男のプライドが傷ついた
それはさておきとして、
冷やしていた西瓜と桃はみずみずしくて甘かった。
彼女が食べやすいようにと
カットしてくれていたこともあり、パクパクと食べられ、
あっという間に平らげてしまった。
「はー、美味しかった」
「それは何よりだ。
成長期の男子の食欲は流石だな、
もうなくなってしまった。
もっと成長できるといいな」
そのからかいにはちょっと男のプライドが傷ついた。
遠回しに僕の身長のことを
揶揄されている気分になったからだ。
僕は彼女とほぼ同身長で、
すらりとした体格から見ると、彼女の方が大きく見える。
もう少し、筋肉でもつけたら、男らしく見えるのかな。
いや、それよりも先に身長か。
四月に行われた年に一回の身体測定で、
百六十七センチだと言われた。
僕の学校内での一年生男子の平均身長は確か、
百六十九センチくらいだったはずだ。
さらに、自分で自分を追い込みたいわけではないが、
補足として、
一般男性平均身長は百七十一・五くらい
だったと記憶している。
僕は学年平均身長よりも二センチ低く、
一般的な平均身長より四・五センチも小さいらしい。
「僕の身長は百六十七センチなんですが、
由野さんの身長は何センチなんですか?」
「百六十七センチだ」
え、僕と全く同じ身長だ。
「えっ。
てっきり由野さんは、
僕より大きいのかと思ってました。
すらっとしていて、体格もいいので」
僕なんか、肩幅も狭くて、ひょろひょろしているから、
どうしても幼く見られがちだ。
「君は華奢だからな、そう思うのも仕方ないよ」
「華奢って、女性に使う言葉なんじゃないですか。
そんなの言われても、惨めになるだけです……」
さらに追い打ちをかけられ、
僕の自尊心はズタズタボロボロだ、
あともう一押しでもされたら、
ぽっきり折れてしまうかもしれない。
「そう落ち込むことはない。ほら、腕を見せて見ろ」
そう言って、彼女は強引に僕の手首を掴み、
瞬く間に、距離を縮めた。
「えっ、ちょっ」
彼女は僕の浴衣の袂に手を通し、
僕の腕を柔い両手で触れてきた。
「ひゃぁっ! ちょっとくすぐったいですよ、由野さん」




