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46話 この眼を持つ意味

ブクマ、ありがとうございます!

 


 いくつか確認をした後、今日この場に集まった主目的である話し合いが始まった。

 穏健派の頭であるカミナが開始を宣言した後、俺の右隣に座るシュウゲツへと顔を向ける。



「まず、今日まで『滅』について集めた情報を整理したいと思います。ツルギさんには後からお話しして頂くとして、先に私達の方からですね。シュウゲツ」


「はっ」


「貴方からお話ししてください。一番足を酷使して、情報を集めてくれたのですから」


「ありがとうございます。それではゴホンッ。五日前にツルギと接触してから俺達は、少しでも多くの情報を集める為に動き回っておりました。まずは、そこで知りえた事から話したいと思います」


 カミナへと一度頭を下げ、シュウゲツが滔々(とうとう)と話していく。

 俺とあの村で別れてからは、都に潜伏し帝城の中にいる穏健派と接触して、帝の周辺の状況を調べていったそうだ。

 シュウゲツはその中心で、『滅』の首謀者の可能性がある五人の細かな情報をまとめていていたらしい。



「カミナ様以外の二人の剣神ゴウカ・エンゴウとトウカ・スイセイは、ツルギの言うとおり首謀者からは外れる事になりました。その立場からは、常に帝城にいれる訳ではなくまた、いくら一國の頭でも、『滅』程の大規模な組織を運営するまでは出来ないからです」


 それは、前々から分かっていた事だな。


「続いて、ゲンゴウ将軍は、正直この五日間で判断するに足る証拠までは集められなかった。ただ、その強さはここにおられるカミナ様よりは明確に下であるので、やはり外れるかと」


 こいつは正直どうなんだろう。

 カミナよりも弱いと言ってるが、仮にこいつが力を隠してて、実はテンオウ一族で死剣眼を持つとしたら分からない。


 まぁ……そう疑ったら、全員が怪しくなるのだが。


「バクガイ公に関しては――」


「あのデブは、首謀者じゃないぞ。ヤキを入れた時も、小便をちびってたし、腕を切り落とした時も泣きわめく様な、あんな小物が首謀者な訳がない」


 シュウゲツが言いかけてる途中でそう言うと、場が静まり返った。

 誰も物音一つたてない数秒が経過した後、それぞれに反応を見せる。


 シュウゲツは、俺がやったのは知ってるからそこまで驚いてはいないが、「ははは……腕の事までは、知らなかったな……」と引きつった顔をしている。


 カミナは、


「あの方が丸くなった原因は、ツルギさんでしたか。なるほどなるほど」


 微笑みを絶やさないまま、何かを納得していた。


 イオリは、


「やっぱりやることが野蛮人ね。……でも気持ちは分かるわ。あの人は、不愉快だし。いつかやってやろうって思ってたのよ」


 俺を睨みながらも、何処か共感する節を見せた。

 若干、ほんの少しだけ俺への態度が軟化した様にも見える。


「ちょっと聞いていたよりも事態が衝撃的だったけど。ツルギがそう言うなら、バクガイ公はマークから外すよ。あとは、帝の兄であるコウガイ宰相だけと、なるが……。やはり悪巧みをする様な人物には思えない」


 シュウゲツの感想に次いで、カミナも賛同の意を示した。


「そうですね。弟でもあるオウガイ様の体調が悪い現状でも、献身的に支えています。周りからも、本当に仲の良い兄弟にしか見えません。私は近くからコウガイ宰相を見る機会が多いですが、そんな素振りもありません。私も人の善悪を見抜く力には長ける自身もありますし、とてもこの様な非道を行う人物にはどうしても思えないのです」


 そういや、俺もシュウゲツ達に『滅』にやられた事を、奴等を滅ぼそうとする理由は話してないが、穏健派が敵対する理由は聞いてないな。

 カミナが言うとおり、まだ俺達はお互いにそこまでの信頼関係を築いてはいない。

 いずれ、話す事になるかもしれないが、その前に復讐を出来るならその方がいい。

 好き好んで話す内容でもないし。



「――ここまでが、穏健派内でまとまった考えになります。ただ、そうなると首謀者は他に、との可能性が高くなるんだけど……ツルギの方は、どうだ? あれから、何か情報は得られたのだろうか?」


 シュウゲツが俺の方へと向き直り聞いてきた。

 カミナと、イオリも同様に視線を向けてくる。


「俺は、『滅』の首謀者は、俺と同じ死剣眼を持っている奴だと思っている」


 その言葉に、真っ先に反応を見せたのはカミナだった。


「……今、死剣眼使いがそうだと仰いましたか?」


「ああ」


「……それは何処からの情報ですか?」


「俺のじいちゃんのサトル・イットウの師匠が遺した手懸かりに、そう書いてあった。だから、俺は首謀者はテンオウ一族の誰かだと思っている。この話しを信じるかどうかは、任せるが」


