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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第二種「感情」―表現する術―】
56/172

今日の仕事はこれから

「…………」


 絶句する他なかった。


 いつも見慣れていた性別行方不明者イケメンが

 こんな美女だったなんて……なんとも表現し難いが、

 華があり、

 身体のしなやかな曲線美は

 見るものを虜にしてしまいそうだ。


 それと、どこから沸いてきたんだろう、それ。


 こんなことを考えていたら、また怒られそうだ。


 これに関する思考は

 ここでお終いにしておくとしようか。


「そ、そんなに変か?


 久しぶりにこの格好をすると、落ち着かない。


 店もあることだ、着替えてくるよ」


 誤解を生ませたままでは申し訳ないと、

 僕は彼女の服の袖を掴む。


「変じゃ、ないですよ。


 思っていたよりも、すごく美人だったので、

 つい、言葉を失ってしまいました」


「そうか。


 でもやはり、仕事がやりづらくなるから、

 着替えてくる」


 何でもないような口調だったけれど、

 きっと彼女は照れているに違いない。


 普段、あれだけ熟慮している彼女だ、

 今の言葉も深読みして、

 一人で赤面しているんだろうな。


 そして、男装で戻ってきた時には、

 済ました顔を見せるんだ。


 まだ今日は労働を始めて、一時間と経っていない。


 今日の仕事はこれからですよ、由野さん。





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