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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第一種「勇気の種」―自分次第の力―】
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「名前教えてもらってもいいですか?」

「働くとなると、名前を知らないと不便なので、

 名前教えてもらってもいいですか?


 履歴書にも書きましたが、僕は佐藤昇汰です」


 束の間、

 彼の表情が驚いていたように

 見えたのは気のせいだったか。


 彼はにこやかな笑みを浮かべ、名前を教えてくれた。


「由野だ」


「はい、由野さん。


 これからよろしくお願いします!」


「ああ、よろしくな佐藤」


 こうして僕は正当な理由で、

 この店に居着くこととなった。


 しかし、

 こんな不思議な店で働くことになるなんて、

 この店に足を踏み入れたときには

 予想だにしていなかったはずだ。


 蛇足にはなるが、

 僕はあのとき鈴木くんが

 黒田くんに何を囁いていたのか、

 何をもって彼に圧力をかけていたかの

 答えを知っていた。


 僅かながら、聞こえてきたんだ。


「佐藤に、

 お前がアイツのこと好きってことバラすって」


 僕はそれを知ってなお、彼にああ言った。


 それが一番効果覿面だと思ったからだ。


 その通りに事は進んでいる、上手く纏まって良かった。


 そして同時にこれは、

 彼女と僕との奇妙な関係の始まりでもあった。





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