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ランナー真美の願い  作者: でこぽん
4/12

4.決勝戦 そしてリサイタル

 二日後、女子三千メートルの決勝の日がやってきた。


「よーし、今日こそルーシーに勝つぞ!」

 真美は、予選でのリベンジを晴らすために、今日は何が何でも勝つつもりだ。


 だが、予選での真美の走りは、ベストの状態だった。それでも真美はルーシーに勝てなかった。


(どうすればルーシーに勝つことができるか)

 真美は考えた。


 予選のとき、勝敗を分けたのは胸の差だった。ゴールの瞬間を撮った写真を見ると、ルーシーの胸と真美の胸の大きさの違いが、明らかにわかる。


「あの写真は、私の胸が小さいのを世界中に言いふらしているようだなぁ。私は傷ついたぞ」

 真美は勝敗とは関係ないことで怒っているようだ。真美は良く言えば純粋、悪く言えば単純だった。


(私も胸が大きくならないかなぁ。でも、胸が大きくなると、走りづらくなるだろうなぁ。…だけど、胸が大きいと、男の子に間違われずに済む。やっぱり胸が大きい方が良いなぁ)

 真美は、自分の胸が大きくなった姿を想像して、喜んだり悩んだりしていた。


 でも、急激に真美の胸が大きくなることはない。だから真美は、

「最初から予選のときよりも飛ばして行けば、何とかなるだろう」

 と、割り切って考えることにした。


 真美は、根性で何とかするつもりだった。やはり能天気な性格だ。何の根拠もないが、勝つつもりだけは十分あった。


 真美は、いつも明るい未来を想像して生きている。前向きといえば前向きだが、漏れが無い緻密な計画を立てるのは苦手だった。


 それに対してルーシーは、二日前の予選が終わった後も、一人黙々と練習していた。


(今度こそ完璧に、真美に勝ってみせる)

 ルーシーは、努力においてもナンバーワンとなるように頑張っていた。



 決勝の開始時間となった。


 場内アナウンスがあり、真美はスタート位置についた。決勝では、走者全員の名前が一人ずつ紹介される。


 ルーシーの紹介があった。会場は大きな拍手の渦だ。声援もすごい。やはり、地元アメリカの選手は人気がある。会場のほとんどの人が、ルーシーのファンのようだ。


 続いて篠原真美の紹介があった。すると、信じられないことに、ルーシーと同じほどの拍手と声援が、会場から沸き起こった。

「ミラクル・キューティ・ジャパニーズ・ガール」

 多くの人たちが真美を応援した。


 会場の人たちは、予選での真美とルーシーとの手に汗握る戦いを見て、真美の決してあきらめない姿に感動したようだ。


 この声援は、真美を元気づけた。


「こんなにも多くの人が、私を応援してくれる。頑張らなきゃ。みっともない姿は見せられないな」

 真美は、両手を振って観客に笑顔でこたえた。


 ルーシーも真美を見て、

「レッツ・ドゥ・アワ・ベスト」と、親指を立て微笑んだ。


「望むところよ」

 意味もわからず笑顔で言った後、真美は、深呼吸をして心を落ち着かせた。



 そよ風が真美の頬を撫でる。気持ちの良い風だ。


(いける。今日も絶好調だ)

 真美は自信をみなぎらせた。


 やがて、スタートを告げる号砲が鳴った。


 今回も真美は、スタートダッシュをし、瞬く間にトップに躍り出た。ルーシーも、真美の真後ろにピッタリ付いている。


 会場のみんなは、今回もルーシーと真美との熱い戦いを期待している。


 ところが、一周半をすぎたとき、真美の横を黒い稲妻が駆け抜けた。少なくとも、真美には稲妻に見えた。それほどケニア代表マアンギの疾走は、見事だった。


 ケニア代表のマアンギは、予選二組の一位だった。身長は真美よりも二センチ低い。だが、彼女の走りには無駄が無かった。


「んにゃろー」

 真美は、思わず頭が熱くなり、マアンギを追い抜こうとギアを上げた。


 だが、真美が懸命に走っても、マアンギを追い抜くことができない。真美は、更にギアを上げた。ほぼ全力疾走である。


 真美の懸命な走りで、三周半を過ぎたとき、ようやくマアンギに並ぶことができた。


 マアンギに追いつくまでに、真美は二周を費やしたことになる。それほどマアンギの走りは速かった。だが、その代償として、真美の息継ぎは、デタラメなように荒い。しかも、まだゴールでは無い。


