27話 情報②
今の所。
シャウゲツ達からは、俺が知りたい情報は聞けていない。
結局こいつらも、『滅』の首謀者が誰なのか分からないらしい。
それでも、可能性があるのが五人に絞れたのは何だかんだ前進はしているのだろうか。
「大体の状況は分かった。話を聞いた限りお前らが俺の敵ではない、ということも」
「ああ。俺達も、ツルギと敵対する理由はない。どちらかといえば、目的は近いと思っている。『滅』をどうにかしたいという部分に関してな」
それは、俺も感じていた。
互いに協力すれば、動きやすくなるのは間違いない。
俺は単独で動いているから、情報を提供してくれる存在は大きい。
でもまだ情報は、出揃っていない。
これからどう協力していくか決めるのは、それを聞いてからだな。
「次に聞きたいのは、帝の容態だ。病に侵されてるんだろう?」
俺の一言にシュウゲツとその仲間達が、緊張の色を表情に浮かべた。
「……それを、誰から?」
そういえば、カゼマルも帝の病に関しては、情報規制が敷かれていると、言っていたな。
それを俺が知っているというのは、シュウゲツ達からすれば、怪しいと写るかもしれない。
「行き掛かりで助けた元、風雷の剣士から聞いたんだ」
ここでは、カゼマルの身の為にも、名前は伏せた方が良さそうだな。
「元風雷の……」
「誰だ? 心当たりあるか?」
「いや……分からん。先月、その前にも何人か抜けているのが、いたと思うが……」
「そうだな。でもこの情報を知る者は、カミナ様が認めたということだろう? 」
皆がそれぞれに名前を出して憶測を立てるが、目星はつかないみたいだ。
しかし。
カゼマルはこの情報を聞ける程には、風雷の剣神に信用されているのか。
ただの、一剣士にしか見えなかったが。
剣神と特別な繋がりがあるのかもしれない。
「ツルギ。教えてほしい。それは、誰から聞いた情報なんだ?」
「悪いが。名前は言えない。言った所で、お前らがそいつに何かするとは、思わないが……。一応身の安全の為にな」
「そうか……」
こいつらにとっては、不安の種は少ない方がいいのだろう。
俺に情報を伝えた存在が気になるのも、分かる。
微妙な時期に予期せぬ事態は歓迎出来ないだろうし。
だから俺が持つカゼマルの印象を伝えておいた。
「これは、俺の勝手な感想だが、そいつは悪党ではないし、今後もそれに染まる事もないと思うぞ」
頭の中にカゼマルのあの能天気な顔が浮かんだ。
目をキラキラとさせて、しつこく剣術の事を聞いてきたあの顔が。
良く分からない物を嬉しそうに買っていたあの顔が。
どうみても悪い奴ではない。
変な奴では、あるが。
「……分かった。この事は、ツルギを信じよう」
シュウゲツ達は、俺の言葉に少し不安の色を薄くしたのかこの場は俺を信用してくれたらしい。
「それで、帝はどうなんだ?」
「正直な話し……良くない。体調が優れずに横になられているのがほとんどだ。都でも最高の医師を四六時中側につけているが……。いまだに原因が分からぬまま、徐々に衰弱していっている。来週に帝の生誕式が執り行われるので、それに向けて体力の回復に努めておられるが、微妙な所だろう」
生誕式。
帝ともなると、わざわざ催しをやるのか。
「帝には、子供がいると、両方で後継者を立てたと、言っていたが」
「そうだ。帝は正室、側室と何人も娶られていてお子が何人かいる。今回はその中から、より帝の血を濃く受け継いだと言われている二人が候補として選ばれた。俺達穏健派が立てているのが、サイカ様という。歳はまだ11歳で女ではあるが、この歳で既に剣君にも届き得る程の剣術の持ち主。次に強硬派が候補に立てたのは、テンゲツ様という同じく11歳でこちらは、男だ。剣の腕は、既に剣君を超え剣神の域まであと少しの所まで来ている」
両方とも剣の腕は立つと、カゼマルも言っていた。
男の方は、剣神ぐらいか。
俺は剣神とまだ戦ってないから、どれ程のもんなのか知らねぇけど。
「世襲で決めると聞いたが。女も帝になれるのか?」
「帝に、男女の区別はない。力があり強い者がなる。現段階では、強硬派のテンゲツ様の方が強い事から、次期としての声が強い。だからこそ、強硬派がその勢力を増しているんだ」
シュウゲツ達が立てたのは女で、そして、強硬派の方が男。
カゼマルの言うとおり、こっちのが強いのか。
「次期帝は、いつ決まるんだ?」
「帝の容態次第だが……。もし、このまま衰弱していく様なら、年内にも、継承式が執り行われるかもしれない」
いつ死ぬか分からない帝。
次のを決めようと思うのは、当たり前だな。
「なるほど。帝が死ぬかもしれないから、生誕式で二人の登場か」
「そうだ。式では、その二名の御披露目も兼ねている。大陸中から、代表者が集まってくるから、顔通しには丁度いい。当然三國からは、剣神達も参列し、帝達の護衛もするのだが」
そこなら、情報が集まるだろう。
うまく立ち回れば、首謀者が分かるかもしれない。
「そこでなら、何か掴めるかもしれないな。お前らは、どう動く。今は、元が付くんだろう」
「今は三大の籍はないからな。都に潜入し、情報を集めつつカミナ様と相談して動くよ。ツルギの事を、伝えないといけないだろうし……問題ないか?」
確認する様に聞いてきた。
俺が直接会って説明すんの面倒だから、了承する。
「構わない。そういや、お前らは、何で三大をやめたんだ?」
「俺達は、元々それぞれが、三大剣術の役職についていた。それが、帝が倒れられてから強硬派が勢力を拡大し、やりたい放題。それを止める為に、以前から通じていたカミナ様にご協力を取り付け、話し合った結果。立場上は、破門という形を取った。色々と動きやすい様にとの処置だ」
カゼマルも、三大に籍があればその國内でしか行動出来ないと言っていた。
都で動くのなら、その方がよさそうだ。
その分不利も被る、か。
「お前らの事情も把握した。お前ら、追われる立場なんだろう? 都に入ったら危険なんじゃないか?」
「それは心配しなくても大丈夫だ。都は、とてつもなく広い。奴等も、とても全部を把握出来てるわけではないだろうから潜伏は、可能だ。それで、だ」
一度言葉を区切ると、姿勢を正し真剣な表情で提案してきた。
「正式にツルギと、手を組みたい」
「お前らの頭は、風雷の剣神なんだろう? 勝手に決めても問題ないのか?」
「ああ。カミナ様からは、ある程度の権限を頂いている。本当に信用を置ける相手ならば、引っ張ってもいいと」
「そんなに俺の事を信用して、大丈夫なのか? 裏切るとか考えないのか」
そのつもりは、無いがこいつらの本気度をみたい。
そう言うと、シュウゲツは仲間達と目線を交じらせた。
一つ頷き合う。
「いや。ツルギは裏切らないさ」
「何故?」
「その目が物語っている。その目は、絶望を乗り越え進むことを選んだ者の物だ。目は口ほどに物を言うものだ」
「……」
こいつらも、スイダイも俺の目を見て判断したと、言った。
そんなに、分かるもんなんだろうか?
俺は、目を見ただけじゃ分からない。
何となく感で、信じていい奴か判断しているだけだ。
「俺は人を見る目は、長けているんだ。自分の感を信じる」
「さいですか」
ま。
信用してくれるのは、悪い気はしない。




