放っておきたくない
あのときに感じた違和感の正体、それは。
遙か彼方、記憶の底でくすぶっていた感情。
「僕は……彼らにいじめをやめさせたいです。
今回の一件に限ってではなく、これからも。
彼らは、クラスに一人も友達がいなかった
僕に声を掛けてくれました。
若しかしたら、
そこに下心はあったかもしれません。
だとしても、僕にとっては救いの手でした。
だから今度は僕が、
心にある荒んだ闇から彼らを救いたいんです。
勿論、彼らにその気がなければ
手を差し伸べることすら叶いません。
それも含めて、
僕は彼らを光ある方へ導きたいと考えています。
詭弁かもしれませんが、
彼らがこれからも暗い道を歩いていくのを
放っておきたくないですから。
それくらいに、大事な存在だったんです」
言葉は本当に不思議な力を秘めている。
口にするだけで、
モクモクと熱い思いが込み上げてきた。
今、口にしたことが、僕のとても強い思いだ。
すると何の前触れもなく、
胸の辺りから眩い光がサァーっと放たれる。
「えっ、何これ!?」
彼は僕の疑問に答えるべく、語り始めてくれた。
「決意や気持ちというのは、
誰かに話したり、口にすると、
一層強まるものだからな。
どうやら、君の意志は固まったようだ。
種がそれを教えてくれる」
そう言うと、
彼は僕の心臓付近を指さした。
種を育てている影響というやつだろう。
しかし、僕にはまだ分からないことがある。
「でも、どうすれば?」
安易に他人に頼ろうとするのは悪い癖、
と直接的に指摘こそしないものの、
彼はやはり僕自身に結論を導かせようとする。
「答えは君の心の中にあるはずだ。
ヒントをやろう、
君の思っていることを
素直に打ち明けてみることだよ。
それさえできれば、きっと道を切り拓けるさ」
しかしながら、今日の彼は親切な方であった。
なぜなら、ヒントを強請ってもいないのに、
彼の方からヒントを提示してくれたからである。




