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誰が召喚したか知りませんが、私は魔獣ではありません  作者: もっけのさひわひ


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理想は追求すべきですよね

 町民、カリューからの避難民、パズータの民、チッカから来た見物人、または役人めいた人。


 祭でも開かれているのかというような人数が町の中にあふれ、あちこちで騒いでいる。

 マージが派遣した『落ち着いている』者達が見張り、何とか押さえているような状況だった。


 そんな中で、イーリアとマージが会見の場所に選んだのは、なんと放牧場だった。門の外だが、これ程膨れ上がった人数を収める場所が他に無いのかもしれない。


「町中に人があふれ返ってるだなんて。子供達や妊婦さん達はきっと不安がってますよね…。あの、私達はどうやってこの屋敷から出るんですか?」

 マージから町の状況を聞いた私は、隣にいたザコルに訊いた。

「まずは、屋敷の前に集結している者達を放牧場に移動させてからでしょうね」


 カーテンの隙間からそっと覗いてみると、町長屋敷の使用人が何人か出て、集まった者達に放牧場に集まるよう声をかけていく。数人が移動し始めると、その場のほとんどの者がそれについて移動していった。残った数人は、群衆に紛れてこの屋敷に近づく曲者を警戒していた衛士や自警団の者らしい。


 屋敷の前が少し静かになったのを見届け、マージが同志村メンバーと私達に向かって話し始める。


「自警団に周りを固めさせますから、皆さんは一塊になっていただきます。それから、ドーシャさん? 外で黒子を被って武器などを携帯していると、怪しんだ町民に捕らえられかねませんわ。せめてお顔は出していただいた方がよろしいかと…」

「奥様! 山の民の皆様が外にいらしております」

 執務室にメイドのメリーが駆け込んできた。

「そう、きっとミカを護る気ね」

「ミカ、行きましょう」

「はい!」

 ザコルに手を引かれ、私は急いで立ち上がった。



 一階に降りると、玄関ホールに山の民リーダーのラーマと、見知らぬ男性、そして小柄な…

「あっ!! もしかして…シリルくん!?」


 見知らぬ男性と思ったのは、水害当日のあの時、シリルと一緒に川で流されそうになっていたシリルの父親だった。


「この度は、私共の命を助けていただき、誠に、誠にありがとうございました」


 父親とシリルは深々と頭を下げた。

 ラーマと、その背後のリラと母親、祖母も同じように頭を下げて控えている。


「顔を上げてください。無事で何よりです。体温がかなり低くなっていましたので経過が気になっていました。結局あの民家の夫婦に任せてしまいましたが、後遺などはありませんか?」

「ございません。あの親切なご夫婦から、ザコル様が応急処置までしてくださったと伺っております。お陰様で、息子共々ここまで回復する事ができました。お礼に参るのが遅くなりました事、お詫び申し上げます」

 あの川には既に仮設の橋が架けられたようで、二人はそれを渡ってこちらに来たようだった。

「いえ、むしろ早すぎるくらいです。あれからまだ一週間も経っていませんから。無理はしないように」

「はい。重ね重ね、ご厚情痛み入ります」

 父親は再び頭を下げる。


「ミカ様」

「は、はい! ご無事で何よりです」

 話を向けられて飛び上がってしまった。

「私共のために、まだ公表されていなかったお力を迷わずお使いいただいたと、そう聞いております。王家や邪教なる者共から狙われるお立場だったとも…。何と感謝申し上げればいいか…」

「い、いえ、勢いで前に出てしまっただけなんです。結局私は足場の一部を作ったくらいで、ザコルさんがいなければあれを渡る事もできなかったんですから…」

「まあ、腹立たしくも絶妙なアシストでしたね」

「もう、ザコルのそれ何なんですか。無茶をしたのは分かってますって。…シリルくん、無事で良かったよ。本当に…」

 少し屈んで、俯く少年の目線に合わせようとするが、彼はそっと目線を逸らした。

「お姉さ、いえ、ミカ様、命を救っていただき、ありがとうございます、俺…」

「? …どうしたの、シリルくん」

 シリルは俯いたまま頑なにこちらを見ない。私が何か余計な事でもしたかと不安になる。


「あの、俺、ミカ様がこんなに偉い人だと知らなくて、屋台でもミカ様に嫌な態度とった、と思います…なのに…」


 もしかして、チッカでの出会いの経緯を親にでも話して叱られたんだろうか。

 それなら。

「うん? 何言ってるの、私なんて何も偉くないし、シリルくんだって事情を話したらすぐに親切にしてくれたでしょ。私達仲良くなれたと思ってけど、違った?」

 そう言えば、シリルは俯いたままブンブンと首を振った。

 私はコートの前を少し開き、中のスカートをつまみ上げてみせる。それが目に入ったのか、シリルがハッとして顔を上げた。

「それ、俺が選んだやつ! 本当に着てくれてるの!?」

 父親が彼を咎めようと動いたので目線で制す。

「これはお気に入りだからしょっちゅう着てるよ。上着の方は避難民の誰かに譲っちゃったんだけど…ああ、そうそう。あの古着達ね、大活躍だったんだよ! 着る物のない避難民の皆に配ったら喜ばれてね。あっ、そのせいで次に屋台で売るものがなくなっちゃったかも…」


