残念だよ
「鈴木さー、
一匹狼気取っててウザいからー『更正』させようぜ?」
彼らのうちの一人がニヒルに笑った。
彼らの言う『更正』とは気に入らない、
彼らに逆らう奴らをいじめることだ。
僕の所属するグループはクラスで一番強い力、
権限を持っているグループである。
不満があっても大抵の人は逆らわないし、
逆らえない。
過去に標的になった人が一人いたが、
その人はいじめなんて
全く気にも留めていない様子で、
彼らはすぐに飽きた――というのは建前で、
反撃が恐かったからだった。
今度はそうはいかないと思い、
止めようと声に出してみるけれど。
「そんなこと、するほどかなぁ」
「は、何て?」
「ううん、何でもないや」
そうして事態は収拾しなかった。
翌週、彼の鞄がゴミ箱に捨てられていて、
本は切り裂かれていた。
彼に手を差し伸べようと思うけれど、
彼らが怖くてできない。
彼へのいじめは日に日にエスカレートしていき、
僕は陰からこっそりいじめを
妨害することしかできなかった。
僕は何も進歩できないままで、
いじめを止めることもできないまま、
それから一週間が経った二十三日の月曜日に、
鈴木くんから言われてしまった。
「君は狡くて、臆病だ。
真っ向から立ち向かえないなら、
これ以上余計なことはしないでほしい……
君とは、仲良くなれそうだったのに。
残念だよ」
彼の眼鏡越しに、落胆したような眼が
僕の脳裏にしっかりと焼き付けられた。
言葉とともに注がれる彼の眼差しは、
僕の心を無数の針で突き刺してくる。
酷く、胸が痛む。
でも、下手に心があるからこそ、
傷ついたり、臆病になったりするんだ。
感情なんてなければ、心なんてなければ、
もういっそ僕なんてなければいいのかもしれない。
僕なんて、弱虫で、臆病で、
血の通った利己的な「何か」だ。
僕は「好かれる為」ではなく、
「嫌われない為」に努めてきたから、
きっと誰からも好かれていないだろうし、
必要とすらされているかも危うい。
きっと、
嫌なことや面倒なことから逃げすぎてきたたんだ。




