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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第三種「受容の種」―自分を受け入れる―】
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「雨が止むことを祈ってるよ」

 樹と種の世話は、水やりと、

 たまに専用の肥料を与えることだ。


 水やり自体は、そこまで重要ではないらしく、

 「真心込めて世話をする」という

 行為自体に意味があるとか。


 店で出しているスイーツに使われているのも、

 これからできた果実などを使っている。


 定期的に生産するためにも、

 僕にこの仕事を任せたようだ。


 それこそ、彼女曰く、

 「君のように素直で純朴な少年が育てた方が、

 樹も健やかに育つだろう。


 それに、客にもその方がウケがいい」

 というやつである。


 僕はその言葉を褒め言葉として

 受け取っておくことにした。


 そう捉える方が世話も楽しくなる。


 その他の仕事は、店の内外問わず掃除、

 皿洗い、食材などのストックの点検、

 接客、レジ打ち、後片付け、

 たまに買い出しが仕事となるらしい。


 まだ今は働き始めたばかりで、

 主な仕事は、樹と種の世話、掃除、皿洗い、

 簡単な接客と後片付けだ。


 あれ、意外とできることが多かった。


 時間が余ると、

 あらゆる場所の掃除をさせられるため、

 閑古鳥が鳴く状態だけは極力回避したいものだ。


 彼女の夜用の仕込みが終わり、

 僕も掃除が一段落して一息ついていると、

 しとしとと、穏やかに降り続いていた雨が、

 いつしか、窓を叩くような強い雨に変わっていて、

 空模様は鬱を彷彿させた。


「この雨じゃ、電車も止まってそうですね。


 僕、帰られるかな」


「すまないが、私には店があるのでな。


 雨が止むことを祈ってるよ」


 そうした会話をしていると、カラリ、

 と店の扉の開く音が聞こえた。


 咄嗟に振り返り、

 挨拶のように、その言葉を口にする。


「いらっしゃいませ」


 十五度程度のお辞儀で、僕は彼女を迎えた。





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