 丸ごと買い占めた事に後ろめたさはないが、あの癒しの店が再開できなくなるのは寂しい。


「へへ、そんなのまたすぐ集まるよ。俺達も何か売れるもん作って出すし。春にまた買いにきてくれるって、約束だろ」

「そうだったね、楽しみにしてる。ほら、リラもおいで」

 母親の後ろに隠れ、ずっとソワソワしていたリラに声をかける。


「ミカ!」

「あ、リラ! 前に出ては」


 母親の手を振り切ってリラが私の懐に飛び込んでくる。

「ミカぁ…」

 リラが私の腰の辺りにぐりぐりと頭を擦り付ける。彼女の明るい茶髪に手を回した。

「リラ、お父さんとお兄ちゃんが帰ってきて良かったね、あの時、リラが頑張って走ったから間に合ったんだよ。偉かったね」

「ミカぁ…うう、うえぇ、うあぁぁ……」

 リラが泣き出してしまった。

 私はザコルがしてくれたのと同じように、ゆっくりとリラの背中を撫でた。


「この泣き方、ミカそっくりではないですか」

「嫌ですね、私なんかと一緒にしないでください。リラの方がずっとお利口ですよ」


 リラが泣いた所を見たのはこれで二度目か。それ以外では常に笑顔を振りまいていたし、いつも私達の味方をしてくれた。

 その明るさと献身こそ、彼女なりの礼の示し方だったのだ。陰ではたくさん我慢もした事だろう。


「リラも寂しかったはずなのに、毎日元気を分けてくれたね。ありがとう。リラの気持ち、たくさん、たくさん、受け取ったからね」


 黙って目元を拭うシリルの事も引き寄せ、二人を抱き締めた。

 二人の母親が近づいてくる。

「あっ、ごめんなさい、勝手に二人を…」

 しまった、夫と息子の不在で一番心細かったであろう彼女の前で、無遠慮に子供達を抱き締めてしまった。

 母親は勢いよく首を横に振る。


「いいえ、いいえ、こんなに、娘や息子に親身になってくださって、本当にありがとうございます…! ここで待つ間、私達だけではきっと、娘にここまで寄り添ってやれなかった…っ」


 母親が涙ぐみ、嗚咽を漏らす。シリル達の祖母がそっと彼女の肩を抱いた。


「感謝したいのは私の方です。娘さんには本当に元気づけられたから…。リラはいつでも優しくて、勇敢でした」


「私の前にも臆さず出てきたな、恩人を守ろうというその意気、立派だったぞ」

「イーリア様」

 イーリアが膝をつき、シリルとリラに目線を合わせる。

「次に山を守っていくのはお前達だ。サカシータはこれからも麓を守る番犬として、山神様とお前達に恥じぬ治政を誓おう。此度は無事の生還、何よりであった」

「ありがとうございます、子爵夫人様」

 シリルがしっかりとした声で応えた。リラも鼻を啜りながらお辞儀する。




 屋敷の玄関の前には、数人の自警団と共に、皆同じ刺繍入りのローブを被った山の民達が集まっていた。

「おばあちゃ…長老様」


「異世界より渡られたる聖女ミカよ。そしてそれを護る猟犬ザコル。私共がお供いたしましょう」


 先頭にいた長老がそう言うと、後ろに控えたローブ集団が一斉に膝をついた。

 大袈裟…と口をつきかけたが、シリルとその父親の命はそれ程までに重かったという事なのだろう。


「感謝する」

 ザコルがよく響く声で言った。人見知りのくせにこういう時はちゃんと声出せるのほんと推せる。

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 私もしっかり頭を下げてお礼を言う。


 山の民と自警団の人たちに四方を囲まれながら、イーリアとその側近、黒子を外したドーシャと同志村陣、私達テイラーチームとコマ、マージと使用人マダム達という順番で並んで歩く。使用人マダム達はマージの護衛役なんだろうか。


