何かを諦めたような眼
「なんだ、はっきり言えるんだな。
俺らといるとき、
何か言いたそうにしてるのに、
気を遣って何も言わないし、空気ばっかり読むとか、
そういうところに苛ついてた。
それなのに、嫌いにもなれないから、
ムカついて、どうしようもなかった。
それなのに、
鈴木に関わるようになってからは、
急に俺らに反抗するようになったり、
自分の意見を言うようになってさ。
俺らといても、だんまりだったのに、
どうして鈴木と関わった途端に、
お前は変わるんだよ……
俺がどれだけ聞いても他の奴と同じことしか
言わなかったのに、どうして!」
悲嘆と涙するような声音が一瞬のうちに、
怒声に変わる。
胸ぐらを掴まれると思い、目を瞑ったが、
そうはならなかった。
間に誰か割って入ってきたようだ。
恐る恐る目を開けてみると、
目の前に鈴木くんの背中があった。
「全く、佐藤は無茶な真似するなぁ。
それに、黒田もだけど」
鈴木くんは黒田くんとの距離を詰め、牽制する。
「ねぇ、黒田。
俺言ったよね、次、佐藤に何かしたら、
――に――が――ってバラすって。
それとも、バラしてもいいの?」
黒田くんが無言のまま青ざめ、
鈴木くんはチラリと僕の方へ目を向けた。
「多分もう大丈夫だと思うよ。
今のうちに、言いたいこと、全部言いなよ」
僕は彼に頷いてみせ、黒田くんに近寄る。
「もう『いじめ』は止めてくれる?」
「もう止めるよ。どうせ、意味ないから」
力なく黒田くんは言った。
何かを諦めたような眼をしていた。
あまりにも呆気ないとさえ感じた。