 女子三千メートル走は、四百メートルのトラックを七周半走る。つまり真美は、あと四周を、マアンギに置いて行かれないように懸命に走らなければならない。それはまさに、地獄の苦しみだった。


 それでも真美は懸命に走った。今、マアンギに引き離されたら、瞬く間に気力が途切れてしまうだろう。そうなると、二度と追いつくことができない。そのことを真美は知っていた。



 やがて、五周半が過ぎた。あと二周である。真美はマアンギに遅れまいと懸命に走っている。真美の息継ぎは荒い。そして激しい。いつ倒れてもおかしくない状態だった。


 先頭はマアンギと真美だ。二人の後ろには、ルーシーが黙々とついてきている。


(今はまだ全力を出すときではない。我慢しなさい、私)

 ルーシーは、自分自身に言い聞かせながら、辛抱強く走っている。


 すると、マアンギがさらに加速した。信じられないスピードである。まるで、二百メートル走をしているかのような速さだ。


 真美やルーシーが懸命にマアンギに追いつこうとしても、全く追いつけない。徐々に引き離された。


(かなわない)

 走りながら真美は思った。どんなに頑張っても、マアンギには勝てないと感じた。


 その瞬間、真美の速度が、やや遅くなった。気力がとぎれたのだ。


 それに対してマアンギは、この全力疾走の中でも、走ることに喜びを感じているように見えた。彼女は、笑顔で走っている。そして、彼女の駆け抜ける姿は、実に美しかった。


 極端に体を前傾姿勢にし、足を上下では無く前後にスライドしている。まるで、短距離走者の様な走り方である。彼女の一歩一歩が躍動していた。



 やがて、マアンギが一位でゴールした。二位はルーシー。真美は、前半マアンギと張り合いすぎてスタミナが切れ、三位となった。


 真美もルーシーも、ゴールしたとたんに倒れ込んだが、マアンギはゴールしても倒れることは無い。ケニアの国旗を受け取ると、国旗を背負い、すぐに競技場の中を観客席寄りに走っていた。信じられない体力だ。


 ルーシーは予選のときよりも記録を伸ばしていたが、真美は予選のときに比べ、わずかだが記録が落ちていた。


 真美は悔しかった。マアンギやルーシーに負けたことよりも、予選のときのタイムに届かなかったことが許せなかった。


「私は、走っている途中で諦めてしまった。最後まで一生懸命頑張ることを怠った。自分を向上させる心を放棄してしまった」


 真美は、父の言葉を思い出した。

『真美、お前には誰よりも努力する才能がある』


(私は、お父さんの期待を裏切った。ごめんなさい、お父さん)