「コマさん、その外套というかローブは…」

「山の民ってのに借りた」

「やっぱり!? 何で!? っていうか超似合ってる…!! 超、かわいいぃぃ……ッ」

「うるせえ落ち着け泣くなボケ」


 確かにコマは外套らしい外套は持っていなかったので人に借りるのは解るが、どうしてほぼ初対面であろう山の民から平然と借りているんだろう。しかしそんな事どうでも良くなるくらいにはよく似合っていた。


 深い紫がかった紺色の厚手生地に、鮮やかな色糸で緻密な刺繍が施された異民族のローブ。それをすっぽり被った色白で線の細い美少女っぽい人。はい国宝。


「ね、ねえ皆、コマさんが何事かってくらい可愛いの、ちょっと見てよ」


 私は止まらぬ涙もそのままに、前を歩く同志村女子達に声をかけた。

 そしたら、何故か全員が私を超える酷い泣き顔で振り返った。


「ど、ど、どうした皆!? 何事!?」

「何事はミカ様ですよおおー…もう、さっきの子供達とのやりとり…っ、涙腺崩壊ですうううぅぅ」

 ピッタが滂沱の涙を流しながら叫ぶ。

「俺もっす…ふぐ…っ」

「エビーまで何やってんの!?」

 いつから女子達に混じって泣いていたんだ…。


「リラちゃん、今日までずっと笑顔でしたよね…」

「ミカ様にって、わざわざ同志村まで牛乳を届けにも来てたわ」

「家族を救ってくれたミカ様と猟犬様に恩返ししたかったのよ」

「心細かったでしょうに…ずっと、ずっと我慢して…」

「ミカさんは解ってたんすよね、だから最初っから距離詰めて、気にかけて…っ」

 わっ、と女子とエビーが声を上げて泣きじゃくる。


「ちょっとちょっと、リラはいい子だけど私は関係ないでしょ。気にかけてたっていうか、何となく頑張りすぎそうな子だなーって思って…」

「頑張りすぎはミカさんでしょうがぁ! 俺ぁ女の子が健気に頑張ってる姿とかに弱いんすよおお!!」


 …ああ、なるほど。それが君の、当初の『氷姫像』か。エビーは私を年下の健気な女の子だと思っていたのだろうから。


「うち、姉ちゃんの他に歳離れた妹もいて、小さい頃は俺がずーっと世話見てたからもうほんとさっきの泣けて泣けて、あのお母さんの方にも共感しちまって…」

「えっ、まさかの親目線」


 このチャラ男従者、推しを『親目線』で見守るタイプだったのか。意外だ、年頃男子らしく若手女優とかアイドルに憧れるタイプかと思っていたのに。

 えっ、もしや『うちの姫は大物』って親目線で言ってる…? 一瞬でも自分がグラビア枠だと思った自分が恥ずかしくなってきた。


「リラ殿…。あの歳で素晴らしい忠誠心だ」

 タイタは何か皆とは違う見方で感動しているようだ。



 私は気を取り直し、再びコマの方へと視線を戻す。彼は何食わぬ顔で私の左隣をテケテケと歩いている。


「ねえ、ザコル。ほら、コマさん可愛いですよね、ね」

 右隣を黙って歩くザコルに意見を求めてみた。

「他が話にならないからといって僕に振らないでくれますか。緊張感が無さ過ぎでは?」

「色々と情報過多で緊張どころでなく…。ね、コマさんが可愛い事だけでも共感してください」

「いや、それで僕がコマ相手にそのような感想を持ち合わせるとでも思っているんですか?」

「思いませんけど! うんって言ってくださいよぉー」

「……う、うん、はい、完成度は、高いですよね、相変わらず…」

「わあ!! まさかの百点満点回答!! ありがとうございます!! まさしくコマさんは完成度が高い!!」


 完成度が高い。なんてしっくりくる言葉なんだ。次から私も使おう。


「お前、つくづく変な女だよな…」

 がーん、完成度の高い美少女っぽい人につくづく変って言われた…。

「気ぃ抜くんじゃねえぞ。これから門を出るんだ。何か飛んでくっかもしれねえからな。その肉壁から離れんなよ」

「肉壁て…。まあ、そうですよね。門の外にはどんな人がいるか判らないですもんね」


 門の外に集まったのは顔見知りばかりではない。

 王弟や邪教は私を生捕りにしたいだろうから暗殺される事はないだろうが、渡り人に別の感情を持つ者がいないとも限らない。それに、私が狙われるならまだいいが、例えば渡り人に関わったせいで素人の同志村陣が狙われたりする可能性が無いとも言い切れない。何かあったらすぐ動けるようにも気を張らなければ。


「これから大勢の前で話すのかあ…。大学で教授に頼まれて講演会の司会やった時以来だなあ…」

 あらかじめ原稿が用意されていたあの時ですらそこそこ緊張していたのに。今は逆に、現実感がなさすぎて他人事みたいな感覚だ。緊張とかいう感覚はどこに行ってしまったんだろう。