「……」



 その言葉にカミナは口を閉ざすと、何かを考え始めた。

 イオリとシュウゲツは、話しについてこれずに困惑している様だ。

 この二人は死剣眼を知らないだろうから、今しがた出た疑惑の意味が分からないのだろう。

 確認をしたがっているのがその表情からも読み取れるが、カミナが黙ってしまったので、それを出来ずにいる。


 カミナが考え込むのも分かる気がする。

 今さっきまで首謀者が誰なのかと話していた中で、コウガイは違うのではないかと、ほぼ意見が固まっていたから。

 それを覆す事になりかねない情報を聞いたのだ。

 考えに支障をきたす事もあるだろう。


 だが、いつまでも固まったままでは話が進まない。

 カミナはまだ考え込んでいる様で黙っているし、俺から動く事にした。


「それで、テンオウ一族はどれくらいいるんだ? 首謀者となりえる可能性があるのは、何人いる?」


「……その条件ですと、帝であられるオウガイ様とコウガイ宰相の二人という事になります。ですが、オウガイ様は絶対に違います。コウガイ宰相も、さっき話した通りです」


「他には?」


「いえ。サイカ様やテンガイ様も帝の血を引かれるので、テンオウ一族ではありますが……まだ」


「歳も十一で、()()()()()()()()()()()()()()


「……そうです。死剣眼は十五になった瞬間に覚醒する事は、オウガイ様からも聞いています。それからもやはり違うかと」


「俺の様な例外もいるかもしれないぞ?」


「そうだとしても、まだ若いあの御二人には『滅』の組織運営は、不可能だと思います。大陸全土にて、暗躍出来る程の組織です」


 サイカの顔が浮かんだ。

 確かに、あのまだまだ子供な感じを拭えない所をみると、不可能だろうな。

 もう一人の候補者はどうなのか分からないが、歳は同じ十一のはずだからどのみち無理か。


「カミナ。お前は、()()()()どういう役割を持つのか知ってるんだよな?」


 死剣眼を発動し、質問した。

 カミナは頷く。


「はい。死剣眼を持つ者は、この都の継承権を持つ事は知っております。そして、その眼の強力さも身をもって知っています」


「カミナ様。死剣眼というのは、どういう力なのですか? わたしは、詳しく聞いた事はありません」


 ここで、イオリがカミナに聞いた。


「自分も同様です。教えて頂けると助かります。これから先の話しは、それを知らずには理解出来ないと思いますので」


 シュウゲツもカミナに向き直り、質問をした。

 さっきから、聞きたくてうずうずしていたのだろう。

 その顔には、やっと知りたい事を聞けると期待する様な色が浮かんでいる。


「ツルギさん。お二人に説明する時間を頂いても?」


「ああ。構わない」


 カミナから、イオリとシュウゲツに死剣眼の説明がされた。

 三大剣術とは異なる力で、代々それを持つ者がこの都を継いできた事を。そこに、俺が得た情報を足して『滅』の首謀者もまた、それを持つ者であることも。


 説明を聞き終えたイオリが「ふんっ!」と、鼻を鳴らしてから文句を言った。


「何よ。そんな力があるなんて。三大剣術よりも強いなんて、ズルいわ」


「その様な剣術があったとは……。そして、それを知っているのは剣君より上の者だけ。どうりで」


 二人揃って俺の顔を見てきた。

 イオリは、驚きよりも悔しさ全開で。

 シュウゲツは、納得した様な顔で。

 それぞれの性格をよく表している。



 この眼の特異性も、力こそが全ての時代で死剣眼を持つということがどういうことか、俺は知っている。


 だが……。

 俺は。


「俺は、こんな力を使えない方が幸せだったと思う。この眼のせいで、俺は全てを奪われたんだから」


 この力が無ければ、父さんも母さんも……じいちゃんだって死なずにすんだのに。



「……ツルギさんが大変な悲しみにあわれた事は、何となくではありますが推察出来ます。おそらく、私程度では推し量れない程の絶望を乗り越えてきたのでしょうね」



 俺の独白を聞いたカミナが同情の色濃く労りの言葉をかけてきた。


「だからこそ、ツルギさんが()()()で何を成そうとしているのか、何故『滅』に敵対しているのかが気になります。いずれ信頼関係を築けば、聞かせてくださると思っていましたが、今話していただけませんか? それはきっと、私達にとっても知る必要があると考えます」



 俺の行動目的……か。

 そんなもの決まっている。



「俺は正直、継承権とかどうでもいい。仮に帝になれるとしても断る。だが、奴等を滅ぼしたい……いや。絶対にやらなければいけない理由ならある。復讐だ。『滅』のせいで俺の人生はめちゃくちゃにされた。だからこそ、俺にこんな目を合わせた奴は、必ず殺す。その為に、俺は生きてきたんだから」


 そうだ。

 必ずやり遂げる。

 俺はその為に、二年も生き延びたんだ。

 例え誰が立ちはだかろうが、決して邪魔させない。

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