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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第二種「感情」―表現する術―】
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お隣、失礼します

 腹の虫には勝てず、即答してしまった。


 由野さんのつくる賄いが出来上がるのを待つ間、

 テーブルの後片付けに取りかかっていた。


 食器を洗い場にまで運び、

 テーブルをアルコールで除菌する。


 新たに食器の洗い物でもしようかと、

 店の台所に足を踏み入れると、

 丁度彼女が賄いをつくり終えたところだった。


「ほら、賄いだ。


 しっかり、腹ごしらえしてこい」


「はい、ありがとうございます」


 賄いを乗せたトレイを受け取ると、

 僕はどこに座るべきか迷ってしまった。


 僕の特等席はカウンターの右から二番目の席だったが、

 今はバイトの身分で、そうもいかない。


 カウンターとテーブルの境を

 うろちょろしていると、彼に声をかけられた。


「よかったら、隣、どうぞ」


 彼は自分の隣の席を指すが、それはどうだろう。


 バイトのくせに、

 お客と並んで食べてもいいんだろうか、うーん。


 それを見かねた由野さんが助け舟を出してくれた。


「彼がいいと言うなら、甘えさせてもらうといい」


 さらに、視線でこうも云ってきた。


 ここで断る方が失礼に値する、と。


 視線だけでここまで分かる僕すごい、と思ったが、

 彼女が言いそうなことを推測しただけなので

 別にすごくも何ともなかった。


「それでは、お言葉に甘えて、お隣、失礼します」


 多少遠慮しながらも、所詮、食欲には抗えない。


 開き直り、威勢よく合掌する。


「いただきます!」


 五目ご飯を貪り、ポテトサラダも口に押し込む。


 どっちも美味しいけれど、

 僕としては豚のしょうが焼きに魅力を感じる。


 そうして、十分程度で平らげてしまった。


「ご馳走様でした!」


 それを隣で見ていた彼がクスクスと笑みを零す。


「とても美味しそうにご飯を食べるんだね」


 じっと見られていたのかと恥ずかしいが、

 何もおかしなことはしていない。


 胸を張っていよう。



 

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