「僕がいる限り、ミカにはかすり傷ひとつ負わせません。というか、負わせようものなら暴動確定ですので」

 暴動確定。

「あっ、緊張感戻ってきました。皆の目の前で怪我なんてしたら収集つかなくなって詰みますね!」

「はい。血を見せたら終わりだと思ってください」


 違った意味でも怪我なんて絶対にできない。自己治癒能力が気取られてしまったら今以上に危険が増すだろう。


「最悪、もし攻撃があったとしてもあったと思わせないようにしたいですね」

「なるほど、何か飛んできて当たっても顔色一つ変えないよう頑張ります!」

「いえ、僕が絶対に当てさせませんが、動揺は見せないようにお願いします」

「はい! …って壇上? そんなもの放牧場にありましたっけ…?」




 門に着くと、モリヤと数人の衛士がこちらを出迎え、恭しく一礼した。そして導くように先を歩き出す。


 燃え上がる松明があちこちに置かれた放牧場には、猛々しく声をあげる男達が集結し、物々しいムードが漂っていた。女性達は少し離れた場所で固まっている。何人かいる子供達は怯えたように母親の脚にくっついていた。


 暗色のローブに身を包む山の民に囲まれているので私達の姿は見えていないはずだが、モリヤが先導してきた事で重要人物だと察したのだろう、集団はザコルや私の名を叫んでより一層盛り上がった。


「本当に壇がある…」

 先導された先には、りんご箱を重ねて並べて縛り、板を被せた即席の壇が作られていた。いつの間に。


 壇の斜め後ろあたりに到着すると、山の民ウォールの中からイーリアとその側近が離脱し、壇上へと上がっていった。


「イーリア様だああ!!」

「アカイシ山脈を統べる女帝のお出ましだああ!!」

 女帝…。しっくり。


 女帝イーリアは腰の剣を鞘ごと外し、それを壇にドスッと打ち付けた。


「静まれぇぇえい!!」


 迫力のアルトボイスに、会場は水を打ったように静かになった。


「すげー…」

 エビーのごく小さな呟きがやけに大きく聴こえた。


「お前達が騒いでいるのは、コレか?」

 側近が差し出した新聞を手に取り、バサッと掲げる。どよよっ、と会場が揺れる。


「そ、そうだ、俺らのミカ様がひでえ目に遭わされたんだろう、黙っちゃいられねえ!」

「ミカ様の敵は俺らの敵だあ!!」

「猟犬だけにゃ任しちゃおけねえ!!」

「今すぐ王都に攻め入って王弟と第二王子はなぶり殺しだああ!!」


 うおおおおおおおおお!!


 …………メディア戦略恐るべし。

 どうしてこうなった。何か、善良な人々を騙しているような気にすらなってきた。

 こちとら、通りすがりのただの変な女だぞ…。


 微力ながら水害支援に協力したとはいえ、結局は私も避難民と大差ない立場だ。衣食住はお世話になってしまっているし、今だって山の民や町長屋敷の人々に身辺を護られている。入浴支援に関してはむしろ皆の仕事を増やしたまである。

