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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第二種「感情」―表現する術―】
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必ず成就するとは限らない

 そう、願いを叶える手伝いをするだけで、

 願いを直接叶えたりはしない。


 それは、自分の願いに、

 願いを叶えることに責任を持ってもらうため。


 それが、

 この店の店主である彼女の方針と信念なんだ。


 ん? え、え、ちょっと待って。


 このタイミングでそれ言いますか?


 誘導尋問チックだし、何より、

 悪徳商法みたいに聞こえる。


 寧ろ、そうとしか聞こえない。


 しかし、彼は即答した。


「僕にも売っていただけますか?」


 馬鹿なのか、あるいは、

 それほどの決意の現れなのか。


 おそらく、後者だろう。


 彼はカウンターから身を乗り出している。


「大丈夫ですよ。


 ですが、事前に諸注意をさせていただきますね」


「第一に、願いを教えること、若しくは、

 あなたの心の中で一番強い割合を占めている

 要素、感情の一部を分けること。


 第二に、必ずしも心が成長するとは限らず、

 枯れてしまうこともあることを理解しておくこと。


 第三に、願いが必ず成就するとは限らない。


 願いが叶わなかったとしても、自己責任であること。


 以上を把握したうえで、

 承諾いただくことになりますが、よろしいでしょうか。


 まだ、今なら取り消すことも可能ですが、

 如何なさいますか?」


 彼に声をかけたときの態度とは打って変わり、

 試すような、どこか冷たい態度だった。


 彼は重々しくなった空気に萎縮し、

 喉をゴクリ、と鳴らす。


 お陰で、僕まで緊張してしまう。


 諦めてしまうのかと思いきや、

 彼は一言ずつ、言葉を紡ぎ出した。


「それでも、いいです。


 僕に、種を、売ってください」


 静かに見上げた彼は、

 彼女の顔をしっかりとその瞳に映していた。


 彼女はそんな彼の様をじっと見据えると、

 満足したように頷いた。





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