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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第三種「受容の種」―自分を受け入れる―】
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「食べること」との距離

 本日のおすすめの、鶏釜飯定食は、

 鶏釜飯、野菜たっぷりのスープ、鶏肉のオーブン焼きだ。


 鶏釜飯はいくつか作り置きしておいたものを温めなおし、

 スープも同様、鶏肉のオーブン焼きは蜂蜜やスパイス、

 醤油などで漬け込んで、注文されてから焼き上げる。


 その為、先に釜飯とスープだけを提供してしまう。


 そうすることで、

 待ち時間を抑えることができるんだとか。


 それに、出来立てのものの方が香りも際立って、

 美味しいに決まっている。


「ん、美味しい……」


 ほっこりと頬が緩んでいるのがすぐに見て分かる。


 美味しく感じるその味覚も、

 自分自身の感情と関連しているという。


 心が暖かいときは

 いつもよりも食べ物を美味しく感じられて、

 辛いことがあったときは食べ物の美味しさが身に沁みる。


 さらに、食べ物を食べ過ぎたり、

 そのせいであまり食べられなかったりしたり、

 断食していた後には、ご飯の美味しさが胸に染みる。


「……っ……ん」


 そのあまり、目を潤ませたり、

 泣いてしまうこともあるんだ。


 彼女の場合は、彼に話を聴いてもらい、

 さらにその話を僕らに聴いてもらうことで

 心が満たされたことと、

 摂食障害で「食べること」との距離を見失っていた為に、

 その感動は倍増してしまったんだろう。


 それから約二十分が経過し、

 由野さんが焼き立ての鶏肉を運んできたときには、

 彼女は夕日のような笑顔を浮かべていた。


 彼女はすっきりした顔で店を後にしたはずだった。


 だから、

 次に彼女が店を訪れるときは嬉しい報告か何かだと、

 僕は勝手に思い込んでいたんだ。





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