 こんなに熱くなっていただく程、劇的な貢献ができているとは思えないのだが…。


「いやー火力がすげえな、ミカさん信者は」

「流石はミカ殿、素晴らしい求心力です!」

「これは、カリューに戻ったはずの者達もここに集まっていますね」

「いや、本当に何でよ。被災地放っぽり出して何しに来てんのよお…!」

 思わず頭を抱える。


「姫、何やらかしたんだお前」

 コマが何か探るような目で見てくる。

「何って、断じて洗脳とか扇動とかはしてないですよ。ちょっと手当とか手伝ったくらいで…」

「はん、そんなんであんな事になるかよ」

「ミカによって救われた民が多いのは事実です。精神的な支柱にもなっていますし」


 へへっ、とエビーが思い出したように笑った。

「突如現れた謎の美少女が、あの元町長を正論で叩き潰した瞬間のあの空気! あれは惚れちゃっても仕方ねえすよお」

「美でも少女でもないっ! ただの出しゃばりだよっ」

「あの夜のミカ殿は真に神がかっておられた。まるで、そうした修羅場を幾度となく乗り越えた戦士のようでもありました」

「ただのブラック企業戦士だよ! 徹夜で修羅場なんて週七ペースだったし!?」

「それに、せっかく戻ってきた最強の護衛を『民救ってこい』っつってカリューに遣っちまって…」

「最強護衛だからこそだよ! でも結局軍規違反とかで滅茶苦茶怒られたでしょうが!」

「エビー様、タイタ様、水害直後のミカ様のご様子を詳しく…!!」

「あ、ここにも強火信者が。へへ、いいよ、明日皆でミカさんファンの集いやろうぜ」

「やめてやめて! 居た堪れなくなるからあ!!」

「その間ミカさんは猟犬殿と仲良く乗馬でもしてりゃいいでしょ。今朝みたいに」

「えっ、まさか、ずっと見て……」

「そりゃ、あんな見晴らしのいいとこでイチャついてりゃ嫌でも目に入るっていうか」

「ええっ、どうしてそこに私達を呼んでくれないんですかエビー様!!」

 わーわーわー。


「おい、お前ら緊張感無さすぎだろ。山の民の奴らの前で恥ずかしくねえのか。ちったあ静かにしてやがれ」

「はいすんませんコマ先生」

「静かにしてます…」


 怒られてシュンとして目線を壇上に戻すと、ひとしきり騒いだ群衆に向かってイーリアが再び喝を入れた。


「お前達の言い分は分かった! よく聴けぇ! この戦は我らサカシータだけのものではない! この新聞こそ、この地の救世主たる深緑の猟犬ファンの集いと! ミカを保護し溺愛するテイラー家が結託し! 王家に叩きつけた宣戦布告状だ!! 慈悲深い我らが聖女は! 王家に従う兵の命ですらも気に掛けている! テイラー伯爵は聖女の意志を汲み! 巨額を投じ! 彼奴等を武力ではなく! 社会的に抹殺する道を選んだのだ!!」


 剣を再びゴスッと壇に突く。


「我らに課せられたのはぁ!! 恩人であり尊き渡り人たる彼女の死守ッ!! ただ一点のみッ!! 彼女の血の一滴、涙の一滴すら奴らにくれてやるな!! 門を固めろ、己を高めろ、戦に備えて万全を期せ!! この冬、戦士の一人たりとも欠かすことは許さあああんッ!!」


 うおおおおおおおおお!!


 …これ、イーリアが言いたい事を全て言ってくれたんじゃなかろうか。

「いえ、まだですよ。あなたの姿を見せないと収集がつきません。行きましょう」

 ザコルが私の腕を掴んで進み出す。え、え、え、もう? 急に緊張してきた…!

「今日こそはしっかり寝ましょう。眠れるまで手を握っていますから。さあ、さっさと終わらせますよ」

 えっ、優しぃ…好きぃ…。


 私が何度も取り乱すせいで気を遣わせているのは解っているが、それでも優しくされれば嬉しくなる。

 しかし今日は彼の方こそ色々と混乱しているはず。私も優しくしてあげたい。


「結構です。あなたには罵られるくらいが丁度いいので」

「本当に何でですか。普通に優しくしたいだけなのに!」

「イチャついてねえでさっさと行けバカップル共が」


 エビーに突っ込まれ、かあっと赤くなりかけた顔をブンブンと振って気持ちを切り替える。緊張は取れたが、何を話すべきか半分以上頭から飛んだ。しっかりしろ自分。


 山の民の壁を割って群衆の前に姿を晒すと、声は一層大きくなり、他には何も聴こえなくなった。


 ザコルが先に壇上に上がり、私に手を差し伸べる。固くて厚い手だ。人間離れした膂力と繊細さを同時に宿す、強く優しい手だ。その手に手を乗せると、ギュッと握り締められて引き上げられた。エビーとタイタはその後に続き、壇の後方を警戒するように立つ。


「ミカ様あああ!!」

「深緑の猟犬だああ!!」


 それ程高い壇でもないのに、壇上に登ると一つ一つの声が鮮明に聴こえる気がする。再び緊張してきた。

 ザコルが私を庇うようにして前に出る。




「静かに」




 決して怒鳴り声などではないのに、彼から放たれた威圧に誰もが言葉を失う。

 一瞬で耳鳴りがしそうな程の静寂が訪れた。


「知っているだろうが、僕は主たるテイラー伯爵から命を受け、専属護衛としてミカ・ホッタ嬢をこの地までお連れした。その立場から、このホッタ嬢の敵となる者について話そう」


 嬢! 嬢だってー。懐かしいな、ホッタ嬢。ふふ。

 ザコルがチラッとこちらを物言いたげに見たが、すぐ前に向き直る。独り言がうるさいって言われちゃった。


「結論から言うと、真の敵はまだ姿を現していない。僕と、テイラーの騎士団でも全力で調査中だが、誰が何の目的であの場所にホッタ嬢を喚んだのか、まるで判っていないのが現状だ」


