「これなら……むさ苦しくならないしね」
たまには由野さんも骨休めが必要だろうと思い、
誘ってみたというのに、失敗に終わってしまった。
まあ、ちょっとした下心がないでもないが。
それにしても、彼女は仕事熱心すぎて、
プライベートというものがあまりないように思う。
どうしてそこまで根詰めて働くことに徹するんだろうか。
お金の為というよりは、
何かに対する執着が見え隠れしていた。
結局花火大会は、鈴木や宮田を誘って、男三人で観に行った。
むさ苦しくなりそうだったが、
鈴木がとても意外な格好をしてきた為に、
案外そうでもなかった。
鈴木は、
ミルクチョコレート色したふわふわ猫毛の髪で、
眼鏡を装着していなかった。
それに、服装も「かこかわ」というやつで、
可愛さをアピールしながら、
格好良さも兼ね備えている、
という反則的なスタイルだったんだ。
端的に言うと、
彼は美形男子だったということだ。
その理由を訊いてみると、
「女子にモテて、嫌がらせとか、面倒な目に遭ったから、
高校に入ったら地味な眼鏡くんになろうと思ってね。
あ、眼鏡は伊達だよ。
顔隠すのにちょうどいいからさ」
だそうだ。
イケメンにも苦労というものは付き物らしい。
じゃあどうしてその格好で来たのかを尋ねると、
「夜だったら分かりにくいし、
あの格好で遊びに行くのはさすがにダサいから。
それに、
これなら男子三人でもむさ苦しくならないしね」
妖しげな笑みを浮かべて、彼はそう言った。
その直後、彼の言葉の意味を知ることになる。




