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誰が召喚したか知りませんが、私は魔獣ではありません  作者: もっけのさひわひ


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かなり酔っ払ってません?

「よかっ、よかっ、よかった…っ」

「推し同士のダンスやば、やばい、萌えすぎて死ぬ今日萌え死ぬ」


「ララとルルはいい加減に落ち着いてください。マネジとローリとカルダはいい加減に天井から降りてください。涙やその他が落ちてきて迷惑です!」


 萌え死にかけて正気を失っているオタク達にザコルがプンスコしている。




 イリヤはミリナと踊ったあと、二歳のリコを誘って微笑ましいダンスを披露した。今はタイタのダンス指導をゴーシとともに受けている。


 エビーは謎踊りでピッタを翻弄…もとい、会場を沸かせに沸かせ、最終的にピッタにスッパたかれていた。あのチャラ男、やろうと思えばもうちょっとカッコつけられると思うんだけどな…。照れ隠しだろうか。


 ちなみに、ロットはずっと「踊りましょーよー」と迫るカズに追い回されていた。とはいえ人が多いために走る回ることはできず、限られたスペースで『掴もうとするのを避ける』を繰り返しているだけだった。


 …だけだったが、そこは体術レベルがレベチでチートな二人である。もはやどこぞの格闘技の達人が行う演舞を早回し再生したみたいな動きで、ある意味ダンスよりもはるかに見応えがあった。


「ロット兄様とナカタの舞は素晴らしかったですね」


 ザコルも大満足である。


「でも結局のところ、イーリア様無双の一言ですよね」

「ほんそれっす。女帝の名は伊達じゃねーや」


 女帝は会場中のドレスを着た女子という女子を誘い、見事なリードで踊り上げ、見事虜になった女子達を侍らせて会場の一部をハーレム化してしまった。いつの間にかミリナまで侍らせられている。


「素敵でしたお義母様…」

「うむ、近う寄れミリナ」

「ちょっとリア、君のための会じゃないんだから自重してよ!」

「よいではないか。美しく咲き誇った花を愛でて何が悪い」


 自重する気はゼロ、通常運転である。


「ふーん。じゃあ行こうか、ザラミーア」

「はいオーレン」

「えっ」


 オーレンがザラミーアの手を引いて歩き出すと、一気に会場がどよめいた。


「ちょ、まっ」

「リアが悪いんだ。僕達を放っておくから。ね、ザラ」

「ええ、二人で踊りましょうか、オーレン」

「君がリードしてくれるなら」

「ふふっ、ご安心なさって」

「ま…っ!!」


 イーリアが珍しく動揺している。そんな彼女を尻目にオーレンとザラミーアが踊り出す。

 と言っても、オーレンは踊れないらしく、ザラミーアに手を引かれるままに揺れているだけだ。そんな、まるで美女と野獣の一幕のような光景に、会場のサカシータ騎士と使用人一同は全員が妖精でも見たような顔になった。


「多分、今年も来年も再来年もいいことしかない。間違いない」

「ビット隊長」

「奥様がお幸せそうで、嬉しいわねえ…」

「メイド長さん」


 あちこちですすり泣く声が聴こえる。本当によく慕われてるなあ…。


「くそっ、私もまぜろ!!」

「あっお義母様」


 ダッ、イーリアがハーレムを抜けて駆け出す。会場はワッと盛り上がった。


「いいぞ母上! そうだ三人で回れ回れ」

「あっはははははははリア様面白すぎる…っ」


 女帝派らしいサンドとマヨは大笑いである。


「…っくふふふ…っ、いいのジロ兄、あれにまざらなくって」

「馬鹿言え、見ている方が面白いに決まっている」


 あんなに母親に文句がありそうだったジーロやロットも笑っている。


「僕もおじいさまたちとおどりたい! 行っていい? タイタ」

「ええ、きっと歓迎してくださいますよ」

「ゴーシ兄さまも、いこ!」

「えっ、じゃあ…」

「リコもー!!」


 どどどどどど。


「わあ、かわいいのがいっぱい来たよザラミーア!」

「おい足を踏むなオーレン!」

「まあまあ、リコはお祖父様の肩にお乗りなさい。踏まれたら大変よ」

「私の心配もしろザラ!!」

「リア様はご自分でお避けになれるでしょう? さあさ、イリヤさんとゴーシさんは私をエスコートしてちょうだい」

「ずるい、僕も孫にエスコートされたいよっ」

「まあまあみんな素敵、私も踊ります。うふふふふー」

「あらミリナさんまで」


 わちゃわちゃわちゃわちゃ。



「全く、何をしているのだか……」

「ミリナ様かなり酔っ払ってません…?」

「ふふっ、ザコルんちはみんな仲良しですねえ」


 なんて微笑ましいんだろう。大家族っていいな。


「いやあれ、みんな姐さんの呪いにかかってんじゃねーすか」

「ああなるほど。『ザコルの周りがみーんな仲良しこよしじゃないと気が済まない』というあれは呪いだったのですね」

「違いますよもー! 人聞きの悪い!」

「はは、呪いとはいささか物騒ですが、ミカ殿のご影響あってのことというのは確かでございましょう」


 違う、これはきっかけの問題なのだ。季節や情勢や各自の思惑からたまたま偶然集まった家族が、それぞれの思いを知り、打ち解けているだけなのだ。冗談でも私に『仲良しこよし』を演じさせられているような発言は控えてほしい。


「サカシータ家は元々お互いをリスペクトしてらっしゃるんだよ。こんなにわかポッと出女を引き合いに出すのはやめ」

「はいはい、みんな仲良さそーでよかったすねえ」

「それはそう、ふへ、みんな楽しそうだねえ。ふへへへへへ」

「ミカも酔っ払ってますね!? っ、このジョッキか…! いつの間に飲んだんですか!?」

「飲んれないけろ」



 あははは、ガハハハハ、と尽きない笑い声。繰り返される乾杯。

 楽しい夜はそんな風にして更けていった。





つづく

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