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僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第一種「勇気の種」―自分次第の力―】
50/172

良心的

「ココアのパンナコッタに

 甘夏柑のソースをかけてみた。


 少々こってりしているが、

 甘夏柑がいいアクセントになっている。


 是非、食べてみてくれ」


 濃厚で口の中で薫るカカオの奥深さに

 ねっとりとした重みのある食感が堪らない。


 そこに、酸味の利いた甘夏ソースが

 新たな変化を加えて、もう最高だった。


 甘夏は、他の蜜柑よりも

 酸味が少ないことが売りだけれど、

 甘夏にもしっかり酸味はあるんだ。


 ヘタレだけど、芯はある僕だ。


 そして彼は、

 けして甘やかしてはくれないけれど、

 確かな優しさがそこに存在していた。


 この店は彼の持ち得る人格と彼の料理の腕と、

 あと、あの独特な雰囲気で成り立っている。


 この、どこか変わっているのに、

 落ち着いてしまえるこの空間が僕は気に入ったんだ。


 僕はココアのパンナコッタを器の底まで

 こそいで食べ尽くした後も、店に居座り続けた。


 今までに食べた彼のつくったスイーツについて語り、

 いじめも鈴木くんや宮田くんと友達になれたことなどを

 語り尽くしてしまうほどに語った。


 日も暮れてきて、帰ろうとすると、

 彼はお土産を持たせてくれた。


 さっきの甘夏の残りで

 ジャムをつくってくれたらしい。


 今日の代金は、

 パンナコッタとお土産のジャムを合わせて、

 四百円だった。


 相変わらず良心的すぎて、逆に不安になるほどだ。 


 それからすっかりこの店が

 お気に入りになってしまった僕は、

 週に一度程度で「stray sheep」に

 足を運ぶようになった。


 この頻度で通うのは、

 バイトをしていない高校生の財力では

 それぐらいがせいぜいだからだ。





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