妙な胸騒ぎ
昼休憩、五時間目に体育があった僕は
早めの一時すぎに更衣室へと向かったんだ。
予鈴が鳴ってからだと、
特等席は使われてしまい、
生徒と生徒の間でせせこましく
着替えなくてはならないから。
それが嫌で、五時間目に体育のある日は
大抵三時間目の休憩時間に早弁する。
半分くらいを残しておいて、
昼休憩にさっと食べてしまう。
例に沿って、
今日も一人でゆったりと
着替えを済ませる予定だったのに、
そうはいかなかった。
更衣室のドアノブを握る前に、違和感を覚えた。
どうして、ドアノブを握る必要がある?
いつもなら、
体育科の先生が更衣室の鍵を開けていて、
分かりやすいようにドアは
開放されたままになっている。
恐る恐る、ドアノブを捻ってみると、
鍵は開いていた。
僕はそこで妙な胸騒ぎをおぼえて、
静かにドアを少しだけ開く。
隙間から覗き込むと、
見覚えのある数人の生徒が視界に飛び込んできた。
彼らと鈴木くんの姿だった、
慌てて身を引っ込め、もう一度様子を窺う。
彼らはこちらに背を向けている為、
僕には気づいていないようだった。
しかし、こちらを向いている鈴木くんと
バッチリ視線が絡んでしまった。
今すぐに駆け込もうかと思ったが、
僕が入ろうとするのを見て、
思い切り睨んできたんだ。
大蛇のような凄まじい眼光に根気負けし、
僕はこの場で大人しく見守っていることにした。
彼の眼差しは僕に
何かを伝えようとしているように見えたから。
覗き見をしていて、分かったことがある。
今回のこれは、彼らが鈴木くんを連れ出したり、
呼び出したわけではなく、
鈴木くん本人が呼び出したということだ。
彼がなぜ、そんなことをしたのか、
それは彼の口から直接告げられるだろう。
そば耳立てて、彼らの会話を盗聴する。




