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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第二種「感情」―表現する術―】
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本気で誰かを好きになったこと

「はい! 


 ここの料理はとても美味しいですから。


 特に、デザートが美味しくて、

 甘いものが苦手な方にもおすすめです」


「そっか、

 君が言うなら間違いなさそうだね……

 僕も君みたいだったらよかったのかな」


 溜息混じりの言葉が、

 閑静な店内でやけに重く響いた。


「何かあったんですか?


 よければ、そのお話聞かせてください」


 彼は少し戸惑っていたようだったが、

 ポツリポツリと、言葉を紡ぎ出してくれた。


 ――薄情、冷血だと言われ続けてきた。


 つまらない、

 「好き」と想われている気がしない、

 などの理由で付き合っていた

 彼女にも振られてしまった。


 自分はもう二十七歳なのに、

 付き合っていた彼女に振られるのは手痛い。


 そろそろ結婚を考えなくてはいけない年頃なのに。


 結婚をして、家庭を持ち、子どもが生まれる。


 だが、想像つかない。


 そこで僕はふと思った、

 「自分は本気で誰かを好きになったことがあるのか」と。


 思えば、見た目がよくて、

 打算的な理由でしか付き合ってこなかった。


 それに気づいたところでどうしようもない。


 呆然と思考だけを繰り返し歩いていると、

 見知らぬ路地に踏み入れていた。


 普段なら絶対先に進もうとはしない僕だったが、

 このときは吸い寄せられるように足を進めた。


 僕は店に着くと、カウンターに腰掛け、

 食事をとった。


 そして、

 今こうして君に自分語りをしているんだよ。


 彼の境遇如何よりも、心に留まった一つがあった。


「見知らぬ路地に足を踏み入れて

 ――吸い寄せられるように足を進めた」

 

 僕のときと似ている。


 僕がいじめのことで、

 心を病ませていたときもそうだった。


 まるで、某依存症漫画のようだ。


 けれども、これは現実世界だ、

 魔法的なものは存在しない。


 そんなものが存在するなら僕は……。





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