表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第二種「感情」―表現する術―】
55/172

「彼女」2

 ふと単純な疑問が生じた。


 単な好奇心が口から零れ落ちただけの言葉だったんだ。


「由野さんって、歳はいくつなんですか?」


 僕はけして、

 誘導尋問なんて大層なことを行おうとしたのではない。


 由野さんが口を滑らせて、ボロ、

 『本性』それもほんの一部の姿を見せたにすぎないんだ。


「失礼だな、

 女性に歳を訊いてはいけないと習わなかったのか……あ」


「え」


「…………」


 寸秒の沈黙が流れ、そして。


「ぅぇええええ!?」


「し、失礼だな。


 私はれっきとした女性だぞ」


 彼、もとい、由野さんは開き直り出した。


 確かに、女性を男性だと認識していて、

 女性だと言われて驚くのは

 失礼だというのは分かっている。


 だがしかし、

 彼女の場合はそれに適用されないはずだ。


「だって、由野さん、

 思いっ切り男装してるじゃないですか!」


 中性的だとか、イケメンだとかそういう以前に、

 彼は男装をしている。


 男性なら普通の店員ではあるが、女性なら、

 ギャルソンを着ているのは男装になるだろう。


 それに……密かに彼女の

 シャツのボタン付近に目を当ててみる。


 うん、仕方ないよなぁ。


「おい佐藤、今、

 とても失礼なことを考えていなかったか。


 それも、侮辱に値する程度のことを。


 まあいい、

 どれだけ言っても納得しなさそうだからな。


 少し待っていろ、

 その間はテーブルとカウンターを

 アルコールスプレーで除菌しておいてくれ。


 すぐに戻ってくる」


 スプレーボトルと布巾を手渡すと、

 彼女は颯爽と店の奥に姿を眩ました。


 よし、仕事するか。


 約五分後、

 カウンターとテーブルの除菌を終えた頃に

 彼女は別人のような姿で店内に戻ってきた。


 何なら、同一人物かさえも疑わしい。


「待たせたな、佐藤」


 しかし、その彼女から滲み出る

 爽やかイケメンなオーラと、

 透徹な声は確かに

 由野さんであることを保証してくれた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