表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の海馬を君に贈りたい  作者: ハイドランジア&シーク
【第一種「勇気の種」―自分次第の力―】
12/172

よければその話、聞かせてくれないか?

 両手を合わせて、僕は行儀の言葉を口にする。


「いただきます」


 受け取ったスプーンでそっとムースを掬い、

 ドキドキしながら口まで運ぶ。


「んっ! ?」


 口の中に入れると、

 なめらかな舌触りと控えめでありながら

 濃厚な味わいで僕の舌を喜ばせる。


 ムースはすごく、

 さっぱりしているのに優しい甘さを感じられる。


 くどくなくて、柔らかすぎず、固すぎず、絶妙な食感だ。


 一口に言って、

 スイーツが好きになりそうなほど美味しかった。


 ちらり、彼の方へ目を遣ると、

 満足げな笑みを浮かべてこちらを

 じっと見つめている彼と目が合う。


 感想を求めているようなその目に、

 僕は呟くように言葉した。


「とても、美味しい、です……」


 スイーツに対するイメージが

 変わるくらいの衝撃を受けた。


「そうか、気に入ってもらえて嬉しい。


 それは、私の手づくりなんだ」


 彼は子どものように

 あどけない笑みを僕に向けたんだ。


「こんなに美味しいスイーツをつくれるだなんて、

 すごいですね。


 尊敬します。


 これなら、何度でも食べたくなりますから……


 僕、なんか」


 何もできない、

 そう続けてしまいそうになるのだけは必死に堪えた。


 既に手遅れかもかもしれないが。


「僕、なんか」なんて、

 重々しくて面倒な奴だと思われてしまっただろうか。


 しかし、僕の不安連鎖思考は

 どうやら杞憂に終わったようだ。


 彼は不敵な笑みを浮かべ、

 穏やかに聞こえる声音で僕に語りかける。


「何か、思い悩んでいることがあるようだな。


 今は客もいないことだし、

 よければその話、聞かせてくれないか?


 誰かに話すだけでも楽になるかもしれない、

 気軽に話してみてくれ」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