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梅雨の時期ということで、傘を武器に持つ主人公を書きました。
ネタで書いたつもりが、割りとしっかりとしたストーリーになってしまいましたw
「シルムッ!」
「何だリーナか」
「何だってなによっ! せっかく私が迎えに来て上げたのに!」
そう言ってふんっと、そっぽを向いてしまう。
流れるような綺麗な金髪に緋色の綺麗な瞳をする少女の名はリーナ・ツァルート。
僕、シルム・カサークの幼馴染である。
僕はリーナに謝る。
「ごめん。許してくれるかな?」
「べ、別に怒っていないわよ」
「そう? なら良かったよ」
「ふ、ふんっ」
顔を赤く染めたリーナは再度そっぽを向いてしまったが……
「シルム、明日が何の日か覚えてるよね?」
リーナの問いに僕は大きく頷いた。
「もちろんだよリーナ! だって明日は――スキルが貰えるんだから!」
「シルムのことだからてっきり『天啓の儀』を忘れているかと思った」
「そんなわけないじゃないか。僕はこの日を楽しみしてるんだから!」
リーナの言う『天啓の儀』。それは神から15歳になった成人した人たちに職業を授ける儀式なのだから。職業は戦闘系から生産系までと様々ある。そして成長するにつれて職業に応じたスキルが手に入るといった仕組みだ。
「シルムはどんな職業がいいの?」
リーナの問いに僕は迷わず答えた。
「戦闘系!」
「やっぱり冒険者になりたいの?」
「ああ! 有名な冒険者になりたいんだ!」
「そっかぁ~、シルムらしいね」
僕の答えにリーナは笑顔で笑った。
「リーナはどんな職業がいいの?」
「私はシルムと一緒に居られるなら何でもいいかな?」
そんなことを言うリーナ。確かにリーナは僕とよく一緒にいる。それも小さい頃からだ。物心ついた時からリーナは側にいた。
だからなのか、リーナは僕からあまり離れようとはしない。
「そんなこと言っちゃダメだよ。自分の事は自分で決めないと」
「う~ん。ならそうするよ」
リーナはそう言って僕に微笑んだ。
リートは別れ自宅に戻ると。
「シルム、明日は天啓の儀でしょ」
「そうだね母さん。楽しみだよ」
「そう。シムルはどんな職業が頂けるのかしらね。ねえあなた?」
僕の母さん、エーレがそう父さん、ガルムに尋ねた。
父さんは僕を見る。
「シルムは何になりたいんだ?」
「冒険者!」
迷うことなく即答した。
「そうか。なら冒険者に相応しい職業だろうな」
「うん!」
「なら早く寝るんだ。明日起きれなくなるぞ」
「わかった、おやすみなさい。父さん、母さん」
そうして僕にはどんな職業が授けられるのか、「戦闘系なら良いな~」と思いながら楽しみに寝るのだった。
――天啓の儀当日。
僕とリーナ、他数名の成人した子供たちが村の教会に集まっていた。
僕がいる国、レグリア王国の王都からかなり離れている辺境の村なのだ。
「え~まずは無事に成人したこと、おめでとうございます」
そう言って僕達の前に立つ40代の神父。
神父は続ける。
「今日は聞いている通り、天啓の儀を行います。どのような職業になるのか、それは神のみ知るものです。それでは始めましょう。名前を呼ぶので順に前へ」
僕達は「はい」と頷いた。
天啓の儀でどうやって職業が手に入るのか。
疑問に思っていたが、その答えはすぐにわかることとなった。
「ではピーノ君前へ」
呼ばれたピーノという少年は神父の下へと歩を進め近寄った。
「ピーノ君。そこの女神像の前で片膝を突き両手を胸の前で組むのです」
「こ、こうですか、神父様?」
ピーノは言われた通りにする。
「はい。では目を閉じて待つのです」
しばらくするとピーノ体が光り輝いた。
スキルが授けられる瞬間を始めてこの目でみた。光はやがて収まりピーノの中へと納まっていく。
「もう終わりました。目を開けて楽にしてください」
「は、はい……」
「では次に、得た職業を見ることのできる『鑑定の水晶』に手をかざしてください」
鑑定の水晶。それは触れた者のステータスを見ることの出来る水晶である。
ピーノはゆっくりとその水晶へと手をかざす。弱く淡い光を放った。
名前:ピーノ・ガーン
職業:鍛冶士
レベル:1
スキル:なし
「職業『鍛冶士』ですね」
「本当ですか!?」
「ええ」
「やったぁ! これでお父さんの後を継げる!」
ピーノは物凄く喜んでいた。
それからは流れるように職業の授かりと確認の作業が進んでいき、とうとうシルムの出番となった。
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本日はもう一本更新する予定です!