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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第三種「受容の種」―自分を受け入れる―】
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「自分の存在価値を認めてほしい」

「自己愛と受容の種です、

 あなたが必要だと思うものを選んでください」


 その種はどちらも同じような見た目をしていて、

 変わったことと言えば、

 二色がマーブル状に混ざり合っていたことだろうか。


 彼女は戸惑いながら、右の種を選び取った。


 そして、今度はお代の支払いに移り変わる。


 彼女は、

 「願いを教える・心の中で

  一番強い割合を占める感情の一部を渡す」の二択で、

 感情を渡す方を選択した。


 大抵は、願いを教える方を選択するはずなのに、

 彼女がそれをしなかったには理由があるだろう。


 これは僕の推論だが、

 摂食障害をなくしてしまうことも重要だけれど、

 彼女はその理由に

 気づいていないために答えられなかったんだ。


 由野さんは小瓶を彼女の胸の前で持ち、

 そこから心を覗くようにその先を見据えた。


「自分の存在価値を認めてほしい」


 彼女の心の中で最も強い感情はそれだった。


 由野さんが彼女の胸の前で手を翳すと、

 心臓の辺りから光の球が出てきた。


 由野さんはそれを掴み、そそくさと小瓶に仕舞い込んだ。


 また店の奥へと進むと、それを元あった棚に仕舞った。


「ところで、夕食でもいかがですか。


 野菜の冷製パスタなどもご用意できますよ」


「はい。じゃあ、それをお願いします」


 由野さんは彼女に、

 野菜たっぷりのサラダパスタを提供した。


 彼女は肩の力が抜けたのか、

 食べ物を控えようという素振りは見せず、

 そのパスタを美味しそうに頬張っていた。


 彼女がパスタを食べ終えた頃合いを見て、

 由野さんは巾着に入れた種を手渡し、

 鉢と土の購入を勧めた。


 彼女は鉢選びの際に、えらく時間をかけて吟味し、

 鉢と土を購入した。


 それは女性が雑貨屋で

 小物を選んでいるような可憐さがあり、

 鉢選び自体を楽しんでいるようだった。


 その後、それら全ての会計を済ませた彼女は、

 来たときよりも穏やかな表情で店を後にした。





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