 真美は大声で泣いた。悔しかった。自分が許せなかった。


 ケニア代表のマアンギは、真美よりも身長が低い。にもかかわらず、華麗な走りをしていた。


「私は、まだまだ速く走れるはずだ。今度ルーシーやマアンギと会うときには、今の自分よりも成長してみせる」

 真美は、気持ちを切り替えた。


 篠原真美の特技は、暗い気持ちを引きずらないことだ。気持ちを切り替え、すぐに明るくなれる。単純と言えば単純だが、それが彼女の魅力である。


 涙を流しながらも笑顔でマアンギに抱きつき、

「おめでとう。そしてありがとう」と、いった。


「サンキュー。キューティ・ジャパニーズ・ガール」

 マアンギには、真美の言葉がわからないが、なんとなく意味を感じ取ったようである。マアンギも、すがすがしい笑顔だった。



「篠原、銅メダルだ。おめでとう」

 井口コーチがやって来た。井口コーチは、えらくご機嫌のようだ。


「今日は俺が夕食をおごってやるから、何でも好きなものを注文してくれ」


 真美は、指で素早く涙を拭きとった後、

「えっー。本当ですか? 嬉しい。それじゃあ、回転寿司に行きたい!」と、いつもの明るい能天気な真美へと戻っていた。


 井口コーチは、篠原真美の迫力ある言葉で、思わず背筋に冷たいものを感じた。


 回転寿司だと食べる量に比例して料金が変わる。井口コーチは、真美の日頃の食事量を知っていた。それは、一般女性の一回の食事量をはるかに凌ぐものである。


「でも篠原、回転寿司屋さんは、ロスアンゼルスにあまりないし、行っても混んでいて座れないと思う。別の店にしないか?」


「大丈夫です。私が今から予約します」


「でも、英語のできない篠原が予約できないと思うが…」


 井口コーチは、何とか別の安い店を真美に選んでほしかった。


「問題ありません。ガイドブックに予約の仕方が書いてあるから」

 そう言って真美は、バッグを開け、ガイドブックを取り出し、早速電話をかけた。


「おまえ、スポーツバッグにガイドブックを入れているのか」


「えへっ。ばれちゃった…」

 篠原真美は、頭をかきながら、


「いつでも利用できるように入れているの」

 そう言うと真美は、店の人と話し、予約した。


 井口コーチが驚いたことに、真美が電話した店は、日本語が通じる。まるで東京の飲み屋さんを予約するみたいに、簡単に予約ができた。


「井口コーチ、今から行きましょう」

 真美にせかされるまま、井口コーチは寿司屋に向かった。



 真美の予約した店は、リトルトーキョーにあった。


 この店は、アメリカ人に人気のネタもありつつ、アメリカ人があまり食べないような日本人向けのネタもあり、品揃えが豊富である。しかも、真美が愛してやまない納豆がある。さらに、多くの日本人が板前で働いている。日本語しかできない真美でも、十分に注文できる店だった。


「井口コーチ、ありがとうございます。それでは、いっただきまーす」

 そう言って真美は、幸せそうに寿司をつまみ始めた。


「おい、篠原、大トロやホタテは四つまでだぞ」

 井口コーチは、財布の中身が無くならないか、ただそれだけが心配だった。


「井口コーチ、『モグモグ』この店は、カードでも払うことができますから、『モグモグ』財布の中身は心配しなくても『モグモグ』いいと思います『モグモグ』…」

 真美は口いっぱいに握り寿司をほおばりながら説明した。


 ついさっきまで戦っていたときの真美と今の真美とでは、顔つきが全く違っている。

 今の真美は、どこにでもいる女子高校生のように、お茶目で明るく、笑顔を絶やさない子だった。但し、食事の量だけは大人顔負けの量である。


 井口コーチは、篠原真美に「おごる」と言ったことを、心から後悔した。


 このとき、真美は、終始笑顔だったが、心の中では悔しさが溢れていた。悔しさを紛まぎらわせるために、やけ食いをしていた。

 真美は、早く次の試合がしたかった。ルーシーやマアンギに早くリベンジしたかった。



「篠原、やはり悔しいか」

 食事が終わった後の帰り道で、井口コーチがポツリと言った。


「井口コーチ、気づいていたの?」

 真美は、井口コーチの方を見て驚いている。


「あたりまえだ。俺は、お前のコーチだ。お前の性格を知っている。お前は三位になって喜ぶような奴じゃない。ましてや、予選よりもタイムが落ちている。お前が嬉しいわけが無い」


