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10話 山賊

ブクマ、評価を入れて頂き本当にありがとうございますm(__)m

 


 家を離れ、再び獣道を歩いていた。

 今度は山を降りる為に、さっきとは反対方向へと向かって。


 歩きながら、地図を取り出して道を確認する。

 手書きとはいえ、じいちゃんの地図はしっかりとした物だった。

 ちゃんと都までの道のりも描かれていて分かりやすい。


 ちなみに俺が今いる場所は。

 火炎剣神國と水氷剣神國の狭間に位置する山奥。

 この山を下り少し歩いていくと二つの國が同時に統治する、そこまで大きくない町がある事になっている。

 物資はそこで調達する事にした。

 ついでに、奴等に関しての情報が聞ければいいんだけど。


 途中、途中に現れる野生の獣を斬り伏せながら歩き、深い山林を暫く進むと山の麓に到着した。


「この辺に降りるのは初めてだな。とゆーか、そもそも山を降りるのが何年も前になるのか」


 地図では、この先に町があることになっている。

 そっちに足を向け、今度は舗装されていない砂利道を歩いていくと、周りを囲うように動く集団の気配を掴んだ。


「……」


 人数は、八人……か。


「出てこい」


 気配がする方へと声をかけると、少しの間が経ってから木の陰や草場からぞろぞろと出てきた。

 感は当たり、人数はぴったり八人だった。

 格好を見た感じ、三大の剣士じゃない。

 と、ゆうか剣士ですらない。


「へぇ。良く俺達が隠れているのが分かったな。荷物と、金を寄越しな」


 集団の一人が何か言ってくるが、無視して確認した。


「お前ら『滅』の奴等か?」


「あ? ガキ何言ってんだ?」


「違うのか……ただの雑魚山賊か」


「あ? 今何て言った? 舐めた口叩くと、殺すぞ!」


 やっぱりどう見ても違うか。

 殺気から立ち居振舞いから、何もかも違う。


 じいちゃんを殺した奴等は、纏う雰囲気、醸し出す臭いも違うし、何より黒の羽織袴を来ていた。

 常にそれを着ているとは限らないから、判断材料にならないかもだが。


 それに比べれば、こいつらはあまりに雑魚。

 おおかた力も無い山賊といった手前か。


「違うのなら、うせろ。道を開けるなら見逃してやる」


 俺は『滅』の奴等に用がある。

 悪党は許せないが、特に何もしてこないなら斬るつもりはない。


 さて、どう出てくるか。


「あ? だからよ……ガキが偉そうにしてんじゃねーよ。俺達は誇り高いザッコー山賊団だぜ? そこらにいるのとは格が違うんだ。それがバカにされたんならよ。生かしておけねぇよな。身ぐるみ置いてくなら命は助けてやろうと思ったが、生意気なガキは殺す。やれ」


 ザッコーと名乗る男が言うと、一人のブサイク面した男が前に出てくる。

 ニヤニヤとした気持ち悪い顔で、刀を抜き駆け出した。

 人の忠告も聞かないバカ野郎は、生きてる価値はない。


「……バカだな」


 死剣眼発動。


 ヒュン――


 一刀すると、血が宙を舞った。


「……あっ……」


 ズルリ

 ドサッ


「……え……あ……え?……」


「……どう……なってんだ……いつ斬ったんだ……」


「知らねぇ……速すぎて……分からなかった……」


「お、おい。体……真っ二つに……」


「……本当だ……刀で斬られたって……こんなにはならねぇよな……」


 殺された男の仲間達が青い顔してざわつき出した。


「お、お前ら落ち着け! 相手はガキ一匹だ。全員でやれば殺せる! 全員刀を抜け。一斉に斬りかかるぞ!」


 男の一声で、他の男達も困惑の顔をしたまま刀を抜き、構えを取った。


 本当にバカだな。

 まだ力の差が分かんねぇーのか。


「……お前ら自殺志願者か? 力の差も分からねぇーのかよ。引けば見逃してやるって言ってんのに……せっかくの命がもったいねぇ」


「うるせぇ!! ここまでコケにされて引き下がれるか! ガキは大人しく殺されてろ! 死ねぇー!!」


 ヒュン――


 六回。

 動き出した人数の数だけ、一太刀ずつ放った。


「……え? あ……」


「……なっ! ぁがああっ!!」


「……そ、そんな……」


「……こ……ん……な」


「……いや……だ……」


「……痛……い……」


 ズルリ

 ドサッ

 ドサッ

 ドサッ

 ドサッ

 ドサッ

 ドサッ


 六人分の山賊の死体が出来上がり、そこら辺が血の海と化した。


「…………どうなってんだよ……ガキ一匹相手に……」


 ザッコーはまだ状況を理解していないのか、目を大きくすると仲間の死体を見て、瞬きをする。


 ザッ

 一歩踏み込みザッコーに聞いた。


「まだやんのか?」


「……わ、分かった。分かった! 俺達が悪かった。もうこんな事しねぇから。見逃してくれ……刀を納めてくれよ。もう何もしないからさ……」


 ザッコーは下を向き頭を下げる。

 普通であれば謝っている様に見えるだろう。


 だが。

 見えてしまった。

 俺に見えない様に、背中に刀を構え直すのを。

 不意をつこうと狙っているのが分かる。


「……」


 一応こいつの出方を見るのに刀を鞘に納めた。

 次の瞬間。


「バカが! 死ねぇー!!」


 手下よりも速い動き出しを見せると、刀を突き出し真っ直ぐ駆けてこようとする。


「……真性のバカだな」

 

 ヒュン――


「……が……ああ……あっ……! ……くそっ…………が……」


 ドサッ

 ザッコーは手下と同じく全身を真っ二つにして倒れる。

 地面に赤い染みを作って。


「……力がないなら、襲いかかってくんなよ。無駄に時間くったじゃねぇーか」


 俺の周りにある八人分の死体に言った。

 聞こえちゃいないが。

 死体は憲兵が処理するか、野生の獣が綺麗にしてくれるだろう。


 また町に向けて歩きだした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 設定は面白い。 [気になる点] 擬音だけでは何が起きたのかわかりにくいのできちんと描写して欲しい。
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