「おいおい、手際が悪いんじゃねえのか!」

 野次だ。

「グズグズしてっともう冬に入っちまうぞ!」

「サカシータ一族の二つ名持ちが聞いて呆れらあ!!」

「護衛も調査も俺らに代わりやがれえ!!」

「テイラー騎士団は無能の集まりか!?」

「テイラーの自作自演じゃあねえのかあ!」

「ちょっ…」

 聞き流せない言葉があって思わず前に出かけると、ザコルがさっと手で私を制した。


「静かにしろ、駄犬共が」


 威圧が殺気に変わってビリリッと肌を刺す。ヒッと声が出そうになって飲み込む。


「テイラー家は僕が忠誠を誓った主家だ。侮辱は許さない。どうしてもと言うのなら相手になるぞ」


 最後の方の野次を飛ばした、前から三列目辺りの男達がギリっと悔しそうな顔をする。何となく他と違う感情の気配を感じた。ザコルもその方向を一瞥した気がする。後ろから見ていても首の動きで分かるのだ。


「現状、渡り人であるホッタ嬢を確実につけ狙っていると言えるのは王弟と邪教だ。だが、その真意も全てはつまびらかにされていない。王弟派は貴族が主体となるが、邪教、ラースラ教の信者は貴族平民問わず、このオースト国全土に潜伏しているとみて間違いない。その教徒共は、ホッタ嬢を拐って生贄にすべく常に狙っている。今この場にもいるだろう」


 ザコルが群衆全体を見渡すように首を動かした。


「魔力の高い魔法士を苦しめる、怪しい薬を使う事も判っている。そういう『客』はもてなしが必要だろう。それらしいのを見つけたら必ず僕の前に案内するように。ぜひ話を聞きたい。うっかり殺すなよ、僕の『客』だ」


 私から見える範囲だけでもほとんどの人が青ざめて言葉を失っている。いいなあ。ザコルが前に出ているせいで、私の位置からはせっかくの魔王顔が拝めない。残念だ。


「ホッタ嬢はこの冬をサカシータ領で過ごされる予定だ。安全上の理由もあるが、渡り人がいかなる存在なのか知っておくべきだといということで、ホッタ嬢自ら調査を申し出られてここまでやってきた。この地は渡り人に縁深い。何か独自に知っている事があればホッタ嬢や僕達、護衛役に知らせてくれ」


 ザコルがそう言えば、後ろの二人も胸に手を当てて一礼する。



「僕からは以上だ。では最後に『僕のミカ』からお前達に話がある。ありがたく聴くように」



 僕のミカ…? 私は思わず彼の後頭部を見つめてしまった。


 どよ…どよ…

 どよどよどよどよどよどよ!!


 どよめきが波のように広がって端まで届き、弾かれるように爆発した。


「な…っ何が『僕のミカ』だコラーッ!!」

「惚気のつもりかこのド腐れ野郎がぁー!!」

「英雄かなんか知らねえが調子ん乗ってんじゃねえぞボケェー!!」

「どっからどう見たって釣り合ってねえだろがぁー!!」

「その仏頂面引っ込めろぁあー!!」


 野次だ。散々な言われようだ。

 ザコルはまるで聴こえていないかのように、私の両肩を持って抱き寄せ、髪に頬を擦り寄せた。


「僕のミカを『僕のミカ』と言って何が悪い」


 煽ってる…。私の耳の近くでそのよく通る声を使わないでほしい。


「うがあああああその手ぇ離せゴラァァ!!」

 悲鳴、いや断末魔のような叫び声が上がった。

「まさか自分のファン使ってミカ様の運命の人だとか新聞で騙ってんじゃねえだろなぁー!?」

 新たな疑惑が浮上してしまった。


「人聞きの悪い。僕が自分のファン組織があると知ったのはごく最近の事だ。ミカとはそれ以前からの付き合いなのでな」


 付き合い、をやたらに強調して言った。…もしや『俺らのミカ様』に対抗しているんだろうか。



「もう、それくらいにしてくださいよ」

 私は肩にザコルの手を乗せたまま、一歩踏み出す。


 皆の顔を全て見ようと端から端まで顔を向ける。町民や避難民、パズータの民は見たことのある顔ばかりだが、確かに知らない顔も多い。今の『僕のミカ』に対する野次はほとんど身内から出ていたようだが。


「ふ、ふふっ、同志が紛れてる」

「ええ。あれで気づかれていないつもりですよ」

 気配は絶っているようだが、壇上から見ると一目瞭然だ。体を縛る緊張が一気にほどけたような気がした。


 私が前に出たからか、皆が自主的に静かにしてくれた。イーリアやザコルのような威圧はホイホイ放てないので助かる。


「静かにしてくれてありがとうございます」


 頑張って声を張り上げる。遠くまで声を飛ばすには、お腹と背中を意識するといい。童謡の会に来ていた声楽の先生が言っていた。


「今日は、あの新聞を見て、心配して顔を見に来てくれた人がほとんどだろうと思います。この通り元気ですから、まずは安心してください。ここに来てから、皆さんにはたくさん親切にしていただきました。この場を借りてお礼を言いたいと思います。この世界で身寄りのない私に、こうして温かく接してくださること、本当に、本当に、ありがとう。心から感謝しております」