「井口コーチ、私は悔しい。早くルーシーやマアンギにリベンジしたい」

 真美の両手は握りこぶしをつくり、強く震えていた。井口コーチをしっかりと見据えた瞳から、いつの間にか涙がこぼれ落ちた。


「わーーあーー!くやしいーー」

 真美は唇を震わし、大声を出した。大粒の涙が溢れだす。


「篠原、この悔しさがある限り、お前は速くなれる。きっとルーシーやマアンギに勝てる」

 井口コーチは、真美の肩に手をやり、励ました。


 いつの間にか外は暗くなっていた。

 まるで真美を励ますかのように、星々が煌めいている。

 まるで真美の涙を拭きとるかのように、そよ風が真美の頬を撫でた。



「井口コーチ、今からウォルト・ディズニー・コンサートホールに行こう」


「こんな夜からディズニーランドか?」


「違うよ。ウォルト・ディズニー・コンサートホール。私の中学のときの友達がピアノ・リサイタルを開催しているのよ」

 そして続けて、

「井口コーチも、行って良かったと必ず思うはずだよ。玲子の演奏は信じられないほど凄いから」


「そうか、篠原の友達のピアノ・リサイタルか。それじゃあ、どんな友達か見に行こう」

 そういうと、さっそく井口コーチはタクシーをつかまえ、二人はコンサートホールへ向かった。



 ウォルト・ディズニー・コンサートホールは、ロスアンゼルス・サウス・グランド通りのロスアンゼルス・ミュージックセンター内にある。1987年、ウォルト・ディズニーの妻であったリリアン・ディズニーが、ロスアンゼルスの文化向上のためにと、一億ドル以上を拠出して建てられた。外観はステンレススチールのパネルが波打つ形であり、巨大な戦艦にもみえるし、巨大な花びらが舞い散っているようにも見える。


 タクシーを降りた井口コーチと真美は、ウォルト・ディズニー・コンサートホールの壮大さに驚いた。


「見事な音楽ホールだな。篠原の友達は、本当にこんなに凄いホールでリサイタルを開催するのか?」


「大ホールでは無く中ホールですると聞いたけど…」


 真美も、初めて見るコンサートホールの圧倒的な迫力に驚いている。


 ウォルト・ディズニー・コンサートホールは、始めて見る者なら誰もが驚くほどの、壮大な建物だった。二人はホールの外観に見とれながら中ホールへと向かった。


 中ホールに着くと、入口に、『白井玲子ピアノ・リサイタル』のポスターが貼ってあった。間違いない。この場所だ。


 中ホールは観客五百名を収容できるようだ。


 不思議なことに、白井玲子はアメリカで初めてのリサイタルだが、観客は、ほぼ満員に近い状態だった。しかも、親子連れの観客が意外と多い。真美が観客席を見渡すと、一昨日に玲子と入った店にいた子供たちもリサイタルに来ていた。


 きっと玲子は、アメリカにきて多くの子供たちと接したのだろう。そして子供たちは、玲子からじかにピアノを教わることで、ピアノ演奏の楽しさや玲子の凄さを肌で感じたのだろう。地道な方法だが、最も効果的な方法だと真美は思った。


