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36話 情報の行方

本日2話目です。

よろしくお願いします!

 


 こいつがいかに小物でも構わない。

 俺の役にたつのであれば、利用させてもらうまでだ。

 そこでバクガイにはまず、俺の仇かどうかの確認からする事にした。


「うるせぇ喚くな。お前は聞かれた事を答えればいいんだよ」


 自分を護る者がいなくなっても、衣が権威を来ている様にあーでもない、こーでもないと偉そうに言ってくる。

 この状況になっても、くだらない自尊心を守る事に必死な様だ。

 まずは黙らせないと、話しも出来ないか。


「お、お前は無礼者なのであーる!! 何で我輩が無礼者の言うことを聞かないといけないのだ! こんなことして絶対許さ―――」


「喚くなと言ったんだが聞こえなかったか? 大人しく答えるなら、命は助けてやろうと思ったが……やっぱ一回死んどくか? お前が居なくなったら喜びそうなのが、大勢いそうだし。なんなら――手を貸すぞ?」


 生滅刀の切っ先を向けて、殺気をたっぷりと込めた。


「ひひひ、ひいいい!! あ、あばば!! わ、悪かったであーる!! 命は助けてくれーー!!」


「なら大人しく、聞かれた事を答えるな?」


 コクッコクッと、首がもげるんじゃないかと思うほど高速で縦に振るバクガイ。

 やっと自分の置かれた状況が分かってくれたか。


「よし、本題に入るぞ。お前、サトル・イットウという名前に聞き覚えはあるか?」


「……サトル・イットウ? 誰であーるか? 聞いた事はないぞよ。庶民の事なんか、把握していないのであーる」


 庶民と言われて腹立つが……ふむ。

 本当に知らなそうだ。


「それなら――――この眼に見覚えはあるか?」


 死剣眼を発動し、座り込むバクガイの顔を至近距離から覗き込んだ。

 この眼に何かしらの反応があるなら、黒に近いということになる、が。

 はたして。


「……赤くて、斜め十字の紋様。き、気持ち悪い眼であーるな。そんな不気味な眼など、見たことないのであーる」


「……」


 死剣眼を通して相手を見ると、嘘を言っているかが何となく伝わってくる。

 それだけではなく、戦いの時には何を仕掛けてくるかも分かる便利な眼だ。

 この眼からは、バクガイは嘘を言っていない様に見えた。

 死剣眼から伝わってくるのは、驚きと恐怖。

 こいつが首謀者ならば、また違う反応を見せた筈だ。

 それに、このだらしない腹でとろい動き。

 こいつは『滅』の首謀者ではないだろう。

 こんななりして強いって事はねぇだろうし。


「それなら次だ。お前が知ってる中で、闇市の中で不思議な物を見たりしなかったか? それか、所持している物はないか?」


「不思議な物……。我輩は、沢山の物を持っているのであーるからな。急に言われてもで、あーる」


「いいから。その無駄にデカイ頭を働かせろ。いつもいいもん食ってんだろう?」


「……本当に無礼者で、あーる。……我輩に、そんな態度を……」


 ブツブツと、文句を言ってくるバクガイ。


「あ? 早くしろ。殺すぞ?」


 中々言うことを聞かないバクガイへと、()()()促した。


「ひ、ひいいい!! わ、分かったのであーる!! す、す少し待って欲しいのであーる!! ……えーと……うーんと……」


 うんうんと、唸りながら腕を組み暫く考えるデブ。

 すると、何か思い出した様だ。


「…………ん? そういえば……一つ……良く分からん物が、あったであーるな」


 贅肉を揺らしながら、続ける。


「……物凄く硬くて、綺麗な色した石碑の様な鉱石の様な物が、あったであーるな。加工しようとしても、傷一つつかないから、腹立って洞窟に移動させたので、あーる」


 物凄い硬い……石碑。

 傷もつかない……。

 気になるな。


「それは、何処にある?」


「……確か。この道を進んだ先にある、分かれ道を左に曲がって、そこを更に右に曲がった所にある、小さな洞窟で、あーる」


「おい! りつこっち来い」


 少し離れた所から事態を見ていたりつに呼び掛けた。

 こいつなら、その洞窟の場所も分かるだろう。


「え!? 嫌だよ! 絶対その人の近くに寄りたくない!!」


 両腕を激しく降ると、本気で拒否してくる。


「お前、随分と嫌われてるな」


 バクガイに言ってやった。


「……ぐうううううっ……そちも、その小娘も、本当に無礼であーる!! さっさと行くのであーる!!」


「まぁいいや。ああそれと――」


 もう1つ用があったのを、思い出した。


「……何であーるか? まだ我輩に用であーるか」


「ああ。これは、さっきの母子の分だ。受けとれ」


 右拳で思い切り、バクガイの左頬を殴り付けた。


「が、がはあっっ!! ああぎゃあああああっ!! 痛い! 痛い! い、痛いのであーる!! ぶったのであーる!! 我輩の高貴な顔をーー!!」


 鼻血を垂れ流し、左頬を押さえながらその場を転げ回るバクガイ。

 その顔は出血が加えられ醜さが最高潮になっていた。


「俺は、お前の悪事を知らない。だから、これでさっきの件は勘弁してやる。だがな」


 しゃがみ込むバクガイに目線を合わせ忠告をした。


「もし、また何か悪事を働いたら、この程度じゃすまさない。それを覚えとけ。あと、ここの住人が暮らしやすい様に税を下げて、食料も即刻用意してやれ。分かったか?」


 思いっきり死剣眼の眼力を上げて、睨み付ける。


「……わ、わわ分かったのであーる。だから、早く行くのであーる!」


 ゴクリと、喉を鳴らし答えるバクガイ。

 完全に俺にびびっているのはその顔を見れば分かった。

 だが、これぐらいでは懲りないのか、別れ際にボソリと不穏な呟きを漏らした。


「…………絶対に……このままには、しないのであーる……。我輩をコケにした罪は大きいのであーる」


 とても反省している様には見えない。

 本当に分かってんだろーかね。

 分かってないんだろうな。

 人は、そんな簡単に変わらない。


「忠告はしたからな。よし、りつ行くぞ。俺じゃその洞窟の場所が分からないから、そこまで案内しろ」


「うん。いいけど、ここからは追加料金だからね」


「仕方ねーな」


 この場を離れ、バクガイから聞いた洞窟へと向かうことにした。

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