意外な返答
「分かるか!?
そうなんだよ、
少しだけミントエッセンスを加えてみたんだ。
甘いものが苦手な人でも
食べやすいようにと思ってね。
やはり、
美味しく食べてもらえる方が嬉しいからね」
僕みたいな人のことを考えて
つくってくれたと思うと、やっぱり嬉しい。
自分の為だけではないと分かっても、
そこに自分も含まれていたら悪い気はしないだろう。
「でも、僕にはちょうどいい甘さですが、
清涼感があるので、
女性にはもう少し甘い方がいいかもしれませんね」
ぱっと切り替えよく、思案顔になる彼。
「そうだなあ、でも君には好評価だったから、
これはこれでメニューに載せるよ。
甘さが足りないか。
なら、ミントの代わりに甘夏を入れてみよう。
ミントがなくなる分、甘みは増すだろうし、
柑橘系は女性に人気だからね。
ありがとう、とても参考になったよ」
「いえ、お役に立てて光栄です」
男性とはいえ、
中性的な美人さんにお礼を言われると少し、照れ臭い。
話を切り出すなら、今だろうか。
彼の機嫌もよさそうだし、話してみよう。
「あの、この前のことなんですが――」
僕は、先週と今日のことを包み隠さず、
名前だけはイニシャルなどに置き換えて
余すことなく伝えて、彼の反応を窺った。
「まず、意思表明できたことはよかったな。
芽が生えていたのもその証拠だろう。
だがね、君が彼らのいじめ行為を
妨げたことに関しては、あまり賛美できかねる」
「どうしてですか!?」
予想外の彼の発言に、僕は珍しく声を荒げた。
必ずしも共感されるとは思っていなかった。
それでも、それと同じくらいに
否定の言葉が返ってくるなんてことは、
微塵も考えていなかったんだ。
荒波の如く乱れる僕の心情とは相反して、
彼は極めて冷静に、なおかつ意外な返答をする。