「篠原の友達は、どんな演奏をするのだ?」

 井口コーチが尋ねた。


「他の演奏者とは全く違った不思議な演奏をするよ。井口コーチも、きっと驚くと思う」


「まさか、モーツアルトみたいに鼻を使って演奏をするのか?」


「そうじゃない。ちゃんと両手の指を使って演奏するよ。でもね、他の演奏者とは心の響き方が全然違うよ」


 井口コーチは、真美の説明だけでは全然イメージが湧かなかった。首をかしげている。


「とにかく、聴いてみたらわかるよ。ほら、間もなく始まる」



 やがて、開演のブザーが鳴り、白井玲子が現れた。玲子の服装は、白いブラウスを身に着け、黒いロングスカートを穿いている。すらりと伸びた手足で、切れ長の目が美しい。


「篠原の友達にしては賢そうな子だな」


「玲子は中学の頃は優等生だった。私の友達は、みんな賢いよ。井口コーチもね」

 真美は人をのせるのが上手だ。井口コーチは、自分が持ち上げられたので機嫌が良かった。


 玲子が挨拶を終え、最初の演奏曲のタイトルを言った。なんと、それは『きらきら星変奏曲』だった。それを知り、観客の半分ほどがどよめいた。


 普通、きらきら星は小学一年で習う曲だ。誰でも演奏できる曲といっても良い。とてもリサイタルで演奏する曲では無いと思う人も多いだろう。半分ほどの観客は、その理由で、どよめいたのだった。


 しかし、きらきら星変奏曲の作曲者は、モーツアルトだ。音楽の天才がつくった曲である。誰もが簡単に演奏できるものではない。


 演奏が始まってしばらくすると、観客のどよめきは驚きに変わった。


 真美の指の動きが人間離れしたように高速で動いていた。しかも、伴奏が凄かった。まるで交響曲のように壮大で美しい。そして迫力があった。さらに目まぐるしく音階が変わる。本当にこれは、きらきら星の伴奏なのかと、誰もが疑いたくなるほどの演奏だった。


 だが、主旋律は、あくまでも、きらきら星の演奏をしている。間違いなくこれは、きらきら星の演奏だった。


 最初、きらきら星の演奏だと聞き、きらきら星をバカにしていた観客は、考えを改めた。

 あのきらきら星は、変奏曲となることで、こんなにも壮大で美しい曲に生まれ変わることができる。ここにいる観客は、曲の無限の可能性を知った。そして、玲子の演奏力の凄さを知った。


 しかし、観客の驚きは、それだけではなかった。


 観客の誰もが、宇宙を旅行しているような感覚にとらわれだした。まるで宇宙船に乗り、たくさんの星々を眺めているようだ。目の前に無限の星の海が広がっている。キラキラと眩しく輝いている。宇宙船は銀河の中心へと向かっている。目に見える星の数が、だんだん多くなる。星々の瞬きも、増えてくる。まるで、光の洪水のようだ。観客は、誰もが星の海での旅行を楽しんだ。



 やがて、玲子のピアノ演奏が終了した。


 だが、会場は静まりかえっている。誰も拍手をしない。それは、玲子の曲がつまらないためではない。観客の心が、まだ宇宙旅行から戻って来ないためだ。


 やがて、一人、二人と、現実の世界へ戻って来た観客が拍手をした。その拍手の音で他の観客の心も現実の世界へと戻ってきた。その後、盛大な拍手となった。


 盛大な拍手のなか、井口コーチが信じられないような顔をしていた。

「篠原…、俺は…、宇宙旅行をしてきたようだ…。星の海のきらめきが、光の洪水が、まだ目に焼き付いている。信じられない…」


「だから『玲子の演奏は他の演奏者とは心の響き方が全然違う』と、さっきいったじゃない」

 真美がなにくわぬ顔で答え、続けて、

「井口コーチ、次の曲はモーツアルトのトルコ行進曲だよ。おそらく次は時空を旅するはずだから。十八世紀のコンスタンティノープルを楽しんできてね」

 と、井口コーチを送り出した。



 その日のリサイタルで、井口コーチをはじめとした多くの観客は、信じられない体験をした。そしてその体験談が、翌日の新聞に小さく記載された。



 白井玲子が奏でるピアノの旋律は、観客の心をいろんな世界へといざなう。『魂を誘う』と言っても良いかもしれない。世界旅行はもちろんのこと、宇宙旅行や神々の世界、さらには、時空を越えた世界へと観客の心を導く。

 観客は、リサイタル会場に居ながらにして、いろんな世界を旅する。


 それはまさに、奇跡の演奏だった。

真美の決勝戦は残念でしたね。

でも、このときの悔しさがあるので、この物語はずっと続いていくのです。


次は、真美がグランドキャニオンに行きます。どんな出会いがあるのでしょうか…


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