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誰が召喚したか知りませんが、私は魔獣ではありません  作者: もっけのさひわひ


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皆の癒し

 しばらくタキと楽しく談笑していたら、両脇をジョーとマハロに抱えられ、前後をワットとカンゾーに固められたリュウが診療所に帰還した。


 先ほど飛び出したリュウのあとを追いかけようとしていた年嵩の看護師と、奥に控えていたアラフォーくらいの看護師二人がわっと玄関に駆け寄る。


「ああ、見つかって本当に良かった! お友達に感謝ね。リュウ先生ったら。心配したんですよ。突然どうなさったの」

「外套もなしに。そんなに薄着で外に出ては危ないでしょう?」

「あ、あああの、ぼぼ僕もど同志……っです、かか、過保護、では……」

「過保護なものですか、普段鍛えている同志様でも何でも、若者を心配するのは年配者の役目です」

「シシ先生にもリュウ先生の生活を気にかけてやってくれと頼まれましたからね。さあ、今日のお夕飯は何にしましょうか。いつものシチューではそろそろ飽きたでしょう?」

「い、いや、きょ今日もシシシシチューでだ、だいじょぶ」

「量は足りているのかしら。若者にご飯を振る舞うのが久しぶりでよく分からないのよ」

「リュウ先生は日中も忙しいっていうのに、お勉強や研究ですぐに夜更かしなさるから。そうだわ、お夜食もとどけましょうか。育ち盛りだものね、そうしましょう」

「だだっだだいじょぶ、です! ぼ僕っ、そそ育ち盛りのっここっ子供っじゃああありままっ、せん!!」

「あら、うちの息子はリュウ先生の年頃でもまだ背が伸びていましたよ?」

「こここれ以上っの伸びたら不便っ!!」

「まあ。不便ですって」


 うふふふふふ。


 リュウはシータイへ水害支援にやってきた同志の中でも年若く、確かハタチそこそこだったと思う。気弱な性格とは裏腹に、その背丈はうちのタイタと並ぶ百九十センチ級、猟犬殿に憧れて鍛えた肉体は隆々として、白く輝く銀髪に赤っぽい瞳は、まるで雪の森を住処とする雪男や雪女のごとき雰囲気だ。


「リュウ。やっと会えましたね」


 さああああ。

 リュウの青みのある白い肌がさらに血の気をなくす。


「ひひぃっ、ひひひひぃぇぇりょりょりょっりょう猟犬さささささまままああっ」


 跳び上がりそうになるも、他の同志にガッシリと固められていて未動きならないリュウである。


「にっ、にに逃げ、ももも申し、わけっありま」

「別に構いません。よくしてもらっているようで安心しました」


 よくしてもらっているというか、お姉様方にめちゃんこ甘やかされているというか……。



「ザコル様。リュウ先生は診療所の救世主で、皆の癒しでもあるんですよ」

「この子ったら、ザコル様とミカ様に会いたい、僕も子爵邸に行ってみたい、シシ先生コマ様早く帰ってきてって、ずっと言っておりましたのにねえ」

「昨日からずうっとソワソワびくびくして。患者にまで心配される始末で」

「もももうっ、やや、やめてくくくださいっ」


 プンスカするリュウの姿など初めて見た気がする。それだけ看護師達に心開いているのだろう。


 前の職場では若い看護師達と折り合いが悪くて逃げ出してしまったそうなので、打ち解けられているなら何よりである。




つづく

いつもより短いですがご査収をば。

来週は話が進むと思います!

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