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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第二種「感情」―表現する術―】
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命を芽吹かせていたんだ。

「お待たせ致しました、

 食後のスイーツの、

 苺と白桃のタルトになります。


 ごゆっくり、お召し上がりください」


 彼らは目を丸くして、それを見つめた。


 そして、お互いの顔を見合わせて笑い、

 それを口に含んだ。


 彼女さんが至福の表情を浮かべ、

 彼がそれを嬉しそうに見つめながら、

 タルトを頬張っていた。


 不意に、二人の身体から光が放たれ、

 光の球がふわふわと宙を泳ぎ、

 由野さんの手元に着地する。


「不思議なこともあるものだな」


 と、伏し目がちに、ぼそりと呟いて。


 彼女はそれをどこから取り出したのか、

 見覚えのある小瓶に詰め込んだ。


 そして小瓶を光に透かしては、

 それを愛おしそうに、

 けれど、切なげに眺めていた。


 彼らも僕も、きっと、彼女でさえも、

 気づかぬうちに、それは芽を咲かせた。


 長年くすぶらせてきた思いのように、

 この店の隅で、ひっそりと、

 命を芽吹かせていたんだ。





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