったヤツらがいたっしょ。あん時ゃマジにヤバかったっす。タイさんもブチギレてたし、終わってからも浄化浄化めっちゃ言ってたしよ」

「ああ、教会で邪教徒尋問した時ね。うーんじゃあさ、この二人を邪教徒の曲者に交換して、また語ってもらう? ……ああでも、ザコルがまた嫌な思いするのはやだなあ……」


 怒るのだって心を消耗する。モヤモヤも残る。わざわざそんなことをさせなくたって…………


「ミカ、ここで僕を甘やかしてどうするんですか。検証なんですよ? それに、嫌な思いをするのはミカかもしれないんです」

「兄貴の言う通りだろ。あん時だって……」


 そうだった。気の立っているザコルとタイタに荷車を押させながら、エビーを脅……いや、エビーに頼んでまで尋問の内容を聞き出したものの、ザコル以外の男に触られる可能性を考えてしまい、つい不安になってしまった。


 あの時も、ザコルは黙って抱っこしてくれたっけ。


「もう大丈夫だよ。今なら、例えあの香を使われたって彼らが私を完全に無力化することは不可能だからね」

「ミカ……」

「だからもう、邪教が何考えてたって平気ですよ」


 にこ、と笑ってみせた、のに。


「いや、なんでみんなお通夜みたいな顔するの?」


 私は護衛達の表情が解せず、首をかしげる。


「だって、だってよお……っ」

「ミカ殿が、自らの不安と、ザコル殿の負担を取り除くためにご自分を高めていらしたのは重々承知しております。しかし……っ」

「あーもー姫様がつよつよすぎて泣きそう俺!」

「それな、それなでございます!!」

「あはは、君達本当に仲良くなったよねえ」

「もおお護衛を子供扱いすんなよっ、たまには弱音とか文句とか吐けよもおおお」

「それなでございます!!」

「弱音も文句も吐いてるよ。ちゃんと頼りにしてるから。いつもありがとね、みんな」


 強くならなければいけなかったのは私だけじゃない。皆で一緒に強くなってきたのだ。


 ぎゅむ、まだ闇の気配をまとったザコルに抱き締められる。


 つんつん。


「つぎ、どぅする。やめる、か?」

「あっ、穴熊さん。えっとすいません、そこの発情してる二人、邪教の人と交換したいんですけど」

「はぁ、しょぅち、した」


 お前ら何やってんだ、とばかりに割り込んできた穴熊達に笑いつつ。


 検証はまだ始まったばかりだ。




つづく

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