優しい翼さま
~3話~
疾風の両親が他界した情報を知ってから3時間後本田が帰って来た。
「ただいま~、あれ、疾風、どうしたの?」
「いや、両親が新宿のスクランブル交差点で事故で…死んだ…」
「え…」
「これからどうすれば…」
「借金擦り付けて逃げた両親?」
「はい。」
「これからどうしようって?」
「いや、すむ場所が…」
「ここに住むんでしょ、私が借金を払ったんだから、住む場所はあるじゃない!」
「ずっといていいんですか?」
「いいよ!」
「ありがとうございます、翼さま!」
「これからもしっかりしてよ!」
「はい、あ、お風呂お湯入ってますからね。」
「お、しっかりしてる!」
「はい、翼さまのお仕事は手を抜きませんので!」
「この感じなら大丈夫そうだね。」
「これからもかんばりますね!」
「頑張って。」
「はい!」
「ところでさ、今日撮影でね、失敗しちゃって」
疾風はうなずきながら聞いた。
「どんな感じに?」
「食レポでうまく話せなかったんだ~」
「なるほどね、スタッフさんたちに何か言われたの?」
「いや、言われてないよ…でもね、自分の感覚がね…」
「確かに僕もよくありますね~」
「どんなこと?」
「昔、学校でTVに写っている状態で…あ、その番組は学校のTVなんだけどインタビュー中に貧血で倒れたんだ。」
「そうなんだ…」
「はい…」
「お互い大変だね。」
「僕のは結構昔の話ですがね…あ、お風呂の湯が冷めますよ、」
「そうだね、私、先に入るね。」
「どうぞ。」
本田は風呂に向かった、疾風は「はぁ~~、昔のこと思い出した…いやだな~」と小声で言った。
15分後本田はあがってきた。
「あがったよ~」
「はーい、これ翼さんが出てるTV番組だよね?」
「あ…ごめんね、言うの忘れてた…」
「あ、いいよ。」
「やっぱり、翼さんの笑顔の表情がすごくかわいいと思うよ。」
「そ、そう?はっきり言われたの初めてだよ…うれし…」
「え、本当に初めて聴いたの?」
「え、うん。」
「本当にかわいいのに…」
「は、恥ずかしいです!!」
「ご、すいません。」
「い、ううん、大丈夫…わ、私明日早いから先に寝るね、おやすみ…」
「あ、おやすみなさい…」
本田は小走りで寝室に向かった、疾風は「はぁ~なんだろう避けられてるのかな…かわいいのにな~」と思いながらTVを見ていた。
「そういえば明日の朝ご飯はトーストで、昼はパスタかな、夜は…何にしよう……鯖の煮物か、おでんとかかな~、いや、でもパスタとかでもいいかもな…パスタでいくか…ま、俺も風呂に入って寝るか…」
疾風は風呂に行き寝室に入り眠りについた。