 胸に手を当て、スカートを持ち上げ、膝を落とし、頭を下げる。

 感謝の気持ちがどうか伝わりますように、と。


「お礼を言いてえのはこっちだミカ様ー!!」

「それこそ縁もゆかりも無え俺らを救うために! 必死になって尽くしてくれたのはあんたの方だろうがー!!」

「あんたがいなきゃ死んでたんだ俺はぁー!!」


 やっぱり大袈裟だ。

 この町の人ならば、きっと私がいなくても避難民を助けるために最善を尽くしてくれたことだろう。


「皆さんがご無事でいてくれた事、私こそ感謝しているんです。しかし、救い切れなかった方もいるでしょう、私がもっと水害に詳しかったなら、もっともっとお役に立てたかもしれません。それでも、それでも、私がいたおかげで一人でも多くの人が助かったと言ってくれるのなら、この世界に喚ばれた甲斐があった。喚ばれてきてよかった。皆さんの、いえ、あなたの命は、私の存在意義です」


 私のような小心者は、どうしてもここにいてもいいという理由を求めてしまう。

 こんな私でも人助けに貢献できたと言ってくれるのなら、こんなに心強い事はない。


 あちこちから、すすり泣く声が聴こえてくる。

 この壇に上がるまでは、戦にかこつけて言いくるめようなどと思っていたが、やはり言葉を偽るのはやめにした。

 せっかくイーリアとザコルが言うべき事を先に言ってくれたのだから、私は自分の気持ちだけ伝えればいい。

 その、ありのままの私をここにいる人々は受け入れてくれたのだろうから。


「新聞に書かれている通り、私ミカ・ホッタは異世界からの渡り人です。私の意思とは関係なく故郷を離れる事になったのも、何やら変な団体に狙われているのも事実です。しかし、それはそれとして、私は今この現状を『恵まれている』とも思っています。保護先のテイラー伯爵家では充分すぎるほど良くしてもらって、まるで家族の一員のようにも扱っていただいています。勉強の機会もたくさんいただきました。貴重な本をたくさん貸してもらえたのも、魔法の練習や鍛錬も、ダンスやマナーの授業も、全てが新鮮だった。旅に出てからは、色んな人や、食べ物や、景色に触れました。元の世界では、一人でがむしゃらに働くだけの毎日でしたから、本当に、本当に楽しかったんです」


 私はにっこりと笑ってみせる。


「この世界の方々は、渡り人にはこの世界を愛してくれるようにと願うものなのでしょう。少なくとも私は、これまでお世話になった人と土地は既に愛していると断言できます。どうか、どうか。私が関わった全ての善良な人が、明日も笑って過ごしていてほしい。それが綺麗事である事は百も承知しています。それでも、理想は追求すべきですよね」


 理想とは、捉われず、ただただ追うべきものだ。


「ですから私は当面の間、この冬を皆が健やかに、一人も死なずに乗り越えてくれる事を理想として掲げます! なので、王弟だ邪教だなどというのは二の次にしましょう。ただし皆の生活に迷惑を及ぼしそうでしたら、その時はわ、た、し、が、全力で叩き潰して参ります。そのためにも、明日も鍛錬に参加し、いつでも王宮の豚とやらを解体できるように研鑽を積みますので!」


 ざわ…ざわ…

 ざわざわざわざわざわざわ…!!


「ミ、ミカ様が自ら討ちに行かれるおつもりで…!?」

「皆の生活が脅かされるのなら仕方ありません。私も本気ですから。愛した人と土地に、とことん報いてみせましょう」


 肩に手を置いたザコルが真横からこちらを覗き込んでいる気がするがスルーだ。


「鍛錬に手は抜きませんが、優先順位としては豚の解体より、カリューの皆さんの回復と復興が先です。明日からは子供やご高齢の方以外にもお風呂に入っていただけたらいいなと思っています。清潔は病気予防の基本ですので。それから大掛かりな煮沸が必要な作業についても私に回してください。それから、もしあれば傷物のりんごをください。全部ジャムにしておきます。もったいないですからね。余っている瓶があるご家庭はぜひ貸してください」


