無我夢中で駆けだして
「おい鈴木、
こんなところに俺らを呼び出して何の用だよ」
それに続いて、鈴木くんを非難する声。
「お前なんかに時間を割いている暇、
ねぇんだよ。
ぼっちのお前と違ってな」
「マジ受けるな、それ!」
ケラケラと三人して、鈴木くんを嘲笑する。
けれども彼は至って冷静で、ある種、
侮蔑の声音を秘めて、彼らに向かって言い放つ。
「心当たりはないって言うのかー、そっかあ。
自覚がないなんて、
君たちは良心の呵責というやつを感じていないんだね」
皮肉のニュアンスは
流石に彼らにも通じたようで、怒号が起こる。
「ぁああん!?
お前、何言ってんの?
マジで意味分かんないんですけど??」
僕に手を上げようとした彼が鈴木くんの胸ぐらを掴み、
この距離でも十分に分かるほどの
形相で鈴木くんを睨みつけている。
そんな相手を諸ともせず、
鈴木くんは寧ろ相手を牽制する。
「君たちの脳味噌じゃ仕方ないかなあ――」
鈴木くんは途端に小声になり、
会話が聞き取れなくなる。
鈴木くんが彼らに何かを囁いたと思わしき直後、
一人が赤面して、
本能的に鈴木くんが危険だと悟った。
その後はもう、彼らに気づかれるのも気にせず、
無我夢中で駆けだしていた。
早く、早く鈴木くんのところに行かないと!
腕を伸ばして、彼の肩を掴む。
一人は既に拳を思い切り振り上げ、
鈴木くんの顔面からあと三十センチもない。
そうして僕は、きっと殴られると分かりながら、
必死に彼を覆い隠すように抱き締めたんだ。
「ガンッ」
軟弱ではないはずの僕の身体は、
殴られた頬よりも、その勢いのまま、
ロッカーに体当たりした衝撃の痛みを訴えてくる。
「いたたたた……かた、肩が痛い」
左肩からロッカーに突撃してしまったので、
今のところそれ以外に外傷は見受けられないが、
つまり、左肩がそれだけ衝撃を負担してしまったのだろう。
悲鳴を上げるほどの痛みではないが、
じわじわといたぶるような厭な痛み方だ。
「佐藤……」




