終息
一つの課題はクリアした。
あともう一つは、単純だけど案外難しいものだ。
くるりと振り返り、
鈴木くんに言い損ねてきたことを告げる。
「ありがとう。
それと、
今までいじめられてたの無視したりして、
ごめん。
初め僕はただ、
君と友達になりたかっただけなんだ。
こんなこと言うのは今さらかもしれないけど、
僕と友達になってくれませんか?」
どこか告白じみていて、
妙な気恥ずかしさを感じた僕は赤面し、
俯いてしまった。
ナニコレ、余計に告白みたく見えるんだけど?
「そんなの、もう無理――」
ありったけの勇気を込めて言った言葉だけに、
そうはっきり拒絶されると流石に落ち込む。
と、肩を竦めていると、
前言を撤回する言葉がかけられた。
「なーんて、嘘だよ。いいよ。
こっちこそ今まで酷いこと言ったりしてごめんね。
佐藤が俺を庇ったら、
佐藤が標的にされるのは明白だったから。
でも、正直見直したよ」
「ありがとう」
もう一度、踵を翻して、彼らに視線を送った。
彼らへ向けて、告白するんだ。
「今までいっぱい無理してきた。
自分を縛ってきたから、
言いたいことも言えなくて、モヤモヤしてた。
でも、これからは言いたいことはちゃんと言うよ。
いじめなんて嫌だし、誰かの愚痴ばかりを言って、
自分たちを上げるようなことも嫌だった。
僕はもうそんなのしたくないし、
黒田くんたちにもそんなことさせたくないから。
友達なのに、今まで止められなくてごめん」
最後に、たった一人に向けてこの言葉を吐くよ。
「今まで一緒にいてくれてありがとう。
黒田くん、また今度、
予定が空いてるときにでも、
前みたいにみんなで遊ぼう」
めった打ちにされて、萎れていた彼だったが、
今の言葉で少し元気が出たようだ。
「……これからも、遊んだり、
普通に話しかけたりしてもいいのか?」
「もちろん! これからもずっと友達だよ」
にこっと甘い笑顔で答えてみせた。
彼は戸惑ったように、しかし、安堵する。
「そうか、ありがとうな昇汰」
これで一連の事件は終息を迎えた。