 ぎゅ、私の肩を掴む手に力が入る。


「昨日、大量の毛糸を紡いでくださったご婦人の皆さんありがとうございます。靴下や手袋をたくさん編みますね。余り布もまだありますから赤ちゃんの肌着や子供服も縫っておきます。熱の出た人があれば知らせてください。氷を届けますので。子供達、勉強がしたければ私達に言ってください。私もまだまだこの国の言葉を勉強し足りないので一緒にしましょう。それから水害からこれまでの事を、私の視点でまとめておこうと思っています。過去の教訓は必ずのちの防災に役立ちます。記憶の補填のためにご意見を伺う事があるかもしれませんのでよろしくお願いします。それから」


「ミカ、ミカ、止まって! 止まってください! これ以上やる事を増やしてどうしようというんですか! 渡り人調査は!?」

 ザコルがついに私の肩を揺さぶり始めた。

「ちょっ、首がもげる、やめて。だから、本気だと言ったじゃないですか。もう冬はすぐそこですよ。調査も後回しです」


 息はとっくに白い。肌を刺すような冷気は召喚前に住んでいた地域なんかとは比べ物にならない。明日にも雪が降り出しそうだ。


「薪の確保も急務ですよね。暇なら枝拾いでもに行こうかな」

「暇なんてあるわけ」

「ジャム以外にも長時間加熱が必要な保存食作りにはジャンジャン声かけてください。どうせ私の魔力は無尽蔵ですからね、薪の節約のために使わなくては損ですよ!」

「一旦止ま」

「そうだ弓の精度が上がったら狩りにも行きましょう! 私でもウサギやタヌキくらいなら捕れるでしょ。毛皮のなめし方も本で読んだ事が」

「止まれと!! 言っているだろうが!! 少しは大人しくできないのか!!」

「ええー」


 ザコルが私の腰に手を回し、強引にグルンと自分の横に回す。小脇に抱えられたみたいになった。


「お前達、聞いていたか! 食糧や衣服の事はこちらでも何とかするつもりだが狩りや採集にも力を入れろ! シータイの人間も引き続きで申し訳ないがカリューのためにできることはしてやってくれ! ミカはやると言ったらやる女だ! この変な女が過労で倒れる前に一刻も早くカリューを立て直せ!」


「あのー、大工や左官の仕事も覚えたいんですが誰かご教授を」

「黙ってろ! 仕事を増やすなと言っているのが解らないのか! あれから一日だってまともに休んでいないのに…!!」


 ギャイギャイと言い合い始めた私達に、どよどよとする群衆。野次集団でさえ顔を見合わせている。


 …………プッ


 誰かが吹き出したのを皮切りに、大笑いの渦となった。


「はっは、こりゃあ気合い入れて復旧しねえとまずいなあ!」

「そうだそうだ、一人でも死なせてみろ、ミカ様が何しでかすか分からねえ」

「ミカ様の護衛も大変だなあ」

 ガッハッハ、と笑ったのはりんご箱職人達だ。さっきまでの殺伐とした雰囲気が嘘のように霧散した。



 皆が腹を抱えて笑う中で、先程の前から三列目の男達が何でもないかのようにそっと離脱しようとしている。

「ザコル」

「分かってます」


 猟犬は腰ベルトに手を伸ばしたかと思ったら何かを放つ。

 テイラーの自作自演、と野次を飛ばしていた男が一人倒れる。


「ひ、ひい」

 明らかに動揺した仲間らしき男達が姿勢を低くする。これでは前の人が壁になって投擲は…と思ったら、その前と後の列の人達によって全員残らず捻りあげられた。ここからでは見えないが、後方の列でも曲者らしき者達の悲鳴が聞こえる。


 壇の前まで引きずられてきたのは八人。

 その後、町の女性達も数人の女を引きずってきて同じように壇に並べた。


「まあ、こんなものでしょう。他にもいますか」

 いますかと言われて出てくる事はないだろうが、これも牽制なのだろう。


 ザコルが曲者の一人に刺さった毒針をゆっくりと抜きつつ、その針に付いた血と、集まった曲者達の顔とをねっとりと眺める。


「よく来てくれましたね。明日からはぜひ僕の話し相手になってください。楽しみにしていますよ」

 ニコォ…。

 よし、今回はばっちり魔王顔を拝むことができた。ありがたや。


 イーリアと側近達もスタスタとやってきた。屈強な側近の小脇には、ぐったりとした黒づくめの人間が抱えられていた。

「同志村の乙女達を狙おうとしたようなのでな、つい手加減を忘れてしまった。しかし、どこの間者かは知らんが練度は低いな」

「どうせ末端でしょうが、どこから来たのか、傾向だけでも知れれば重畳でしょう」


 曲者達は、マージの指示を受けた使用人マダムによって縄で丁寧に縛り上げられ、群衆から抜けてきた自警団らしき者達によって連行されていった。



つづく

壇上で各自好きなことを叫ぶだけのイベントです

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